12話 八雲 紫
2月は更新速度うp予定
遅れた分取り戻さないと・・・
えー、今回は罪袋な方々に袋にされても仕方ありません、ハイ
だけどそんなゆかりんが、嫌いじゃない!
その場で呆けること数秒、我に返った俺は慌てて八意さんを振り返った。
「はぁ・・・ここが幻想郷、なんですか?」
「そうよ、この境内を覆う神力がわからないかしら?」
なるほど、先ほどから肌を粟立たせる感覚の原因はそれか。
正直『神力』と『霊力』の違いがわからないが、何か区別する部分とかあるんだろうか?
周囲を興味深く観察する。
うん、これと言って建造物に変化はない。
本堂は相変わらず微妙に小さいし、並立つ杉は貫禄の巨体を見せ付けている。
閑散としてこれまた絶妙に広い境内は、その肝心の杉で出来ることが限られている。
ただ一つ、この境内に充満する『神力(?)』だけが先ほどの寂れを上書きして神秘性を上げていた。
「こんな感覚初めてですよ、幻想郷っていうのはみんなこんな感じなんですか?」
だがその一つがまさしく非現実的だった。
本堂はお金おかければ大きく出来るし、境内を広く取りたいのなら文化財やご尊信云々の話を無視すれば大杉を切ってしまえばいい。
だがこれは、この神秘性は例え人間がどうこうした所でなるものにあらず。
まさしく人の理を超えたものを、五感を通して感じられた。
「全て、ではないけどほぼこの程度の力はどこでも持ってる」
「・・・・・この程度、です、かぁ・・・ハハハ」
が、どうやらそれでも八意さんにとっては足りないらしい。
人の理をも超え、神の理を超えた何か、と言うものもこの幻想郷にはあるのだろうか?
そもそも神ってなんだよ。どっからどこまで出来るんだ?
鉛球を眉間にシュートしたら死ぬの?核兵器で一掃しようとしたら跳ね返されるの?
物理的法則通用するのかどうかもあやしいぞ、大丈夫か俺。
心中の沸きあがる不安とは裏腹に、俺はここ数年指折りの会心の笑みを浮かべてた。
インディー・ジョーンズは何故あそこまで過酷な困難に立ち向かえたのか。
時には砂漠に、時にはジャングルに、時には洞窟に。
迫る流砂に、憤怒の原住民、殺意のトラップ。
それを越え、彼らをいなし、大胆に突破する。
彼は嫌にはならなかったのだろうか。
何故命を対価にそれほどまで過酷な状況を選んだのか。
言い寄る女性は数多の数、隠居し余生を平穏に暮らそうと思わなかったのだろうか。
ああ思わない、男ならわかる筈だ。
あの時代、あれどの未知が存在していたのなら、迷うことなく飛び込んでいただろう。
その先に存在する宝物に心を躍らされ、その過程で経験する未知に身を震わせる。
数多くの困難やトラップがあればあるほど、それを踏破したときの歓喜もひとしおなのだ。
故に越える、命をとして。
いつしか困難を踏破することすら胸躍るようになっていようと。
そして俺は今まさに、不思議と未知の詰まった最先端に存在する。
人が空を飛ぶのは当たり前、妖怪や神がいるのも当たり前、結界や霊力で編みこんだもので妨害するなんて朝飯前。
それが、今この地に立つ俺のつま先から、どこまであるかわからない程に広がって、そんな事でも俺はワクワクする。
上等だ、俄然幻想郷に興味が湧いた。
そう思い期待を胸いっぱいに膨らませて一歩足を踏みだそうとして、何かに遮られた。
八意さんが俺の体を隠すような位置取りで前に出る。
出鼻を挫かれた俺は訝しげな表情で、彼女の顔を覗おうとして。
極寒の冷気すら凌駕するほどの怖気が俺を襲った。
二度踏んだ地は、特別だった。
俺からしたら、だろうか。
境内に過密された神力とかいうエネルギーは、初めてきた俺を溺れさせようとすら感じるほどに偉大で強大だった。
が、それでも足りない。
まるで博麗大結界そのものが再び現れたかのような、目の前に立つソレから放たれる違和感に、俺は身を竦ませた。
金色の長髪を波立つように優雅になびかせ、アンティークな白の日傘を差し、紫を基調とした中華服のような何かを着た、息が止まるほどに美しい女性がそこに立っていた。
圧倒的存在感、例え彼女が顔を隠して着ている服を変えても100人中100人が振り返るような威圧感が、渦巻くように放たれていた。
だが真に驚くべきことは、八意さんが俺の視界を遮ったほんの1秒にも満たない時間に、まるで瞬間移動でもしたかのような素早さでそこにいることだった。
いや、もしかしたら本当に瞬間移動したのかもしれない、ヤードラット星人みたいに。
