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雨の輪郭  作者: 葦谷歩高
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4.狭い努力の中で

 3年生になった、クラスは和奏と一緒、そこは嬉しいところだが、沢渡が一緒なのは正直解せない。まあ最近は特に悪さをしてこないのでいいかと思うが、まだ苦手意識は残っている。朝陽君とは違うクラスだ、あわよくば、なんて期待は抱かない方が傷つかずに済んだかもしれない。

 さて、3年生になって一つ挑戦してみようと思い立ったことがある。それは授業に出てみることだった。

 なんとなくであるがぼちぼち勉強内容は追いついて来ていた。勿論理解度はずっと低いだろうけど、それでも授業に出れると判断した。


 始業式の日、体育館の二階に隠れるようして校長先生の話を聞いていた。隣には朝陽君がいたのでひと段落して皆が教室に戻り始めた時にその決意を伝えると、彼は驚き、やがて少し悲しそうな顔をした。


「江藤さんは凄いな、俺には無理だ」

「そうやっていつも人と比べるけど、朝陽君は朝陽君だと思うよ」

「江藤さんだって『私は他の人と違う』っていつも言ってる。だからお互い様だ」

「あ、確かに」


 あんまり考えずに物を言ってしまって少し恥ずかしい。また悪い方向に思考を持っていこうとする脳を騙して、声を出す。


「また冬休み開けみたいになっちゃうかもしれないけど……」

「その時は戻ってきたらいいよ。無理をせず少しずつ頑張って、俺は応援してる」

「うん、ありがとう」


 朝陽君も随分話せるようになった、私も教室に行くと、言葉にできるようになっていた。

 でも正直、また逃げたいって逃げ道ばっかり探している自分がいた。どんな理由を付けて教室から保健室登校に戻ろうって考えている自分がいた。

 怖さは割り切れない、けれどこのままじゃ嫌だから、私は前へと逃げるのだ。


*


 私は緊張するとお腹が痛くなる癖がある。頭痛と関係なく訪れるものだ。トイレに行ったら治るものでもなく、ただ本当に痛いだけなのできゅっとお腹に力を入れて耐えるしかない。

 三時間目、歴史の時間。歴史は物語みたいに解釈したら結構楽しいことに気付いてからは得意な教科になっていた。尤も人並みにはちっとも及ばないが。

 教科書、ノート、ワーク、それから筆箱と下敷き。それをきゅっと抱えて、それだけを心のありどころにしてびくびくしながら人気のない廊下を歩く。階段の方からは喧騒が聞こえる、あそこを登り、その先に教室がある。

 大丈夫、悪いことなんてしていないから大丈夫。そう思いながら階段を一人上がる。

 前を見れない、下ばかり見ているとぶつかりそうになって通り過ぎた先、誰かが私のことを何か言っている。

 早く、早くと歩を進める。教室が見えて来た。でも入口の辺りに男子が溜まってる。どうしよう、前も後も塞がっちゃってる。簡単なことだ、「通してください」って言って通ればいいだけだ。

 でも、それがどれだけ難しいか――そんなことを考えて止まってしまっていると、向こうがこっちに気が付いた。じっと見ていたら当然のことだ、訝し気な視線を向けられて身がすくむ。

 泣きたい、帰りたい。今すぐ逃げ出したい。ほら、何か言ってる。そんな中あそこを突っ切れって無理だって、無理無理無理。

 男子の一人が何かに気付いたようにこそこそ言って、私の方に近寄って来た。


「えっと、江藤さんだっけ。うちのクラスの」

「あ、は、はい」

「ごめん邪魔して。――お前らどけどけ、邪魔になってる」


 踵を返して男の子は他の男子にそう言った。知らない子だけど、何処かで会っていたんだろうか。私はあんまり人の名前とか顔を覚えるのが得意な方じゃない。

 教室に入るとき横からさっきの男子たちの視線を感じた。辛い。

 教室に入った時、目線が私に向いたわけではないけれど、一斉に皆が私を見た、そんな錯覚に陥った。正確には下ばっかりみてたからなんにもわからない、私の席が廊下側の後ろの方の席で良かった。

