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酔えば酔うほど異世界最強 〜ランダム酒魔法と極上の一杯で世界を救います〜  作者: 晴天よよい
第二章 杯を重ねて世界を知る編

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81杯目「長老の視察と醸造所建設開始」

 翌朝、俺は緊張で早く目が覚めた。


「今日がその日か……」


 窓の外を見ると、グラン・ハンマーの街はすでに活気に満ちている。


「アル、起きてるの?」


 ドアをノックする音と共に、リリアの声が聞こえた。


「ああ、起きてる」


「朝食の準備ができたわ。ゴルドさんが用意してくれたみたい」


 俺は部屋を出た。


 食堂では、仲間たちがすでに集まっていた。


「おはよう、アル」


 ルーナが笑顔で手を振る。


「おはようございます、アルさん」


 リーサも元気に挨拶してくれる。


「おはよう、みんな」


「アル殿、今日は大事な日ですね」


 ゴルドが真剣な表情で言う。


「ああ。ブルグ長老に、しっかり説明しないと」


「大丈夫じゃ!」


 ドラが食堂に入ってきた。


「わしらも一緒に行くぞい!」


  グラとダグも続く。


「長老は頑固だが、心は開いておる」


 グラが言う。


「本当に良いものなら、必ず認めてくれるんじゃ」


 ダグも頷く。


 朝食を終えると、俺たちは醸造所の予定地へ向かった。


 グラン・ハンマーの街の東側、川沿いの広い空き地だ。


「ここか……」


 俺は周囲を見回した。


 確かに、水源も近いし、日当たりも良い。


「いい場所じゃのう」


 ドラが満足そうに頷く。


 その時、向こうから一団が近づいてきた。


「来たぞい……」


 グラが緊張した顔をする。


 先頭を歩くのは、白い髭を蓄えた年老いたドワーフ——長老ブルグだ。


「おお、アル殿か」


 ブルグが俺を見て頷いた。


「お久しぶりです、ブルグ長老」


 俺が頭を下げると、ブルグは少し照れくさそうに笑った。


「あの時の焼酎は、わしも認めた」


「今回の日本酒というのも、素晴らしい味じゃった」


「ありがとうございます」


「それで……」


 ブルグが周囲を見回す。


「ここに醸造所を作るのか?」


「はい。川が近く、水質も良いこの場所が最適だと思います」


 俺が説明すると、ブルグは頷いた。


「確かに。水は酒造りの命じゃからな」


「具体的に、どんな建物を建てるつもりじゃ?」


「はい。まず……」


 俺は準備してきた図面を広げた。


「精米所、蒸し場、発酵室、貯蔵室の4つの主要な部屋を作ります」


「ほう……」


 ブルグが図面を見つめる。


「それぞれ、どんな役割じゃ?」


「精米所では、米を磨いて純度を高めます」


「米を磨く……?」


 ブルグが不思議そうな顔をする。


「はい。米の外側には雑味の原因になる成分が多いので、削って中心部だけを使うんです」


「ふむ……もったいない気もするが、それが美味い酒の秘訣なのか」


「その通りです」


 俺は続けた。


「蒸し場では、米を蒸します。炊くのではなく、蒸すことで適度な水分に調整するんです」


「なるほど……」


 ブルグが真剣に聞いている。


「発酵室が一番重要です。ここでは温度管理が命なので、魔法陣を設置します」


「魔法陣?」


 ブルグの目が輝いた。


「見せてみい」


 俺はユリからもらった魔法陣の図面を取り出した。


「これは……!」


 ブルグが驚きの声を上げる。


「温度調整の魔法陣か! こんな精密なもの、見たことがない!」


「ユリさんが特別に作ってくれたものです」


「ほう……」


 ブルグが感心する。


「最後に、貯蔵室です。ここで酒を熟成させます」


「熟成……時間をかけて、味を深めるのじゃな」


「はい」


 俺が頷くと、ブルグは満足そうに笑った。


「よく考えられておる」


「これなら、素晴らしい酒ができるじゃろう」


「ブルグ長老……」


「わしは許可する」


 ブルグが宣言した。


「この醸造所建設を、正式に認める」


「ありがとうございます!」


 俺が頭を下げると、ブルグは俺の肩を叩いた。


「アル殿、わしらドワーフに酒造りを教えてくれ」


「喜んで」


「よし!」


 ブルグが周囲のドワーフたちに向かって大声で言った。


「今日から、醸造所の建設を開始する!」


「おお!」


 ドワーフたちが歓声を上げる。


「総員、準備にかかれ!」


 すると、待機していた職人たちが一斉に動き出した。


「おお……すごい」


 俺は驚いた。