まぁ幻想郷だから・・・ということにしておこう。
さて、このタイミングで出てくるって事はあれだ。
幻想郷に入った今、出てこないと思ってたけど彼女こそが『幻想郷の管理人』なのだろう。
八雲 紫
そう伝え聞く名の美麗の女性は怪しく笑う。
「ようこそ、幻想郷へ。時にこの地はお気に召しまして?っと言っても今来たところでしょうからなんの感想も抱けないと思うでしょうけど」
どうにも俺に向かって投げかけているらしい。
彼女の抱擁する圧倒的すら言える霊力とかなんとかそういうものに比べたら、俺に?声を?なんというか時の天皇陛下に声をかけてもらったかのような戸惑いが生まれた。
相手は『幻想郷の管理人』日本で言う総理大臣、合衆国で言う大統領みたいなもんだから、流石にこの状況は不味いと感じて八意さんの横に並び立って挨拶をする。
こういうのは第一印象が肝心だ。適度に好印象を与えないと後が怖い。
「お初にお目に掛かります。私は人間の槐 隆治と申します。・・・・ところであなたが幻想郷の管理人の八雲紫さんでよろしかったでしょうか?」
「あら、私としたことが。仰るとおり私がこの地の管理をしている八雲紫というわ。それでは失礼して、管理者としてやるべきことはやっておかないと」
そういって彼女は目を見開いたと思ったとたら、俺全体をマジマジと覗き込んだ。
俯き加減に映る黒曜石のように輝く瞳は、不思議に俺を苛立たせる。
まるで水中を探るように、水面を覗き込むように、彼女は俺を・・・
その瞬間俺は異様のない嫌悪感が襲い掛かり、とっさに心臓を庇う様に右を押さえ込んだ。
なぜこんな事をしたのか自分でもよく分からなかったが、人が働く防衛本能がとっさに今俺が取れるべき最善を選んだかのように今にしてみれば思えてくる。
一瞬、ほんのまばたき以下の時間で俺の体は幽霊に寝込みを襲われた以上の異物感に苛まれた。
筋肉が呼応するように萎縮し、汗腺という汗腺から冷や汗が間欠泉のように溢れ出る。
自分の体であるはずなのに、まるで自分のものじゃないような。
感覚的に言えば、寝違えた時に血が通ってなかった腕を想像したらいいだろうか。
それが一呼吸以下の時間で俺の体を支配されて、無人の孤島に置き去りにされたような孤独感が体を震わせる。
(幽霊に取り殺されるかもしれない)と思ったのは1度や2度ではないが(死んだ)と思ったのは生まれて初めてだった。
そこまで考えたとき、八意さんが動く。
時間にしてみれば本当にコンマ何秒かの世界だが俺にはずっと長く感じた。
歪む景色に、歪曲な女性の姿、そして、目、瞳、眼。
意識が覚醒しても、荒い息は当分収まりそうにはなかった。
いまだ体全身を覆う異物感は取れない、覆い隠すように抑える右腕から伝わる疾風のような鼓動に自身の神経を落ち着けさせる。
唯一つ、俺はこの女性が心底気に入らなくなった。
何かしたらしいということ、だけどそれだけじゃない。
俺が嫌悪したのは、彼女の眼だ。
初めて会った八意さんと同じような眼、いやそれ以上に。
彼女は俺という存在をまるで見ていない、俺を・・・そこら辺に転がっている駒程度ぐらいにしか。
そこには、無機物を見るかのような瞳が、俺の嫌悪を加速させた。
「・・・誓約反故及び宣戦布告と見なすけど、如何?」
「何を言ってるか分からないわ。その人間を走狗にはしないと記したけど、干渉しないとまでとは、とてもとても。月の賢者とも呼ばれた不死人が、牽強付会の如き振る舞いで招いた人間よ、
貴女ならこの事態をどう鎮定させるかしら?」
「ならば一言この私に断りを入れるのが筋ではなくて?」
「その帰結に月の頭脳が従順に顕示してくれるのならばそうしましょう。あなたはその首を縦に振るかしらね」
「この現状で今一度同じ様に舌を動かすようならそうしましょう。ただ妖怪の賢者、その命保障出来ないと知りなさい」
気をやっていた俺が再び意識を平坦に出来たと思ったら、また失神しそうになった。
八意永琳
初めて会って今の今まで、美しいだの綺麗だの美麗だの考えてきて、かつ彼女の存在に手を伸ばす気でいた。
けど俺は、彼女の威が氷山の一角であることを知った。
隠然たる力が周囲を環境を一変させる。
空気が振るえ、世界が軋む。
彼女を中心として雪が漣のように舞い上がる。
濃密に圧縮された霊力は、その密度故物理干渉すら出来るほどに色を放っていた。
これが、彼女の、本気・・・
「そう牽制しなくてもいいんじゃない?」
じゃ・・・ない、だと?