 何にも置かれておらず、机の横にも何もかかっていない机の椅子に座る。教科書と筆箱を置いて、ふぅと一息ついた。

 周りを見ることはできない、あと2分くらいで授業は始まるはずなのに、こんなに賑やかだったっけ。

 私のこと、どれくらいの人が見てる。どれくらいの人が私のことを話してる。わからない、わからなくて怖くて、お腹が痛い。

 すがるように顔を上げて和奏を探した。彼女は私の斜め前の席におり、友達と話をしていた。私を気にしてよと思ったが、それは贅沢だと思い、ぎゅっと抑え込んだ。それに、あんまり和奏が私に注目したら皆の視線も私に向きそうで、怖い。

 さらっと周りを見る、ちらほら視線が合うけど、それだけ。

 皆席に着いて行く。前を見たら眼鏡をかけた男性教師が入って来ていた。怖そうな感じだ、少なくとも優しい印象は抱けない。

 さっきまであんなにうるさかったのに今はずっと静かにみんな席に座ってる。私の後ろには二つ席がある。その人は私をどう見ているんだろう、それを考えたら猫背になってしまう。

 

 チャイムが鳴った、「起立」とその号令が後ろから聞こえて皆一斉に席を立つ。ガタガタとなる椅子の音が耳をつんざき、頭が痛い。だが昔の感覚、何度も繰り返した動作を体は勝手に再現し、勝手に座っていた。

 先生は軽く自己紹介して、すぐに授業に入った。少し呼吸が荒い、緊張している。もう逃げられない、今席を立ったらいろんな人に見られちゃう。だから、向き合え。頑張れ、江藤楓夏。

 ノートを開いて、日付を書いて、先生の言ったページを開いて、新しい章のタイトルを告げる。色んな場所から教科書を捲る音がする、筆箱を漁る音がする、シャーペンの芯を出す音がする。

 ああそっか、私は今授業を受けているんだ。こんな普通を、昔は味わっていたんだ。


 授業が進み、先生が次々難しい単語を出す。頭が痛い、でもここじゃいつもみたいに休んだりできない。でもわかる、時々予習した単語が顔を出して、周りの事実と繋がっていく。

 大丈夫、ちゃんと授業を受けれてる。なんだ、案外楽しい。思ったよりは楽、でも頭は想像よりずっと痛い

 痛い、痛くて集中できない。薬は飲んだはずなのに痛い。いや、痛いと言うより霞がかかったみたいに思考を阻害している。


 50分は至極長く、地獄のようだった。

 終わりの挨拶が終わったら、荷物をさっさと抱えて教室を出た。話しかけられたりしたくない、人がいっぱいいるここは、怖い。


「あれ、江藤いたんだ」


 背後からそんな声が聞こえた。運動部っぽい、馬鹿っぽい男子の声だ。

 早歩きで、速くなる呼吸で、私は階段を駆け下りた。

 いたんだってなに、私の努力はそんな程度で纏められるものなの?まあそうだろう。たった50分、それは一限って纏められる一日6限の一つだ。

 そう、まだ一個だけ。でも大きな一歩だって思ってたのに、これから続く何歩もの道のりの一つだって思ってたのに、後が続く気がしない一歩に感じてしまう。

 そうだ、私はまだまだ皆に及ばないんだ。だから頑張らないといけない。ちょっとずつでいい、ちょっとずつ戻ればいい。そう、理屈ではわかっているのに『普通じゃない』その乖離がどこまでも私を苦しめる。

 たった一つ授業を受けただけだ。なのに頭は内部を搔き乱されるみたいに痛い、お腹は虫が食い荒らしたように痛い、心はもっと、もっと痛い。全部が相乗的に痛くなっている。

 これでこれから頑張れる?頑張るとしたらそれはいつ?明日?明後日?それとも一週間後?そうやってまた逃げるの?また逃げて、もう一回戻れるの?

