36杯目 ドワーフの街の異変!地下から響く唸り声
山を下りて、半日ほど歩いた頃——
「おお!見えてきたぞ!」
ドラが指差した。
そこには、巨大な街が広がっていた。
いや、街というより……砦?
石造りの建物が、山の斜面に沿って建てられている。
「あれが、ドワーフの街、グラン・ハンマーじゃ!」
グラが誇らしげに言った。
「ワシらの故郷よ!」
「すごいな……」
俺は感嘆の声を漏らした。
リリアとルーナ姫も、目を輝かせている。
「まるで要塞みたいですね」
「ええ……こんな街、初めて見たわ」
「さあ、行くぞ!お前さんたちを、盛大に歓迎してやる!」
ダグが笑った。
***
街の入り口には、大きな門があった。
「おお、ドラたちか!帰ってきたのか!」
門番のドワーフが声をかけてきた。
「ああ!伝説の酒を手に入れたぞ!」
ドラが樽を掲げた。
「なんじゃと!?本当か!?」
「本当じゃ!これも、このアル殿のおかげでな!」
「ほう……」
門番のドワーフが、俺をじっと見た。
「人間か……珍しいのう」
「よろしく」
俺は軽く頭を下げた。
「うむ。ようこそ、グラン・ハンマーへ!」
こうして、俺たちは街の中へと入った。
街の中は、思った以上に賑やかだった。
ドワーフたちが、鍛冶場で武器を作っている音が響いている。
カン!カン!カン!
「すげえ……本格的な鍛冶場だ」
「当たり前じゃ!ドワーフの鍛冶は、世界一じゃ!」
ドラが胸を張った。
「あの……アル」
リリアが俺の袖を引いた。
「どうした?」
「なんだか……地面が揺れてる気がするんですけど」
「え?」
俺は足元を見た。
確かに、微かに地面が揺れている。
「気のせいじゃないか?」
「いや、わたしも感じるわ」
ルーナ姫も眉をひそめた。
その時——
ゴゴゴゴゴゴゴ……!!
突然、大きな揺れが襲ってきた。
「うわっ!?」
俺はバランスを崩しかけた。
「地震か!?」
「また始まったぞ!」
「逃げろ逃げろ!」
ドワーフたちが慌てて走り出した。
「また……?どういうことだ?」
ドラに尋ねると、ドラは顔を曇らせた。
「実は……ここ数日、街で地震が頻発しておるんじゃ」
「地震が?」
「ああ……原因は、地下遺跡じゃと言われておる」
「地下遺跡……?」
「ドラァァァ!!」
突然、怒鳴り声が響いた。
振り返ると——
巨大なドワーフが、こちらに向かって走ってきた。
筋骨隆々とした体に、立派な髭を蓄えている。
「お、親方……」
ドラが顔を引きつらせた。
「貴様ら!よくものんきに帰ってこれたもんじゃな!」
親方と呼ばれたドワーフが、ドラたちを睨みつけた。
「す、すみません……」
「すみませんじゃない!街がこんな状況じゃというのに!」
「し、しかし……ワシらは伝説の酒を……」
「そんなもんより、今は地下遺跡をどうにかせんと!」
親方が怒鳴った。
「あの……地下遺跡って、何があるんですか?」
俺は思い切って尋ねた。
「……誰じゃ、お前は」
親方が俺を見た。
「俺は、アル。ドラたちを手伝って、伝説の酒を手に入れた者です」
「ほう……」
親方は、しばらく俺を見つめていたが——
やがて、深くため息をついた。
「……まあ、いい。説明してやろう」
***
親方の説明によると——
グラン・ハンマーの地下には、古代ドワーフが残した遺跡がある。
その遺跡には、「魔力を酒に変換する技術」が封印されているという。
「魔力を……酒に?」
「ああ。古代ドワーフは、魔力を酒に変えて保存する技術を持っておった」
「すげえな……」
「じゃが、その技術は危険すぎるとして、遺跡ごと封印されたんじゃ」
「危険……?」
