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7話 何で俺はこんなに阿呆なんだ

年内には幻想入りしたい


つーか二週続けて先輩話にするところだった

あとで読み直して(誰得?)とか思わなかったらえーりんまた出なかったは

慌てて消した、そしたらこんな時間かかった、サマソ

深呼吸を一つ、気合を入れて覚悟をきめる。

これを提出したら後戻りは出来ない、全ては一からのスタートとなる。

それでいい、しがらみを残して前に進めるか?



「主任、すいません。お話があります」



頃合やよし。さて、奇妙で不思議な一歩を踏み出そうか。

俺の声に検案していた書類から目を離し、主任が俺を珍しいといった表情で迎えた。

あまり主任とは接点がないため、こう話す機会はあまりない。そしてこれが最初で最後になるかもしれない。



「これを・・・」



俺は黙って一つの封筒『辞表届』を提出した。






本日の昼休み、再び俺と先輩は屋上でコーヒー片手にたむろしている。

話す内容は主に業務の引継ぎだ、俺が出した退職希望は25日聖夜である。ぶっちゃけ一番忙しい。

辞表を提出した後が一番大変だった、主任は俺が突然退職するといって『やることやってからやめろ!』の一点張り。

しかたない、いきなり辞表届けを出す俺が悪い。本来なら1ヶ月前くらいに出すもんだが、俺はたった4日間で辞職したいですといったのだから。

あまり周りに迷惑は掛けたくなかっただけに心苦しいが、もう期限が迫っている。八意さんももう少しゆとりをもってきて欲しかったな。

さて、後は同僚の上野にも頼んどこう。今の彼の状態はちと心配だが、我慢してもらおう。

後去り際に彼に言っておかなくてはならんな


「八意さんは俺が奪う!」


ってな









昨晩はやる気持ちを抑え帰宅した俺に、八意さんが最初にかけてくれた言葉は、



(さいかち)、後もう少しで出来るから、先にお風呂でもはいってなさい」



・・・思わず結婚しているのではないだろうかと錯覚してしまいそうなシュチュエーションだ。

俺は軽く生返事で返して、洗面所付近で服を脱ぐ。

昨日から思っていたが八意さんは風呂どうしているんだろうか?

俺が仕事に行っている間に入っているとか・・・・・なかなかいいな。

い、いつもシャワーだったけど、今度浴槽にお湯でも入れて・・・


ゴン



そこで俺は頭を風呂場の扉に打ち付けて馬鹿な思考に緊急停止を命じた。

もうだめだ、脳内が意味不明なデッドヒートを繰り広げている。主に理性と欲望の。

苦しい、狂おしい・・・溢れる。私の中から探究心という名の欲望が。


とりあえず、八意さん使用後湯船大作戦は保留にしといた。

だめだ、どんどん俺が駄目になっていくのが分かる。

だがしかし!八意さんが風呂に入っているのを想像してみろ!シャワーでもいいぞ!







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






どうだ?

想像できたか?


な、なにかくるものないか?



八意さんの入浴中にのび太よろしく入るんだ。

でも彼女はシャワーの音で俺が入ってきたことには気付かない。

シャワーから流れる湯が彼女のスラリとした首筋を通ぬけ、豊満ではじける様な胸へと移り、それに反比例するようなくびれ、引き締まった腰へと流れ、極上の果実のように熟れたお尻のラインを通り抜け、ふっくらとした太ももへと落ちていく。

しっとりと濡れた前髪の滴り落ちる雫から覗かせる彼女の瞳は、ぬくもりに熱うかされ妖しく潤んでいて、ゾクリとするほど扇情的だ。

彼女の全てが俺の急所を穿っている。白い靄が俺の視界を覆う、それはただ湯気だけのせいではなく、理性すら暴走している。


俺はふらふらとシャワーを浴びている彼女の柔肌をゆっくりと抱きしめる。

その時彼女は初めて俺の存在に気付き頬を上気させて「はぁ・・・」と吐息を洩らした。

彼女の肌は赤子のように瑞々しく潤っていて、羽毛のように柔らかで、理性を溶かす熱をもっていて・・・




「うわぁぁぁああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!何で俺はこんなに阿呆なんだぁぁぁ!!!」


