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異世界転生酔いどれ世直し記〜酒飲みながら平和にしてやんよ編〜  作者: 晴天よよい


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21/61

21杯目 異世界でもBBQといったらこれでしょ



翌日、快晴。


BBQ日和だ。


「よし、準備するぞ!」


俺は朝から張り切っていた。


昨日、市場で買い込んだ食材は屋敷の厨房に山積みになっている。


肉、野菜、調味料、そして大量の酒。


「アル、本当にこんなに必要なんですか?」


リリアが呆れた顔で聞く。


「必要だよ。BBQは量が命だからな」


「でも、私たち三人だけですよね……?」


「大丈夫大丈夫。残ったら保存すればいいし」


その時、屋敷の門が開く音がした。


---


「おはよう、アル!」


マーカスの明るい声が響いた。


「マーカス?どうしたんだ?」


「BBQって聞いてな。手伝いに来たぞ」


「お前、どこで聞いたんだよ……」


「昨日、市場で会った商人から聞いた。『アルが大量の肉を買っていた』ってな」


「情報早いな!?」


「俺も連れてきたぞ」


マーカスの後ろから、マリアとゲルドが現れた。


「マリア、ゲルド!?」


「呪いの研究は一段落ついたの。息抜きも必要でしょ?」


マリアが笑顔で言う。


「俺も……その、邪魔じゃなければ……」


ゲルドが遠慮がちに言った。


「いや、全然!むしろ大歓迎だ!」


俺は嬉しくなった。


みんなでBBQなんて、最高じゃないか。


「あら、賑やかね」


今度はルーナ姫が庭に出てきた。


「おはようございます、ルーナ姫」


マーカスたちが礼をする。


「おはよう。今日はBBQなのよね。楽しみだわ」


ルーナ姫は嬉しそうだ。


でも、その隣でリリアの表情が険しくなった。


(あ、やばい雰囲気……)


---


「それでは、準備を始めましょう」


リリアがきっぱりと言った。


「私が野菜を切ります」


「あら、私も手伝うわ」


ルーナ姫が微笑む。


「結構です。姫様は座っていてください」


「私、料理は得意なのよ?」


「姫様が手を汚す必要はありません」


リリアの笑顔が完全に作り物だ。


「あの、リリア……」


「大丈夫です、アル。任せてください」


(全然大丈夫じゃなさそうなんだけど……)


