17.カレーパーティー
カレーの材料も大豊作だった。
春植えの野菜はごろごろ。
カレースパイスは実がぎっしり。
『母ちゃん、これがカレーか!?
カレーになるのか!?』
「ちょ、サイ君!ぺっしなさい、まだカレーじゃないから、ぺっしなさい!」
『ぐえええええええ!!なんだこれえええええ!!』
というお約束な展開を経た後、無事に実を収穫。
それをせっせと臼でひいてスパイスに。
そしてこの日のために作っておいたロールミルでせっせと小麦を砕き、何度もふるい(ここまでで作っておいたもの。後述)にかけるのを繰り返す。
なんとか少量の小麦粉を確保。
さらに放置したヤギのミルクから地道に採取した生クリームを容器に入れてせっせと振り回す。
ひたすら振り回す。
まだまだ振り回す。
限界を迎えようとした頃、見かねたトウくんが代わってくれた。
ものの数分でバターが完成。
(……はじめっからやってもらっていれば……)
軽くへこみつつ森から採取したヘーゼルナッツオイル、塩、マスタードでおろしニンニクと野菜を炒め
(玉ねぎはまだ収穫時期じゃないからないけど、しゃーない)
つぶしたミニトマト、野菜ブイヨンを加えてぐつぐつ。
そこにカレー粉、小麦粉、バターを炒めて作ったカレールウを
『おおおおお母ちゃん、カレーだカレー!』
「もうちょっとだから待ってなさいッ」
カレールウを少しづつ加えて塩で味を整える。
ひよこ豆ととうもろこし粉のパンをそえて出来上がり。
「よろこべ諸君ッ!
ついにカレーの完成だああ――ッ!!」
『わーいわーいわーい』
長かった。
ここまで実に長かった。
いやそれなりにおいしいご飯食べてたし、むしろ健康的な食生活だったし、約半年でここまでたどりつくなんて最速なんだろうけど。
オーブン、ガラス瓶、鉄なべ(やはりここまでの間に作った。後述)などといった道具を用意するだけでも手間ひまかかりまくりだったのだ。
そしてたどりついたカレーはなかなかの出来。
市販のルウとは違うけど、これは紛うことなきカレーだ。
誰がなんと言おうとそうなのだ。
「やっぱりカレーは特別!」
『カレーは正義ですね!』
『ですわね!』
『うめえええええええ』
『おいしいのー』
私と4匹は成し遂げた偉業を互いにたたえ合いつつ、こころおきなくカレーパーティーを楽しんだのであった。
(……しかし芋ともろこしの収穫倍率をなめていた……
修復した城塞の塔だけじゃ足んなくて、急遽つくった高床式倉庫からもあふれんばかりってどんだけ。
絶対ひとりじゃ食べ切れん。
この子たちもこーんなに喜んでるけど、二口、三口しか食べないんだよね。
自然が燃料だから当たり前なんだけどね。
……保存どうしよう……)
結論。
カレーは正義。
でも種まき、植えつけは計画性をもってやりましょう。