再び風呂場の扉を殴打する音が、夜の闇に響き渡った。






「「いただきます」」


ズキズキと痛む頭を我慢しつつ、両手を合わた。

本日の夕食はビーフストロガノフ、みたいなものとサラダだった。

うん、確かに『みたいなもの』は失礼のような気もするが、なんせこのストロガノフ、色が緑なんだ。


思わず「何、これ?」と質問しそうになったが、正直今八意さんを正面から見ることが出来ない。もうどうしようもなく後悔している。

妄想の中とはいえ八意さんに劣情を抱いてしまった。これがゲームや漫画のキャラクター話なら、悟った表情をして「何してるんだろう・・・俺」と呟けばいい。


が、しかしこれは現実、これが現実。

劣情を抱いた相手が目の前に居るわけで、しかもそれがゲームや漫画の登場人物で、さらには俺に飯まで作ってくれる。

なんか、申し訳ない。


俺に出来ることっていったらこの緑色のストロガノフを美味しく頂くことだ。

えー、とりあえずサラダのドレッシングドレッシング・・・



「シーザーでいいかしら」


「あ、はい。それでいいです」



最近彼女の先読みスキルも慣れてきた。

気が利くってレベルではなく心を読んでいると思えなくもないくらい、俺の行動パターンを把握している。

なんだろう、勘がいいのだろうか?


とりあえず俺はこの緑色の物体をスプーンですくい上げた。

すごくいい匂いがするのだが、この色はどうにも出来なかったのだろうか。

ちょっとばかり躊躇したがぱくりと口に含んだ。


その刹那突如として口内で行われる味の七重奏(セプテット)管弦楽団(オーケストラ)に俺は愕然とした。

これほどうまいものがこの世に存在したのか・・・

昨日の和食も美味かった、だが俺はこっちの方が美味く感じる。

この濃厚な味わい、しかし後味は吹き抜ける草原のように涼やかだった。


猛然と食べ始めた俺を八意さんは苦笑を一つ洩らして、自らのスプーンを動かし始めた。






「八意さんお話があります」


後片付けを相変わらずの謎の技術3分程度ですませ、居間に来た八意さんを俺は正座で迎えた。

彼女も俺の態度を察したのか方眉を軽く動かし、俺に倣って正座する。

大きく息を吸い込み気力を充実させ、風船の様に膨れ上がったそれを弾き飛ばす勢いで声を上げた。



「決心がつきました。俺は八意さんと一緒に幻想郷に行きたいと思います」



俺の言葉に八意さんは目を細めて薄く微笑んだ。



「そう、決心がついたのね。分かっていると思うけど、幻想郷はこの地と異なる秩序で成り立っているわ。あなたはそれを受け入れられるかしら?」


「そのつもりです」



彼女の目を離さずに答える。俺は今もつ全てのしがらみを彼女のために犠牲にする。

家も家族も会社も友人も、彼女の傍に立つためにはそれらを全て置き去りにしなければならない。


構わないとも。

俺は八意永琳という人物を一目みたあの時、価値観が音を立てて崩れ落ちるのを聞いた。

彼女に不釣合いと感じながらも恋をした。

見惚れ、心酔し、憧憬した。

全てを白昼夢にして忘れ去ろうとした。

しかし俺は願った。


叶うのなら、叶うのならば、俺の声を拾い上げ叶える何かが居るのなら、もう一度・・・。




そして彼女はきた。


ここまでお膳立てされたんだ。

行くしかないよな?男が廃るか?もう二度目はないぞ?