「じゃあ、俺は火おこしするな」


「手伝うぞ」


マーカスが言った。


「おう、頼む」


---


庭の片隅に、俺は簡易的なグリルを設置した。


この世界には炭もあるし、BBQの道具も意外と揃っている。


「火おこし、意外と難しいな……」


マーカスが苦戦している。


「貸してみろ」


俺は火打石を手に取り、慣れた手つきで火をつけた。


「おお、さすがだな」


「まあ、何度もやってるからな」


ゲルドが薪を運んできた。


「これ、使いますか?」


「おお、助かる」


ゲルドは無口だが、気が利く。


マリアは魔法で風を送り、火の勢いを調整していた。


「マリア、それ便利だな」


「ふふ、魔法は料理にも使えるのよ」


---


一方、屋敷の中では――


「ルーナ姫、その切り方では火が通りにくいですよ」


リリアが冷ややかに指摘する。


「あら、そう?でも、大きめの方が食べ応えがあるでしょう?」


「BBQは均等に火を通すのが基本です」


「私は大きい方が好きなのよ」


「……そうですか」


リリアの目が笑っていない。


「それに、アルも大きい方が好きだと思うわ」


「!?」


リリアの手が止まった。


「な、何を根拠に……!」


「だって、アルはいつもお酒をたくさん飲むでしょ?きっと食べる量も多いはずよ」


「それは……そうかもしれませんが……」


リリアは言葉に詰まった。


「ふふ、やっぱり私の方がアルのことをよく分かってるのね」


ルーナ姫が勝ち誇ったように笑った。


「むっ……!」


リリアの目に火が灯る。


「では、私はアルの好きな味付けを完璧に再現してみせます!」


「あら、私だってできるわよ」


「姫様、料理の経験はおありで?」


「……城の料理人に教わったことはあるわ」


「実践経験は?」


「……ないわ」


ルーナ姫の声が小さくなった。


「では、今日が初めてですね」


リリアがにっこり笑う。


「む、むー……!」


ルーナ姫が頬を膨らませた。


---


外では、火おこしが順調に進んでいた。


「よし、いい感じだ」


炭が真っ赤に燃えている。


「さて、肉を焼くか」


俺は厨房に向かった。


ドアを開けると――


「「アル!」」


リリアとルーナ姫が同時に振り向いた。


「お、おう……どうしたんだ?」


「アル、この野菜の切り方、どう思う?」


リリアが皿を差し出す。


「アル、私の切り方も見て!」


ルーナ姫も負けじと皿を出す。


「え、えーと……どっちもいいと思うけど……」


「どっち『も』じゃなくて、どっち『が』いいの?」


「そ、そうよ!どっちがいいか言って!」


二人の目が真剣だ。


「う、うーん……」


俺は冷や汗をかいた。


「あ、そうだ!どっちも使えばいいじゃん!バリエーション豊富な方が楽しいし!」


「「……」」


二人は無言で俺を見つめる。


「あ、あはは……じゃ、じゃあ肉持ってくるな!」


俺は逃げるように厨房を出た。


(危なかった……)