 もう準備が整っていたのか。


「アル殿、まずは基礎工事じゃ」


 ブロムが設計図を持ってやってきた。


「ここに石を積んで、土台を作る」


「分かりました」


「石工の準備はできてるぞ!」


 トーリンが大きな石を運んでくる。


「木材もたっぷり用意したぜ!」


 バーリンも材木を積んだ馬車を引いてきた。


「わしらも手伝うぞい!」


 ドラ、グラ、ダグが張り切っている。


「温度管理の魔法陣は、わしが設置する!」


 ダグが魔法陣の図面を手に取る。


「よし、始めるか!」


 ゴルドが掛け声をかけると、ドワーフたちが一斉に作業を始めた。


 カンカンカン——


 金槌を打つ音が響く。


 ゴロゴロゴロ——


 石を運ぶ音が聞こえる。


「おお、すごい活気だな」


 俺は感動した。


「ドワーフの職人は、仕事が早いんじゃ」


 ブルグが誇らしげに言う。


「見ておれ。一ヶ月で立派な醸造所を作ってみせる」


「楽しみにしています」


 その時、ベルガモットがやってきた。


「おお、もう始まっているのですね!」


「ベルガモットさん」


「素晴らしい! これで、魔王国への酒の供給も安定しますね」


 ベルガモットが嬉しそうに笑う。


「はい。必ず、良い酒を造ります」


「期待していますよ」


 午前中、俺は建設現場を見て回った。


 ドワーフたちの手際の良さには驚かされる。


「ここに柱を立てるぞ!」


「おう!」


「石をもっと運べ!」


「了解!」


 まるで、1つの生き物のように動いている。


「アルさん」


 リリアが俺のそばに来た。


「すごいね。みんな、本当に楽しそう」


「ああ」


「新しいものを作る喜びって、こういうことなのね」


 ルーナも微笑む。


「そうだな」


 俺も微笑んだ。


 みんなが協力して、何かを作り上げる。


 これこそが、俺が求めていたものだ。


 昼休み、ドワーフたちは作業を休んで食事を取った。


「いやあ、良い汗かいたぞい!」


 ドラが満足そうに笑う。


「午後も頑張るぞい!」


 グラも元気だ。


「魔法陣の設置、順調じゃ」


 ダグが報告してくれる。


「本当に?」


「ああ。ユリ殿の図面が完璧だから、スムーズに進んでおる」


「よかった」


 俺は安堵した。


「アル殿」


 ゴルドが近づいてきた。


「午後から、発酵室の壁を作り始めます」


「ああ、お願いします」


「それと……」


 ゴルドが少し照れくさそうに言う。


「若い職人たちが、アル殿に酒造りを教えてほしいと言っています」


「本当に?」


「ええ。みんな、日本酒を飲んで感動したようです」


「分かりました。醸造所が完成したら、必ず教えます」


「ありがとうございます!」


 ゴルドが嬉しそうに笑った。


 午後、作業はさらに加速した。


「壁ができてきたぞ!」


「屋根の材料も揃った!」


「発酵室の床も完成だ!」


 次々と報告が入る。


「すごいな……」


 俺は感心した。


「ドワーフの職人は、本当に腕がいいんじゃ」


 ブルグが満足そうに言う。


「わしらの誇りじゃからな」


 夕方、一日の作業が終わった。


「今日はここまでじゃ!」


 ブロムが声をかけると、ドワーフたちは工具を片付け始めた。


「お疲れ様でした」


 俺が声をかけると、みんなが笑顔で答えてくれた。


「明日も頑張るぞい!」


「ああ!」


「アル殿、今日はどうでしたか?」


 ゴルドが尋ねる。


「素晴らしかったです。みんなの協力のおかげで、順調に進んでいます」


「それはよかった」


「明日からも、よろしくお願いします」


「任せてください!」

 

 俺たちはゴルドの屋敷に戻った。


「今日は疲れたわね」


 リリアが言う。


「でも、良い疲れだな」


 俺は微笑んだ。


「そうね。みんなが1つの目標に向かって頑張ってる」


 ルーナも嬉しそうだ。


 夕食の後、俺は外に出た。


 夜空には、2つの月が輝いている。


「双月蝕まで、あと数ヶ月……」


 俺は呟いた。


 でも、今は醸造所の建設に集中しよう。


 ドワーフたちに酒造りを教え、人と人を繋ぐ。


 それが、俺の役割だ。


「天泣さん……」


 俺は心の中で呟いた。


「あなたの夢、ちゃんと広げていきますから」


 風が優しく吹いて、俺の頬を撫でた。


 まるで、天泣さんが応援してくれているようだった。


もし面白い・続きが気になるとほんのすこーしでも思っていただけたら☆☆☆☆☆をポチポチして貰えたら嬉しいですm(_ _)m

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