「魔力が暴走すれば、街全体が吹き飛ぶ」
親方が重々しく言った。
「……マジかよ」
「数日前から、その遺跡が暴走し始めたんじゃ。地震も、その影響じゃ」
「なるほど……」
「ワシらは、何度も調査隊を送った。じゃが……」
親方は言葉を詰まらせた。
「じゃが……?」
「誰一人として、戻ってこなかった」
「!?」
「遺跡の奥には、古代の防衛システムが作動しておる。魔導技術で動く番人じゃ」
「それで、調査隊が……」
「ああ……もはや、ワシらの手には負えん」
親方が悔しそうに拳を握った。
その時——
「……魔力を酒に変える技術、か」
俺は、親方の言葉を反芻していた。
「それって……どんな味なんだろうな」
「……は?」
親方が呆気に取られた顔をした。
「いや、だってさ。魔力を酒に変えるなんて、前代未聞だろ?それがどんな味なのか、すげー気になるんだよ」
俺は目を輝かせた。
「お前……今、街の危機の話をしておるんじゃが……」
「わかってるって。でも、そんな珍しい技術を見ないで帰るなんて、酒好きとして許せないんだよ」
「アル……あなた、本気で言ってるんですか……?」
リリアが、呆れたような声で言った。
「本気だよ。だから、俺たちが地下遺跡を調査します」
「ちょ、ちょっと待って!危険だって言ってるのに、酒の味が気になるからって……!」
「それに、街を救えば一石二鳥じゃん?」
俺はニヤリと笑った。
「もう……あなたって人は……」
リリアがため息をついた。
「……まあ、アルらしいと言えばアルらしいわね」
ルーナ姫が苦笑した。
「ふぉっふぉっふぉ!面白い男じゃ!ワシらも手伝うぞ!」
ドラ、グラ、ダグも笑いながら声を上げた。
「お前たち……」
親方は、しばらく黙っていたが——
やがて、深く頭を下げた。
「……頼む。街を、救ってくれ」
「任せてください」
俺は、親方の肩を叩いた。
こうして、俺たちは地下遺跡へ向かうことになった。
***
「それにしても……混成酒、まだ残ってるかな」
俺は懐の小瓶を確認した。
混成酒——複数種族の酒を混ぜた特殊な酒。
これを飲むと、他者の技やステータスをトレースできる。
山での戦いで、その力を実感した。
「また、あの力が役に立つかもな……」
俺は小瓶を握りしめた。
リリアとルーナ姫が、俺の両脇に立った。
「アル、無理はしないでくださいね」
「ええ、わたしたちが守るわ」
「ありがとう、もちろん頼りにしてるぜ」
俺は二人に笑顔を向けた。
「お前たちまで、来なくてよかったのに悪いな」
「何を言うか!お前さんについていったらうまい酒がのめると思っての事じゃ」
「気にするな!わしらの為だ」
「そうじゃ!そうじゃ!」
ドワーフたちは、気合を入れて言い放つ
「さあ、行くぞ!地下遺跡じゃ!」
ドラが拳を掲げた。
「まぁなんとかなるか」
俺たちは、地下遺跡へと向かった。
***いつもお読みいただいている酔いどれの皆様へお願い***
是非読んでいただいて、思ったリアクション(スタンプ)だけでも頂けるとすごくうれしいです!
感想などいただけると今後の創作活動の参考にさせていただき、よりよい作品にしていきます!
また私は絵を描く才能はないので、是非アルたちの物語を絵でも見てみたいと思ってます。
(誰か描いてくれないかなと自分勝手に思ってます(笑))
皆様の応援が力になります!ぜひよろしくお願いいたします。
12月31日は3話一挙投稿いたします!
11時、15時、20時投稿予定です!是非スキマ時間に読んでいただけたら嬉しいです
リアクションなんかもくれたらうれしいなと思ってます……