 

 辛い、しんどい、死んでしまいたい。

 そんな思いから図書室のドアを開ける。そういえば終業式の日もこの部屋で、そこには同じように朝陽君がいた。違うのは私は死にそうな顔で、朝陽君は私を案じる顔をしたと言うことだ。


「大丈夫、江藤さん」


 それに答える勇気もなくて、私は机に頭を付けた。冬の寒さが恋しいほどその机はあまりひんやりしていない。汚いってわかってても頬を付けて耳まで赤くなった顔を冷やしてほしかった。


「江藤さん、本当に大丈夫?」

「だいじょうぶ……」

「……お疲れ様」

 

 私の努力をそんな風に纏めて欲しくはなかったけど、及第点のいたわりの言葉だったから私は何にも言えなかった。


*


 私は休み休み、少しずつ授業に出ていった。国語、数学、英語、理科、公民。どれも相応の苦痛を伴って、多大な疲労感を味わったものの、気付けたものもあった。

 授業とは必要だからあるのだとわかった。耳から聞いて、目で文字を追い、手でペンを動かし、口で発表する。それは一人で、或は朝陽君なんかと二人で勉強するよりずっとペースは遅いものの、理解度は段違いだった。


 実技教科も顔を出してみた。技術や家庭科、美術なんかだ。

 美術は結構面白かった。私は独学で絵を描いていたけれど、そういった描き方の技術を用語で説明されるのはなんというか、背中を押されたような心地になった。

 体育は行かなかった。運動音痴の私は体力テストなんてしちゃったら全身筋肉痛になってとても辛い目を受けるのは目に見えていた。


 頭痛は依然酷く、精神的にも磨り減り、目線は何より辛かった。

 時々話しかけられることもあった、たぶん興味本意で「なんで時々しか来ないの?」と訊かれた。不登校なんだからこうやって来れてるのが凄いことだと思うのだが、普通の人からすれば完全にだらけているようにしか見えないのだろう。苦笑いを浮かべて、私は何も答えられなかった。

 教科書を読む時、噛んでしまったことがあった。嗤われるかと思ったけれど、誰も嗤わず、ただ静かだった。それがありがたくて、でも恐ろしかった、沈黙が私を責めていた。それ後の文章を読んだ記憶はあまりなく、もう一人の私が声を出してくれていたようだった。

 移動教室の際の、何気ない視線が怖い。皆私を見ているわけではない筈なのに、皆が私を非難しているように思えてしまう。

 不登校だと、普通に馴染めていないと、そう、罵られているような気がする。実際は前よりずっと前進している筈なのに、前よりずっと後ろにいる気がする。


 良いこともなかったわけではない。 

 グループで話すことだってある、そんな時は明らかに私の方への視線があった。でも特別責められるとかそんなことはなく、普通に話し合いが進む。自分が勇気を出した意見をグループの意見として発表されたことは、嬉しかった。

 後ろの席の女の子が「消しゴム貸してくれない?」と頼ってくれたことがある。私は勿論快く貸して、「ありがとう江藤さん」と言われた時は嬉しかった。顔をよく見てみると、2年生2学期の終業式でカイロを貸してくれた子だった。名前は大西さん、先生に当てられていた時にようやく私は彼女の名前を知った。  


 良いことがあるとはいえ、辛いものは辛いのだ。徐々に磨耗するのを感じていた私は積極的に帰りに寄り道した。

 スーパーに寄ってお菓子を買って帰ったり、クレープを食べたり、たこ焼きを買って食べたり、とにかく甘いものや美味しい物で縮れた心の糸を補修した。

 それと、絵を描いた。頭が痛くて痛くて耐えられない夜は机に向かって鉛筆が奏でるリズムに身を任せた。不登校中ずっと描いていたから少しずつ上手くなってきている。それだけは小さく淡い、たった一つの自信だ。

