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異世界転生酔いどれ世直し記〜酒飲みながら平和にしてやんよ編〜  作者: 晴天よよい


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25/63

25杯目 王都への帰還



エルフの里を出発してから二日。


俺たちは、ようやく王都の門が見える位置まで来ていた。


「見えたぞ!王都だ!」


俺は指差した。


「ええ……でも」


リリアが眉をひそめる。


「なんか、様子がおかしくないですか?」


「おかしい……?」


俺は目を凝らした。


---


王都の門には、普段より多くの兵士が配置されている。


そして、門の前には長い列ができていた。


「検問……してるのかしら」


マリアが言う。


「検問?」


「ええ。入城者を厳しくチェックしているみたい」


「もしかして、俺たちの手紙が届いたのか?」


俺は言った。


「かもしれないわね……」


リリアが頷く。


---


俺たちは列に並んだ。


前には商人や旅人が何人も待っている。


「どのくらい待つんだろう……」


俺は呟いた。


「仕方ないわ。警戒が厳しくなってるってことは、それだけ真剣に受け止めてくれたってことよ」


リリアが言う。


「そうだな……」


---


30分ほど待つと、ようやく俺たちの番が来た。


「次!」


門番が呼ぶ。


俺たちは前に出た。


「身分証を見せろ」


門番が厳しい顔で言う。


「あ、ああ……」


俺は懐から、マーカスがくれた通行証を取り出した。


「これでいいか?」


---


門番が通行証を確認する。


「……アル殿か」


「あ、ああ。俺がアルだ」


「お待ちしておりました」


門番の態度が急に丁寧になった。


「え?」


「マーカス様から伝令が。『アル殿が来たら、すぐに城へ案内せよ』と」


「マジで?」


「はい。こちらへどうぞ」


---


門番に案内されて、俺たちは王都の中に入った。


「すごい警戒だな……」


俺は呟いた。


街中には、普段より多くの兵士が巡回している。


「ええ……緊張感が伝わってくるわ」


マリアが言う。


「伝令の鳥、ちゃんと届いたみたいね」


リリアが安堵する。


---


城の門に着くと、そこにはマーカスが待っていた。


「アル!」


マーカスが駆け寄ってくる。


「マーカス!」


「無事だったか!」


「ああ、何とかな」


俺は苦笑いした。


---


「手紙を読んだ。王都が襲われるかもしれないって本当か?」


マーカスが真剣な顔で聞く。


「ああ……エルフの里で、黒ローブが『次は王都だ』って言ってたらしい」


「黒ローブ……」


マーカスが拳を握る。


「それで、警備を厳重にしたのか?」


「ああ。ルーナ姫と王様に報告して、すぐに対応してもらった」


「そっか……」


俺はほっとした。


(間に合ったみたいだな……)


---


「それより、アル」


マーカスが声を潜める。


「どうした?」


「実は……妙なことが起きてるんだ」


「妙なこと?」


「ああ。ここ数日、王都で奇妙な失踪事件が起きている」


「失踪事件……?」


俺は眉をひそめた。


---


「ああ。騎士が、突然姿を消すんだ」


マーカスが説明する。


「突然姿を消す……?」


「ああ。夜の見回り中に消えたり、休憩中に消えたり……」


「消えた後、見つかったのか?」


「見つかった者もいる。でも……」


マーカスが顔を曇らせる。


「でも?」


「記憶がないんだ」


「!」


---


(記憶がない……ロベルトと同じだ!)