「俺を、幻想郷へ行かせてください」



悩みに悩み、理念を捩じり、心を砕いた。

その結果に出た答えだ、もう悔いはない。


俺の目を離すことなく見ていた八意さんは、このとき間違いなく『俺だけ』を見詰ていた。



「いいわ、あなたを幻想郷へ導きましょう。この地への清算は済ませておきなさい」


「はい、明日にでも会社に辞表でもだそうかと思います」


「わかったわ、それじゃ・・・私はこの部屋で食べる最後の料理を作るとするわ」



楽しみにしてなさい。そう言って悪戯っぽくクスリと笑った。












「そうか、八意永琳には話したか」



例のごとくコーヒーを手の中で転がしながら先輩は言った。



「ええ、仕事終わったら親に話してアパート解約して終了です」


「俺もいけないよな?」


「無理ですね、八意さんにも聞いたんですけど俺だけだそうです」



先輩は残念そうに「そうか」とため息とともに吐き出した後、コーヒーを一気に飲みきってゴミ箱に投擲した。



「ちょっと早いが降りるか、お前やること山積みなんだろ?」



おっとそうだった、俺が抜ける引継ぎがそれこそ星数ほどある。

得意先の対応とかも上野に話しておかねば。俺は先輩にならいコーヒー缶をゴミ箱に捨てて先輩の後を追った。


しかし時期が時期だけに本当にやることが多い。

通常勤務と平行して引継ぎを行わなければならないからな、今日は残業か。

八意さんの料理が待ち遠しいが、仕方ない。

ここで下手にサボったら俺の我欲のために、周りしわ寄せがいく。

さて、後四日間どう問題を処理していくかな・・・


そのとき仕事場には不釣合いな騒ぎが聞こえてきた。

得意先からの電話もする仕事場で騒ぐとは言語道断で、先輩はそんな喧騒が大っ嫌いだった。

案の定、先輩は苦虫をつぶした表情をしながら仕事場へと入っていった。


恐らく中で待ち受けているのは先輩の凶器的な視線と威圧感、そして一喝。

俺はこのことには関与してないから全然構わないんだけど、今中に入る気は流石にない。

ほとぼりが収まるまで通路で待っとくか、しかしまたピリピリとした雰囲気で仕事かぁ。

肩が一段階下がる、ため息一つつきたい気分だ。


・・・


・・・・・・


・・・・・・・・・・




あれ?おかしい、喧騒が収まらない。

何故だ?先輩相手だぞ、主任だってその気になれば言うこと聞くのに。


不信に思った。

だってそうだろ?

今の今まで先輩の威圧感にやられていた皆が、今日に限って聞かないなんて理由ちょっと想像つかない。


おれは不信感を大に、それとほんのちょっぴりの好奇心を胸に、仕事場の中へと入っていった。











『ここです!このアパートに八意永琳らしき人物が入っていきました!』


テレビに映ったアナウンスの視線の先にはモザイクのかかったアパートが映し出されている。

俺は分かる、なんせ2年は見てきたのだ。間違いなく俺の住んでいるアパートだ。


『今日11時30分ごろ、○○市○○のスーパーマーケットでお昼の食材を求めにきた主婦の中に東方Purojctの登場人物、八意永琳と思わしき人物が徒歩で買い物に来ていたところを、張り込んでいたカメラマンが見つけました。八意永琳は買い物を終え、今度も空中を浮遊せず徒歩で帰ってりそしてこのアパートに入って行ったとのことです。では近隣住民の声を聞いてみましょう、現場の井本さん?』



ぷつん


いい音して思考がシャッターを閉めた。本日の営業は終了しました。




「俺、今から○○のスーパー行ってくる!」


「おい!後15分で昼休み終わるぞ!」


「構うものかぁ!俺はえーりんと!添い遂げる!」



え?何これ?

えっと確かに、ええ?


八意さん?目立つ行動はっていいませんでしたっけ?



