表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生酔いどれ世直し記〜酒飲みながら平和にしてやんよ編〜  作者: 晴天よよい


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/61

41杯目 暴走!古代遺跡の脅威


 獣人の森を抜け、俺たちはドワーフの街へと急いだ。


 手には、青く輝く獣人族の花。


 だが——


「なんだ、あれ……」


 グラの呟きで、俺は前を見た。


 街全体が、禍々しい紫色の光に包まれていた。


 ゴゴゴゴゴ……


「あれは……古代遺跡の魔力じゃ!」


 ドラが叫んだ。


「わしの故郷の街が……!」


 ダグが青ざめた。


「急ぐぞ!」


 俺たちは街へと走り出した。


***


 街に入ると、そこは混乱の極みだった。


 家々が揺れ、石畳が割れている。


「ドラ!グラ!無事だったか!」


 一人の老ドワーフが駆け寄ってきた。


「親方!」


 ダグが叫んだ。


「避難は進めておるが……遺跡の暴走が止まらん!このままでは、街全体が崩壊する!」


「どれくらい持つ!?」


「長くて、あと一時間……いや、もっと短いかもしれん!」


 親方の言葉に、俺の背筋が凍った。


「わかった。俺が遺跡へ向かう」


 俺は花を握りしめた。


「その花は……まさか、獣人族の!?」


「ああ。これで、必ず止めてみせる」


「アル、私も——」


 リリアが言いかけたが、俺は首を横に振った。


「みんなは街の避難を頼む。遺跡の奥は狭い。人数が多いと動きづらい」


「でも……」


「大丈夫だ」


 俺は笑った。


(街を救って、魔力の酒……!)


「アル、今絶対に酒のこと考えてたでしょ」


 リリアが呆れた顔で言った。


「……バレた?」


「相変わらずだな」


 グラが笑った。


「急げ、アル!」


 ドラが俺の背中を押した。


「ああ!」


 俺は遺跡へと走り出した。


***


 古代遺跡の前に立つと、その異様さが肌で感じられた。


 ゴゴゴゴゴ……


 紫色の魔力が、渦を巻くように遺跡から溢れ出している。


「行くしかない……!」


 俺は花を握りしめ、遺跡の中へと足を踏み入れた。


 遺跡の内部は、混沌としていた。


 紫色の魔力が、まるで生き物のように蠢いている。


「くっ!」


 俺は花を掲げた。


 その瞬間——


 花から青い光が放たれ、魔力の渦を押し返した。


「すごい……花が魔力を浄化してる……」


 花の光を頼りに、俺は奥へと進んだ。


 その時——


 ゴゴゴゴゴ……


 石の巨人——ゴーレムが、俺の前に現れた。


「またお前か……!」


 以前、ここで戦ったゴーレムだ。


 グオオオオ!


 ゴーレムの拳が振り下ろされる。


「くそっ!」


 俺は横に転がって回避した。


 だが——


「一人じゃ、勝てないか……」


 その時、脳裏にユリの姿が浮かんだ。


 山脈で会った、あの日本人の女性——黄金のドラゴン。


 彼女が見せてくれた、酒造りの技術。


 そして、あの時ユリと一緒に飲んだ日本酒——


「あの時の感覚を……もう一度……!」


 俺は腰に下げていた、ユリから貰った日本酒の小瓶を取り出した。


 これは特別な時のために取っておいたものだ。


「ユリさん……力を貸してくれ!」


 俺は一気に日本酒を飲み干した。


 瞬間——


 体中に、ユリの魔力が流れ込んでくる。


「トレース……発動!」


 俺の視界が、一変した。


 ゴーレムの体の構造が、まるで透けて見えるように理解できる。


 魔力の流れ、弱点、そして——


「あそこだ……!核が見える!」


 ゴーレムの胸の奥、紫色に光る核。


 あれを破壊すれば——


 グオオオオ!


 ゴーレムが再び拳を振り下ろしてくる。


 だが——


「遅い!」


 俺の体は、まるでユリが乗り移ったかのように軽やかに動いた。


 ゴーレムの拳を紙一重で避け、その腕を足場に跳躍。


「届けっ!」


 俺は花を握りしめた拳を、ゴーレムの胸に叩き込んだ。


 バキィィィン!


 花の青い光が、ゴーレムの核を貫く。


「核、破壊!」


 ガラガラガラ……


 ゴーレムの体が崩れ落ち、ただの石の山になった。


「ユリさん……ありがとう」


 俺は呟きながら、奥へと進んだ。


***


 遺跡の最深部。


 そこには、巨大な魔法陣が描かれていた。


 その中心に、一本の水晶の柱。


「あれが、核か……」


 俺は花を掲げた。


 花は、魔法陣の中心を指している。


「頼む……街を救ってくれ」


 俺は花を、柱に押し当てた。


 その瞬間——


 バァッ!


 眩い青い光が、遺跡全体を包み込んだ。


 紫色の魔力が、青い光に浄化されていく。


 ゴゴゴゴ……という轟音が、徐々に静まっていく。


 そして——


 全てが、静かになった。


「……終わった」


 俺は膝から力が抜けた。


「救えた……」


 そして——


(魔力の酒……!)


 俺は勢いよく立ち上がった。


***


 遺跡の奥の部屋。


 そこに、虹色に輝く液体が入った瓶があった。


「これが……魔力の酒……」


 俺は瓶を手に取り、蓋を開けた。


 甘い香りが広がる。


「いただきます……!」


 俺は一口、飲んだ。


 とろりとした液体が、舌の上を滑る。


 甘い。でも、ただの甘さじゃない。


 奥深い、複雑な甘さ。


 そして——


 全身に、魔力が駆け巡る。


「これは……!」


 体中が、魔力で満たされていく。


 力が湧いてくる。


 感覚が研ぎ澄まされる。


 視界が——


 なぜか、やけにクリアだ。


 音も、いつもより鮮明に聞こえる。


 まるで、世界が違って見える——


「最高だ……」


 俺は感動で震えた。


「アル!」


 その時、リリアの声が聞こえた。


「来客が!」


「来客?」


 俺は部屋を出た。


***


 遺跡の入り口に戻ると——


「よう、アル」


 そこには、金髪の美しい獣人が立っていた。


「フルン!?」


「約束しただろう。街を救った後、一緒に飲もうと」


 フルンが微笑んだ。


「ああ……」


 俺は頷いた。


「なら、飲もう。お前の、魔力の酒を」


「もちろん!」


***


 その夜、ドワーフの街では盛大な宴が開かれた。


 魔力の酒を、みんなで分け合った。


「これは……すごいな」


 フルンが驚いた顔で言った。


「魔力が体中に広がる感じがするぞ!」


 ダグが目を輝かせた。


「これを超える酒を作る。それが、俺の次の目標だ」


 俺は得意げに笑った。


「さあ、乾杯だ!」


 俺はグラスを掲げた。


「街の平和と、新たな仲間に!」


「「「乾杯!」」」


 みんなの声が、夜空に響いた。


 その瞬間——


 俺の視界に、不思議な光景が映った。


 まるで、空気の流れが見えるような——


 魔力の流れが、色として見えるような——


 だが、それは一瞬のことで、すぐに消えた。


(……気のせいか?)


 俺は首を傾げたが、すぐに笑顔を取り戻した。


 次は何飲もうかなそんなことを考えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