俺は驚いた。


「記憶がないって、どういうことだ?」


リリアが聞く。


「失踪前の記憶が、すっぽり抜け落ちてるらしい」


「……やっぱり、黒ローブの仕業か」


俺は拳を握った。


「可能性は高いな……」


マーカスが頷く。


「それで、失踪したのは誰なんだ?」


「それが……妙なことに」


マーカスが真剣な顔をする。


「妙なこと?」


「失踪した人たちは全員、以前に呪いを受けたことがある者たちなんだ」


「以前に……呪いを?」


俺は眉をひそめた。


---


「ああ。数ヶ月前から、騎士たちの間でも奇妙な事件が起きていてな」


マーカスが説明する。


「突然、数日分の記憶を失う人が出始めたんだ」


「数日分の記憶……」


「ああ。本人たちも何が起きたのか全くわからない。ただ、気づいたら記憶が抜けている」


「それって……」


リリアが驚く。


「そう。今回失踪した騎士は全員、その記憶喪失を経験した者たちだ」


マーカスが深刻な顔で言う。


---


「それで、今までに何人失踪したんだ?」


「確認されてるだけで、5人」


「5人……」


「ああ。そのうち3人は戻ってきたが、2人はまだ行方不明だ」


マーカスが深刻な顔で言う。


「くそっ……もう王都に潜り込んでるのか……」


俺は近くの壁を叩く


「しかも、記憶喪失を経験した騎士は、全部で10人いる」


「10人……!」


「ああ。つまり、まだ5人の騎士が、狙われる可能性がある」


---


「とにかく、ルーナ姫に報告しよう」


マーカスが言った。


「ルーナ姫……そういえば、姫は無事か?」


「ああ。城の中で厳重に警護されている」


「そっか……」


俺はほっとした。


---


マーカスに案内されて、俺たちは城の謁見の間へ向かった。


扉を開けると、そこにはルーナ姫と王様がいた。


「アル!」


ルーナ姫が駆け寄ってくる。


「ルーナ姫……」


「無事で良かった……」


ルーナ姫が安堵の表情を浮かべる。


---


「アル殿、よくぞ戻られた」


王様が声をかけてくれる。


「お久しぶりです」


俺は頭を下げた。


「エルフの里のこと、手紙で読んだ。大変だったようだな」


「ええ……でも、エルフの人たちは無事でした」


「それは何よりだ」


王様が頷く。


---


「ところで、王様」


俺は言った。


「マーカスから聞きました。王都で失踪事件が起きてるって」


「……ああ」


王様が険しい顔をする。


「実は、昨夜もまた一人、騎士が姿を消した」


「昨夜も……!」


「ああ。見回り中に消えたらしい」


「その騎士も……以前、記憶を失った経験が?」


俺は聞いた。


「……その通りだ」


王様が重々しく頷く。


「まだ見つかってないんですか?」


「うむ……」


王様が首を振る。


---


「アル、あなたはどう思う?」


ルーナ姫が聞いた。


「どう思うって……」


「これ、黒ローブの仕業よね?」


「……おそらく」


俺は答えた。


「エルフの里でも、人族の騎士が操られてた。同じ手口だと思う」


「操られてた……」


ルーナ姫が顔を青くする。


---


「つまり、失踪した騎士たちも……」


「ああ。おそらく、黒ローブに捕まって、操られてるんじゃないか」


俺は言った。


「そして、戻ってきた3人は……」


「役目を終えて、解放されたんだろう」


「役目……?」


「ああ。おそらく、王都の情報を盗むとか、そういう目的で」


俺は推測した。


「でも、なぜ以前記憶を失った騎士ばかりが狙われるんだ?」


リリアが聞く。


「それは……」


俺は考えた。


「おそらく、以前の記憶喪失の時に、何か『印』みたいなものを刻まれたんじゃないか」


「印……?」


「つまり、最初から仕込まれていたということか……」


マーカスが拳を握る。


---


「なるほど……」


王様が考え込む。


「では、まだ行方不明の2人は……」


「まだ捕まってるか、もしくは……」


俺は言葉を濁した。


(最悪の場合、襲撃の戦力にされるかもしれない……)


---


「アル殿、そなたに頼みがある」


王様が言った。


「頼み……ですか」


「ああ。この事件を調査してほしい」


「調査……」


俺は困った顔をした。


(またか……)


「わかりました。やれるだけやってみます」


俺は答えた。


(断れる雰囲気じゃないし……)