 あとはたくさん寝た。寝不足だと頭痛も酷くなるので9時には必ず寝るようにした。 


 少しずつ私は頑張っていた、褒め言葉も労いの言葉も和奏から、朝陽君から、家族からいくつも聞いた。孤独に、でもいろんな人に支えられながら頑張っていた。

 

*


 私は全身の筋肉が悲鳴を上げる音を聞きながら、図書室で帰る準備をしていた。出て見た体育の授業は丁度シャトルランで、どうしてこんな日に出てしまったのだろうと思いつつ皆に必死について行って走った。ついでに余った時間で他のまだやっていない体力テストの種目の上体起こしや反復横跳びなんかもやったのでもうヘトヘトで、今にも倒れてしまいそうだった。

 

「今日は体育?」


 朝陽君が鞄を肩に掛けながら問いかける。


「うん、大変だったよ~。あんなに体を動かしたのは久しぶりで、もう筋肉痛が来てる」

「じゃあ帰ったらストレッチをした方がいいよ、あとちゃんと揉んでおいた方が良い」

「うん、そうする」


 さて、私も帰るかと立ち上がると、「あれ」と不思議そうに朝陽君が呟き、ドアの前で止まっていた。


「どうかしたの?」

「朝は体操服持ってきてなかった?」

「え?……あ、更衣室に忘れて来た」

「じゃあ早く取りに行かないと、部活の子とかが入って来る前に」

「確かにっ!――あいててて、うわぁっ!」


 急いで動こうとすると足が軽く攣って、前のめりに倒れた。そのまま固い床に一直線――とはならず、朝陽君に抱きかかえられるような形で私は助かった。

 私の体を支える腕が意外と硬くて大きくて、男の子なんだなって感じていると、急速に耳の辺りが熱くなった。

 

「あ、ありがとう」

「怪我はない?大丈夫?急ぎすぎたらだめだよ」

「う、うん、ごめんなさい」


 恥ずかしがってる私が馬鹿みたいだ、彼はこんなに純粋に心配してくれてるというのに。

 逃げるように廊下を早歩きで進んだ。廊下を伝ってホームルーム終わりの人の声が、足音が聞こえてくる。大きく気にすることは無いにしても、人が多い場所はまだ忌避感がある。それでも以前に比べたらマシで、ささっと取って帰れるだろうと思いながら更衣室のドアを開けた。

 幸いまだ誰もいない、痛む足を傷付けない程度に急ぎ、回収。出ようと思ったところで、人影が視界に割り込んだ。


「きゃっ」


 ぶつかりよろけ、後ろにこける。見上げた視界に映ったのは、沢渡だった。彼女のことは何度も授業中目についていた、からかわれるくらいは前もあったが、最近は無いので不思議に思っていたくらいだ。でもこれは、嗤われる。実際彼女の後ろからぎょろりと目が覗き、私を嗤っている。だが不思議なほど沢渡は無表情で、驚くことに手を差し伸べて来た。


「とりあえず起きろよ」


 そんなボーイッシュな低い声も久しぶりだなと思いつつ、おどおどと私は手を差し出して立ち上がった。


「で、なにしてんのお前」

「あ、あの、体操服忘れたから、取りに来て……」

「じゃあさっさとどけ、邪魔なんだよ」

「あ、はい」


 そそくさと出て行くも、その足を掛けたりしなかった。受け身の準備をして身構えていたのに拍子抜けだ。私のことを嗤ったのも取り巻きみたいな女の子だけだ、昔は沢渡も愉悦に浸った顔で嗤っていたのに。

