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13.トイレ(仮)建設1

それからは持てる全ての労力と思考力を文明生活構築に捧げる日々となった。


とはいえ、いくら多趣味といっても私は普通の社会人、毎日趣味に明け暮れていたわけではない。

小太刀の稽古は週に一回、学生時代から通っていた道場で数時間程度。

園芸は毎日やっていたがそれも朝の数十分、DIYは休日だけ。

原材料から無添加の食材を作り出すことにも一時期大層はまったが、それも同じようなものである。

登山とそれに派生した鉱石採取の趣味にかけられた時間はもっと少ない。

テント泊ともなれば連休にしか行けなかったからだ。


それ以外の趣味といえば、ある程度集中してのめり込み、後は時折気が向いた時に少しずつといった程度。

今まではのめり込み度ベスト4の趣味に関わる事柄ばかりだったので即座に判断できたが、それ以外のことに関しては忘れていることも多い。

話に聞いたことがあるだけのもの、本で読んだことがあるだけのものはさらに詳細があやふやである。


だがそれは持ってきた本の助けを借りて記憶を呼び戻し、分からない部分は失敗を繰り返しながらもなんとか形にしていった。

ドキュメンタリー番組やナショナル○オグラフィックを録画しまくって視聴するのも趣味の一環だったので、それも記憶の一助となった。

そして500冊の本ほとんどは「手作りアロマのある生活」とか「古代から近世までの建築~人々はどのような家に住んでいたのか~」とか「驚き!鋳物の歴史」とか「もっと知りたい豆腐作り」などといった実用書ばかりだったのだ。

他歴史書もあるがそれもかなり民俗学的な内容のものが多かった。

かなり偏った歴女である(歴女?なんかちがう?)

自覚はある。

でも今回はこれでかなり助かった。


この掘り起こした記憶と本、持っている道具からできそうなものを考えだし、優先度を決めて実行していった。

そして何度も繰り返して悪いのだが、優先度筆頭は言うまでもなくトイレである。


トイレ。

大事なことなのでさらに繰り返す。

トイレである。


これは作るにあたって実はかなり迷った。


まず思い浮かんだのが水洗トイレである。

しかしこれは現代の発達した汚水処理施設があるならともかく、現状では川か海に流しっぱなしにするより他に手がない。

山女のはしくれとしてはどうしてもこれに抵抗があった。

そこで次に思いついたのがバイオトイレだった。


(何度か登ったことのある山に久しぶりに行ったら、トイレが新設してあってびっくりしたんだよね。

山小屋のおっちゃんが喜んでたなー。

無電源のバイオトイレなんだぞ、臭くないぞって。

確かに臭くなかったんだよね……むしろすごくキレイだったし。

使用後に足でペダルこがなきゃいけなかったけど)


でもあらびっくり、水も電気もない山奥にもかかわらず、それはログハウス風の実におしゃれな洋式トイレだったのである。

使ったあとのオガクズはそのまま肥料に使えるし、もし小の方を別にするセパレートタイプなら水で薄めてそちらも肥料にできるという話だ。

現状では目指すべき理想のトイレと言えるだろう。


だがそこではたと気が付いた。

使う部品が多すぎる。


(撹拌が何よりミソなんだよな。

興味があったからおっちゃんに聞いてみて、スクリューを螺旋状にするのは分かってる。

だけどスクリューは金属製にしなきゃきついし、槽もしっかり作らなきゃいけないし)


今すぐ建設、なんて絶対ムリだ。


だけど材料はふんだんにある。

どれもこれも原材料だが。

段階を踏めばどうだろう?

どれもムチャクチャ手間がかかるが。

そして出した結論。


(たぶん―――できる)


というかやってやると思った。

求めるトイレを得るためにならなんだってやってやる。

私のトイレを求める気持ちの前に、そんな手間ひまなど何の障害にもなりはしない!


(となると、とりあえず仮設ですな)


そういうわけで私は遠大なトイレ計画の第一歩として、仮設トイレを建設することにしたのだった。

いやまあ、ただ単に野天が限界だったのだ。

でもけっこう切実です。


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