---


「ありがとう、アル」


ルーナ姫が微笑む。


「い、いえ……」


俺は照れくさそうに頭を掻いた。


「それで、どこから調べればいいんだ?」


「まずは、失踪現場を見てみるか」


マーカスが提案する。


「失踪現場……」


「ああ。昨夜、騎士が消えた場所だ」


「わかった。案内してくれ」


---


こうして、俺たちは失踪現場へ向かうことになった。


マーカスに案内されて、王都の西門近くの路地に来た。


「ここが、昨夜の失踪現場だ」


マーカスが指差す。


「ここか……」


俺は辺りを見回した。


---


狭い路地だ。


両側には建物が立ち並び、人通りは少ない。


「見回りの騎士が、ここを通った時に消えたんだ」


「目撃者は?」


「いない。朝になって、騎士が戻ってこないことに気づいたらしい」


マーカスが説明する。


「そっか……」


---


「マリア、何か魔力の痕跡は残ってないか?」


俺は聞いた。


「調べてみるわ」


マリアが地面にしゃがみ込んで、手を当てる。


しばらくして――


「……あるわ」


「本当か!?」


「ええ。でも、すごく微弱……」


マリアが眉をひそめる。


---


「エルフの里と同じね」


「同じ……?」


マーカスが聞く。


「ええ。エルフの里で操られていた騎士も、微弱な魔力の痕跡しか残っていなかったの」


マリアが説明する。


「つまり、同一犯か……」


「可能性は高いわ」


---


「この魔力、追跡できるか?」


俺は聞いた。


「……やってみる」


マリアが立ち上がり、目を閉じた。


魔力を集中させているようだ。


しばらくして――


「こっち……」


マリアが目を開け、路地の奥を指差す。


「こっちに痕跡が続いてる」


「よし、行こう」


---


俺たちはマリアに従って、路地を進んだ。


曲がりくねった路地を抜けると、王都の外壁に突き当たった。


「外壁……?」


「どういうことだ?」


マーカスが困惑する。


「痕跡は……ここで途切れてる」


マリアが言った。


---


「外壁で途切れる……」


俺は外壁を見上げた。


高さは10メートルほどある。


「まさか、ここを登った……?」


「いや、登った痕跡はないな」


マーカスが外壁を調べる。


「じゃあ、どうやって……」


---


その時、リリアが何かに気づいた。


「ねえ、この外壁……」


リリアが外壁に手を当てる。


「どうした?」


「妙に冷たいのよ。この部分だけ」


「冷たい……?」


俺も外壁に触れてみる。


確かに、氷のように冷たい。


---


「これ……転移魔法の痕跡じゃないかしら」


マリアが驚いた顔をする。


「転移魔法……?」


「ええ。空間を歪めて、別の場所に移動する魔法よ」


「そんな魔法があるのか!?」


俺は驚いた。


「あるけど……使えるのは、ごく一部の魔法使いだけよ」


マリアが真剣な顔で言う。


---


「つまり……」


マーカスが呟く。


「黒ローブは、転移魔法を使って騎士を連れ去った……?」


「可能性は高いわ」


マリアが頷く。


「くそっ……転移魔法なんて使われたら、追跡のしようがないじゃないか」


俺は頭を抱えた。


---


「でも、一つだけわかったことがあるわ」


マリアが言った。


「何だ?」


「転移魔法には、膨大な魔力が必要なの」


「膨大な魔力……」


「ええ。つまり、黒ローブの中には、相当な実力者がいるということ」


マリアが続ける。


「それに、転移魔法は同じ場所にしか転移できない制約がある」


---


「同じ場所……?」


「ええ。一度転移した場所には、『座標』が刻まれるの。その座標にしか、転移できないのよ」


「つまり……」


俺は考えた。


「黒ローブの拠点は、いつも同じ場所ってことか?」


「そういうこと」


マリアが頷く。


---


「拠点がわかれば……」


マーカスが呟く。


「ああ。そこを叩けば、黒ローブを一網打尽にできるかもしれない」


俺は言った。


「でも、どうやって拠点を見つけるんだ?」


「それが問題だな……」


俺は頭を抱えた。


---


その時――


「アル殿!」


遠くから、兵士が駆け寄ってくる。


「どうした?」


「大変です!城で、また騎士が一人消えました!」


「なんだと!?」


俺たちは顔を見合わせる。


「今度は城の中で……!?」


マーカスが驚く。


---


「急いで戻るぞ!」


俺たちは城へ駆け出した。


(くそっ……城の中まで侵入されてるのか!)