 2学期のい終業式の日から何処か変わった気がする、いや、その前から徐々に大人しくはなっていたけど。

 彼女も大人になりつつあるのだろうか、なら、あのことはいずれ無いことになるのだろうか。

 それでいいと私も思っている、でも何処かで許せない心もあってささくれ立った思いが胸に突き刺さる。


 こうなったら甘いものを目いっぱい食べてしまおう、そう思いながら階段を下りて、自転車に乗って、風に揺れながら一つの言葉を思い出す。


――邪魔なんだよ


 それが私の一連の努力全てを示唆しているような気がして、頭痛が鋭く鳴った。


*


 5月末には修学旅行がある。だから当然班決めや部屋の割り振りなんかを決めないといけない。班と部屋割りはある程度同じで、大体3~4人一組で自由時間は動くことになる。

 ちなみに修学旅行は沖縄だ、戦争関連の場所にも行くし、海にも入るし、水族館にも行く。泊まる場所はホテルで、中学校生活の花――と、言えなくもないが半分不登校状態の私にとっては酷なイベントでもある。

 行かなければ確実に後悔が残り、行けたとしても頭痛が心配だし、何より人間関係が怖い、とても怖い。逃げられる場所がない、というのが怖いのだ。帰るには飛行機に乗る必要がある。


 説明会のようなものは何度か受けた。事前学習は受けていないが、皆が作ったレポートは読ませてもらった。戦争と言えば小学校の時に見た平和映画を思い出す。とても同情してしまって泣いてしまった記憶がある。同じような恥ずかしい経験はもうしたくない。

 ちなみに朝陽君は悩んでいるらしい。行くか行かないか、あんまり「行った方がいい」と言うとプレッシャーになる気がして、曖昧に「どっちを選んでも誰も責めないよ」と言った。けれど後から思い出せば、敢えて言ったということは、責める人が実はいるけど気にしないように言った、そんな風にひねくれて聞こえてしまうのではないだろうか。

 言ってしまった物は仕方なく、後から訂正しても悪い事態にしか発展しない。私はこういう役目が苦手だなぁと思い、何度も溜息をついた。


 班決めではいつもの通り余っておどおどすると思ったが、颯爽と和奏が私を拾ってくれた。和奏がいてくれて本当によかったと思っている所に、担任の若い女教師の間の抜けた声が聞こえた。


「えーっとぉ、沢渡さんと組んでくれる人ー?」


 メモ帳を覗いて小学校のように呼び掛ける様は、新卒の心の白さを際立てて見せていた。

 当の沢渡はふてくされたような顔をし、回りを見渡していた。あーこれは……そう思っていると案の定和奏が出を上げる。


「ここまだ三人だから、おいで」

  

 和奏はこういう子だ。一人でいる人を見捨てない、そんな所に私も救われている訳だが、今回ばかりは勘弁してほしかった。

 沢渡は人混みを掻き分けやって来て、私たちに一言。


「よろしく」 


 嫌な気分だった、嫌いな人と修学旅行なんて行きたくない。

 けれど、心の何処かでこれを気に仲良くなれたらと、そう思う自分の思考に驚いた。

 過去の記憶も、想いも徐々に薄れるもの。いじめられた記憶は根強く残っていてもいずれ忘れて行くのだろう。だからといって割りきれるものでもない、過去の行いに対して、私は心の何処かで対価を求めている。

 裁かれてほしいわけでも、謝ってほしいわけでもない。そんなものでスッキリするとも思えないからだ。けど、どうすれば良いかはわからない、だからモヤモヤする。

  

 和奏と沢渡は案外仲が良いようだ、別に笑いあっている訳ではないのに何処か通じ合っているように感じる。昔はもう少し仲が悪かった気がする。皆も、変わっているんだろう。

 皆、変わる。人間関係も人格も止めどなく変化している。私はそれに付いて行けているのだろうか。皆の輪に、入れているのだろうか。


 そんなことを考えつつゆったりと準備が進み、4月が終わり、5月の長い連休が終わり私の教室に行く頻度も増えた頃に、朝陽君が学校に来なくなった。

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