---


「どうした、アル。顔色悪いぞ?」


マーカスが心配そうに聞く。


「いや、なんでもない……」


「まあ、大変だな」


マリアが笑っている。


「何がだよ」


「まあ、気にするな」


マリアが笑って話を流した。


---


そうこうしているうちに、食材の準備が整った。


「さあ、焼き始めるぞ!」


俺はグリルに肉を乗せた。


ジュウウウウ――


いい音がする。


「おお、いい匂いだ」


マーカスが目を輝かせる。


「これが異世界のBBQか……」


ゲルドも興味津々だ。


「アル、お酒も用意したわよ」


マリアが樽を運んできた。


「おお!さすがマリア!」


「ふふ、BBQにお酒は欠かせないでしょ?」


「完全に分かってるな!」


俺は嬉しくなった。


リリアとルーナ姫も野菜を持ってきた。


「アル、野菜も焼いて」


「こっちもお願い」


二人とも笑顔だが、どことなく張り詰めた空気がある。


「お、おう……」


俺は慎重に野菜を並べた。


---


「さあ、できたぞ!」


最初の肉が焼き上がった。


「おお!」


みんなが歓声を上げる。


「じゃあ、まずは……」


俺は肉をリリアの皿に乗せた。


「ありがとう、アル」


リリアが嬉しそうに笑う。


「次は……」


俺はルーナ姫の皿にも肉を乗せた。


「ありがとう、アル」


ルーナ姫も笑顔だ。


でも、二人ともどこか牽制し合っている。


「マーカス、ゲルド、マリアも取ってくれ」


「おう!」


「いただきます」


「ありがとう」


---


「うまい!」


マーカスが感動している。


「この焼き加減、絶妙だな」


ゲルドも満足そうだ。


「アル、この味付け、すごく美味しいわ」


マリアが褒めてくれた。


「へへ、だろ?これが俺の得意料理なんだ」


「アル、すごいですね」


リリアが尊敬の眼差しを向ける。


「アル、もう一枚ちょうだい」


ルーナ姫がおかわりを要求する。


「おう、いくらでも食ってくれ」


俺は次々と肉を焼いていく。


---


「ところで、アル」


マーカスが酒を飲みながら言った。


「この肉、何の肉だ?」


「ああ、これはワイバーンの肉だ」


「ワイバーン!?」


みんなが驚いた。


「そんな高級な肉、どこで手に入れたんだ?」


「市場で普通に売ってたぞ?」


「……アルの『普通』は一般人と違うんだな」


マーカスが苦笑する。


「そうかな?」


「そうだよ」


マリアも笑った。


---


「アル、私も手伝うわ」


ルーナ姫が立ち上がった。


「お、おう、じゃあ野菜焼いてくれるか?」


「任せて」


ルーナ姫は野菜をグリルに乗せた。


が――


「あ、あれ?焦げてる!?」


「姫様、火が強すぎます!」


リリアが慌てて駆け寄る。


「ご、ごめんなさい……」


ルーナ姫がしょんぼりする。


「大丈夫大丈夫、焦げたのは俺が食べるから」


俺は焦げた野菜を自分の皿に入れた。


「アル……ありがとう」


ルーナ姫が感激している。


「ふふ、アルは優しいですね」


リリアも微笑む。


が、その目は「私の方が上手に焼けます」と言っている。


リリアがグリルの前に立った。


「こうやって、火加減を調整しながら……」


リリアは完璧な手つきで野菜を焼いていく。


「すごいわね、リリア」


ルーナ姫が感心する。


「これくらい、基本ですよ」


リリアがさりげなくアピールする。


---


「さて、そろそろメインディッシュを焼くか」


俺は特大の肉塊を取り出した。


「うわ、でかい!」


マーカスが目を丸くする。


「これはドラゴンステーキだ」


「ドラゴン!?」


「まあ、若いドラゴンだけどな」


「それでも十分すごいぞ!」


俺はドラゴンステーキをグリルに乗せた。


ジュウウウウウウ――


豪快な音が響く。


「この匂い……たまらんな」


ゲルドが鼻をひくつかせる。


「完成まで少し時間がかかるから、その間に酒でも飲もうぜ」


「賛成だ!」


マーカスが即答した。


---


俺たちは酒を酌み交わした。


「アル、今日は本当にありがとう」


マリアが言った。


「ん?何が?」


「こうやって、みんなで集まる機会を作ってくれて」


「ああ、それは俺も嬉しいよ。みんなで飲むのは楽しいからな」


「平和っていいな」


ゲルドがぽつりと言った。


「そうだな」


マーカスも頷く。


「魔族と人族が、こうやって一緒に笑い合える日が来るなんて……」


マリアが感慨深そうに言った。


「これからも、こんな日が続くといいな」


俺はそう思った。


---


「アル、ドラゴンステーキ、焼けたんじゃない?」


リリアが気づいた。


「お、そうだな」


俺はステーキをひっくり返した。


完璧な焼き色だ。


「よし、もうすぐ完成だ」


---


そして、ついに――


「完成!ドラゴンステーキだ!」


俺は特大のステーキを切り分けた。


「うおおお!」


マーカスが感動している。


「いただきます!」


みんなが一斉にステーキを口に運んだ。


「「「「うまい!!!」」」」


全員が声を揃えた。


「この柔らかさ、この旨味……」


ゲルドが目を閉じて味わっている。


「アル、あなた料理人になれるわよ」


マリアが本気で言った。


「アル、すごいです!」


リリアが目を輝かせる。


「アル、また作って!」


ルーナ姫が興奮している。


「へへ、そんなに褒められると照れるな」


俺は嬉しかった。


---


その後も、BBQは続いた。


みんなで肉を焼き、野菜を食べ、酒を飲んだ。


笑い声が絶えない。


リリアとルーナ姫の火花も、いつの間にか和らいでいた。


「ねえ、リリア」


「なんですか、姫様?」


「あなた、料理上手ね」


「……ありがとうございます」


リリアが驚いた顔をする。


「私も、あなたみたいに上手になりたいわ」


「姫様……」


「教えてくれる?」


ルーナ姫が微笑んだ。


「……はい、喜んで」


リリアも笑顔を返した。


(おお、仲良くなってる!)


俺は内心ほっとした。


---


BBQが終わる頃、空は夕焼けに染まっていた。


「ああ、食った食った」


マーカスが満足そうに腹を叩く。


「美味しかったわ、アル」


マリアが笑顔で言った。


「ありがとう、アル」


ゲルドも礼を言う。


「いやいや、みんなが来てくれたおかげで楽しかったよ」


俺は本心からそう言った。


「また集まろうな」


マーカスが提案する。


「ああ、もちろん」


---


その時――


「あの、すみません……」


屋敷の門の前に、一人の少女が立っていた。


「ん?どうしたんだ?」


俺は少女に近づいた。


少女は倒れていた。


「おい!?」


俺は慌てて少女を抱きかかえた。


「どうした、アル!?」


マーカスたちが駆け寄る。


「この子、倒れてる……」


「大変!すぐに中へ!」


マリアが指示する。


俺たちは少女を屋敷の中へ運んだ。


(一体、何があったんだ……?)


楽しいBBQは、予想外の出来事で幕を閉じた。


---


次回予告:「謎のエルフ少女」


※毎日更新予定です。お楽しみに!

昨日は更新できず楽しみにされていた方申し訳ございません。


倒れたエルフの少女。

彼女は一体、誰なのか?

そして、何から逃げてきたのか?

新たな出会いと、新たな危機の予感――

引き続きアルたちの物語を楽しみにしていただければとおもいます!

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