---


城に戻ると、大騒ぎになっていた。


「何があった!」


マーカスが兵士に聞く。


「第二騎士団のジェラルド殿が、訓練場で消えました!」


「ジェラルド……!」


マーカスが顔色を変える。


「訓練場で……!?」


「はい!他の騎士たちが見ている目の前で、突然消えたと……」


「見ている目の前で……?」


俺は驚いた。


「ジェラルドも、以前記憶を失った騎士の一人か?」


俺は聞いた。


「……ああ」


マーカスが苦い顔で頷く。


---


俺たちは訓練場へ急いだ。


そこには、困惑した顔の騎士たちが集まっていた。


「どういうことだ?説明してくれ」


マーカスが聞く。


「それが……」


一人の騎士が答える。


「ジェラルド殿が訓練をしていた時、突然黒い霧のようなものが現れて……」


「黒い霧……?」


「ええ。そして、霧がジェラルド殿を包み込んだ瞬間……消えたんです」


---


「黒い霧……」


俺は考えた。


(転移魔法……?いや、でも人前で使うなんて……)


「マリア、魔力の痕跡は?」


「調べてみる」


マリアが訓練場の中央に向かう。


---


しばらくして――


「やっぱり……転移魔法の痕跡があるわ」


マリアが言った。


「やっぱりか……」


「でも、おかしいのよ」


「おかしい?」


「通常、転移魔法は密かに使うもの。こんな人前で堂々と使うなんて……」


マリアが首を傾げる。


---


「まるで、挑発してるみたいだな」


俺は呟いた。


「挑発……?」


「ああ。わざと人前で消えることで、俺たちを不安にさせてる」


「なるほど……」


マーカスが頷く。


「心理戦か……」


---


「アル、どうする?」


リリアが聞く。


「……わからん」


俺は正直に答えた。


「転移魔法を使われたら、追跡のしようがない」


「そうね……」


「でも、黒ローブの目的が襲撃なら……」


俺は考えた。


---


「いつ襲撃が来るかを予測して、待ち構えるしかない」


「予測……できるのか?」


マーカスが聞く。


「わからん。でも、やるしかないだろ」


俺は拳を握った。


(今度こそ、奴らを捕まえてやる……)


---


その夜、俺たちは城の会議室に集まった。


マーカス、ルーナ姫、マリア、リリア、リーサ、そして俺。


「では、今後の対策を考えよう」


マーカスが切り出す。


「まず、失踪事件だが……」


「これ以上、被害を出さないためにも、騎士たちは二人一組で行動させるべきね」


マリアが提案する。


「それはいい案だ」


マーカスが頷く。


---


「それから、襲撃に備えて、警備をさらに強化する必要がある」


「警備強化……どこを重点的に守ればいい?」


俺は聞いた。


「城と、王都の門だな」


「城と門……」


「ああ。襲撃の目的が和平を壊すことなら、王族を狙う可能性が高い」


マーカスが説明する。


---


「でも……」


ルーナ姫が口を開く。


「黒ローブは、いつ襲ってくるの?」


「それが……わからないんだ」


俺は正直に答えた。


「エルフの里では『次は王都だ』と言っていたが、いつとは言ってなかった」


「そう……」


ルーナ姫が不安そうに呟く。


---


「とにかく、今できることをやるしかない」


俺は言った。


「警備を強化して、襲撃に備える」


「それしかないな……」


マーカスが頷く。


「みんな、頼む」


---


こうして、俺たちは襲撃に備えることになった。


でも、不安は消えない。


(黒ローブは、いつ襲ってくるんだ……?)


俺は窓の外を見た。


暗い夜空。


何かが起きそうな、そんな予感がした。


---


次回予告:「黒ローブの襲撃」

ついに、黒ローブが王都を襲撃する!

操られた騎士たちと、アルたちの戦いが始まる!

アルは、どの酒を飲む……?

激闘の展開、次回もお楽しみに!


※毎日更新予定です。お楽しみに!

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