14.トイレ(仮)建設2
仮設トイレは城塞の扉のすぐ横に作った。
ちなみに興味があって災害用の仮設バイオトイレについて調べてみたことがあったので、それを大いに参考にしている。
まずサイ君のウインドカッターで1枚板を数枚作成。
それで上部の開いた木箱を組み立てる。
板を加工して、なんとか釘を使わずに作ることができた。
木箱には数箇所、醗酵促進のために通風孔を空ける。
続いてやはり木で中央に大きな穴の開いた蓋を作成。
中にオガクズをつめて蓋をする。
ここまでは簡単に和式トイレでいいかーと思っていた。
前板だけ取り付けて、あとはまんま穴だけというトイレである。
が、ここでもしやと思い立ち、期待しつつサイ君に聞いてみたら
『できるぜい』
というたのもしいお言葉が返ってきたので、さっそく洋式トイレに予定変更。
今度はかなり細かに形成する必要があったのでまず粘土を使って型を作ることにする。
海岸近くで採集した粘土質の白い土と水をこねこねしたら、なかなか良い粘土に仕上がった。
その粘土で穴の形を取る。
穴の大きさと形を取ったらそこに粘土をつけ足していき、洋式便座と便座蓋の形にしていく。
この通りに、とお願いしたらサイ君は寸分たがわず型通りの木製洋式便座と便座蓋を作ってくれた。
それにDIY道具のニスを塗ってつやっつやにする。
総オーク材の便座完成である。
なんというぜいたく。
できた便座と蓋は見事に穴にぴっちり、隙間なくはまった。
続いて出来上がったトイレ周りに柱を設置。
ここで再びDIY道具から貴重な釘を使って壁材、床材を打ち付けていく。
一辺の壁には窓を、一辺の壁には扉をつけられるようにスペースを空けておいて、さらに屋根を打ちつける。
次に今のままだと便器から床までが高すぎるので、木の箱を作って足場を設置。
さらにこれも貴重な蝶番を使って、木の扉を出入り口と窓に取り付ける。
窓は木の板にくぼみをつけ、普段はつっかえ棒で開けておけるようにする。
出入り口の扉には取っ手を設置。
この取っ手はなんとか加工して、釘を使わずに取りつけることができた。
最後に攪拌用に大きめの木のスコップを作って便座横に取り付けた棚に収納。
ついに完成である。
そしてなんとここまで、約半日で作業は終了してしまった。
短い。
アニマルパワーがあったとはいえ、脅威的な速さだ。
一人では絶対に不可能である。
そして一番時間がかかったのは粘土の型取り、釘うちであったというこの事実。
もう4匹に足を向けて寝られない。
とまあ、そんなこんなでできあがった仮設トイレはどうだったかというと、なかなかの使い心地だった。
いや、むしろ素晴らしかった。
(なにしろ今まで野天だったし。
というか、この世界の誰よりも豪華なトイレだよね、これですでに。
便座とか内装とか、なにげに元の世界のトイレよりも贅沢じゃね?
……ああ、幸せだ……)
完成直後に中で私が便座に座り一人きり、感涙にむせんだことは言うまでもない。
だがしかし。
もうこれでいんじゃね?と思いかけたのは一瞬のこと。
こんなものじゃない。
私が本当に求めていたトイレはこんなものじゃなかったはずだ。
(真のトイレ建設はこれからだ!)
トイレットペーパーないし。