茫然自失、その言葉が今の俺に一番あうのだろう。

まさしく俺は何も考えることができず白い灰となっていた。

しかしその俺に色をつけたのは、



「・・・・・おい、なんかこれ。(さいかち)のアパートじゃね?」



隣に居る上野の野郎の台詞だった。

上野の言葉に聞いていた周囲の喧騒が唐突と消えた。

上野は俺のアパートに遊びに来たことがある。

確かにアパートにはモザイクはかかっているが、周囲の風景は鮮明に映し出されている。


『・・・・・・・・・』


数十の目がこの俺に向けている。

探るような視線で、それでいて確信めいた表情で。

この日この時、俺が退社宣言をしたと同時の事態進行、疑うべき行動は端から端まで。


何をすればいいか?

要領のいい人間ならここですぐさまおどけて見せるか、上手い言い訳を考え付くのだろう。

しかし、俺は霊力を持っている以外は順当に凡人だった。

いままでそれに不満に思った事はない。周りと似ているということで一種の安心感すら感じていた。

だが、今それを呪う。



「・・・・・・・・・・・・・・先輩・・・引継ぎを、お任せします・・・・・だぁぁぁぁーーーーーーーー!!!」



何も考え付かなかった。

だから俺は唯一できることをした。

すなわち・・・!



「ああ!(さいかち)逃げやがった!!!」


「殺す!あいつは殺さなければならない!!!」


(さいかち)ぃぃぃぃぃ!!!!!!」



そう、逃走という選択肢以外、浮かばなかった。



「うそだぁぁぁ!!!何故だぁぁぁ!!!八意さぁぁぁぁぁ!!!」


「てめぇ東方もろくにしらねぇ癖にえーりんのこと喋んじゃねぇぇぇ!!!」


「待て!そして死ね!!!」



走る、走りぬけ、駆け抜ける。

階段を駆け下り、ロビーへ

受付嬢に駆け抜けざまに謝って、玄関口へ

このときばかりはまどろっこしく思える自動ドアを抜け出し、外へ


背後から迫る怒声と駆け音は意識外へ



「タクシー!ちょっと待てぇ!!!」



通り過ぎるタクシーを思わず飛び出た金切り声で呼び止め、転がるように入り込む。



「○○市○○まで!」



行き先を聞いた運転手は何か悟ったような笑みを浮かべて



「ああ、よくいるんですよね最近。なんでも女が空飛んで立って言う・・・」


「いいから早く出てください!」



思わず叫んでしまった俺の声に運転手は慌てて扉を閉め、迫ってくる全ての喧騒を置き去りにして走っていった。












会社の中は騒然としている。

皆口々にさいかちに関する情報を共有しようと躍起だ。

俺はタバコを探るように胸元に手を伸ばし、いつもの定位置にガムしかないことに気付き、顔をしかめた。


「刑部くん、君はさいかちがあの飛行少女と関係しているってしっていたのか?」



主任がおどおどと道に迷った少年のような態度で俺に聞いてきた。

さて、どうするか・・・


「さぁ?しりませんね、それより今出て行った阿呆どもをどうしますか?さいかちはやめるとして他の上野、笹原、藤岡は仕事の時間になっても戻ってきませんが?」


「え?ああ、そうだね」


「魔法だかなんだか知りませんが、それで仕事をサボっていい理由にはならないでしょう。それなりのペナルティが必要だと思うのですが」


「そう、だね。うんまぁ総務部の連中と話してみるよ」



そそくさと逃げ出す主任を目の端で確認しつつ、右手で唇をなぞる。


ああ、しかしあいつとの最後の言葉が「引継ぎお願いします」とは、全く舐めた後輩だ。たぶん二度、会えるかどうかになるだろう。

大きく一つため息を吐いた。



「早苗さんに、会いたかったなぁ」


モチベ維持が一番大変だは



後PV一万ありがたや

これで


初心者→初級者


にジョブチェンジできました

読者の皆さん、愛してるとは言いません

ただ、好きだ!

だから評価はらめー本当にptがはっ!

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