その瞬間俺は場違いながらも吹き出した。
戦闘能力3がラディッツみたらこんな感じになるのかな?いや、フリーザ?
ああ、昔の「俺幽霊たまに見るぜ、へっへっへ」って言ってた時代が懐かしい。
あまりの非現実に俺は考えるのをやめて明後日の方角を見ることにした。
ああ、白い。ここでもまだ雪が吹雪いてるのかぁ。
「私はその人間がこの幻想郷にどう残響を残すのか、それを分析したいだけ。それがこの地に好か悪か影響及ばすとしても『誓約』には従う。
そもそも外来人一人死んだって幻想郷が変わるわけでもないけど、月の頭脳が動かれると此方としても対応せざる終えないわ」
信用して欲しいわね、そういって彼女は落ち着き払って肩を竦めた。
一方八意さんが纏う霊力みたいだけどもう色々有り得ない物質は、今だ油断なく蠢いている。
が、今にも鼻歌を歌いだしそうな人を食った態度に、八意さんも霊圧も少しづつ弱まっていった。
「・・・・・危害はご法度、分かっているわね」
「蛇足ね、その人間にマイナスになることはしない。とんだ邪推ってものだわ」
「能力を使った精神追跡は・・・」
「くどい。それほどまでに大事?矮小な人間を?月の支配階級ほどになるとさぞかし複雑なことを考えてるようね、それとも人間に犯され淫されるのも興のひとつ?」
・・・・・・ミシッ
「滅ぼされたいならそういいなさい。心配しなくとも、その後の管理はこの私が引き継ぐわ」
「あらあら、これは失礼。図星は痛いものですからね。フフ、ところであの人間はいいの?」
一方俺はというと迸る霊力を某野菜人のごとく放つスーパー八意さんと、暖簾のように押しても引いても真意がわからなさそうな笑みを浮かべている幻想郷の管理人。
その隣で凄まじい役者違いと場違いに混乱しながら、こみ上げる嘔吐感を必死に抑えていたのだった。
・・・そう、だった。
何もない空間から軋み音がするまでは。
突如何か光に包まれた。
何かに吸い寄せられるような強烈な光。
あまりの眩しさに、眼を覆いたくなるのだが不思議と惹かれる灯火だった。
八意さんも見えますかこの光、何でしょうかね?
そういって俺は、八意さんと俺が倒れている場所を見下ろした。
・・・・・・・アレ?
(っ!?槐しっかりなさい!)
そういって八意さんは俺の見ている前で俺の体を埋もれた雪の中から掻き出した。
ちょ・・・ま・・・
初めて鏡以外で自分の顔を覗き込んだ俺は、顔色悪いなーっというあまりにも場違いな感想を抱き、
って
おおおいいいいいいい!?
薄く千切れていく意識の中、八意さんは左手に何かを纏わせ右手で俺の顎を引いたところで、意識は完全途切れたのだった。
幽霊みたいな雑魚霊に寝込み襲われて死にそうになるじゃ、リアル幻想入りしたらあっただけで死ぬかもしれん
神の霊力って幽霊何体ぶんだろうね
死ぬよね普通ね
周りの小説はさも当たり前にあってピンピンしてるけど
まぁこの主人公がクソすぎるせいな気もする




