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異世界転生酔いどれ世直し記〜酒飲みながら平和にしてやんよ編〜  作者: 晴天よよい


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13/63

13杯目 ゲルドの陰謀

夜明け前、俺たちは廃坑に向けて出発した。


マーカス、マリア、リリア、ダグラス隊長、そして選抜された精鋭兵士が10名。


「リリア、本当について来て大丈夫?」


俺は心配になって尋ねた。


「はい。私も戦えます。それに…」


リリアは決意を込めた表情で続けた。


「アルさんを一人にはできません」


「過保護だなぁ」


「違います!」


リリアの頬が赤くなる。


「街から北へ三キロ。獣道を進みます」


先頭を行く兵士が地図を確認している。


森の中は薄暗く、木々の間から差し込む朝日がわずかに道を照らしていた。


「静かすぎる…」


マリアが呟く。


確かに、鳥の声も虫の音も聞こえない。


「警戒しろ。敵が気づいている可能性がある」


マーカスが剣の柄に手をかけた。


俺も腰の酒瓶を確認する。いつでも飲めるようにしておかないと。


---


一時間ほど歩いたところで、廃坑の入り口が見えてきた。


巨大な岩肌に開いた暗い穴。かつては鉱石を掘り出していた場所だろう。


「入り口に見張りはいないようですが…」


ダグラス隊長が周囲を確認する。


「罠かもしれません」


マリアが警告した。


「確かに。『誰もいない廃坑』って、ホラー映画の定番だよね」


俺は前に出た。


「アル殿、危険です」


「大丈夫。何かあったら酒を飲むから」


「その『何かあったら』が問題なんですが…」


マーカスが苦笑いする。


「それに、その後気絶するのも問題では?」


リリアが心配そうに言う。


「細かいことは気にしない。人生、ノリと勢いだよ」


「楽観的すぎます…」


ダグラス隊長が呆れている。


「でも、そのくらいがちょうどいいのよ」


マリアが微笑んだ。


---


慎重に廃坑の中へ入っていく。


松明の明かりを頼りに、狭い通路を進んだ。


「うわ、臭い。なんか腐った魚みたいな匂いする」


俺は鼻をつまんだ。


「血の匂いもします」


マリアが顔をしかめた。


「廃坑で魚が腐るってのも不思議な話だけどね。まあ、気にしない気にしない」


通路を進むと、いくつかの分かれ道があった。


「で、どっち行く?右?左?それとも真ん中?」


「匂いの強い方へ」


マーカスが左の通路を指差した。


「最悪の選択肢じゃないか。普通は匂いから逃げるもんだけど」


「アルさん、後ろにいてください」


リリアが俺を庇うように前に出た。


「おお、頼もしい」


さらに奥へ進むと——


「!」


俺たちは息を呑んだ。


広い空間に出た。そこは元は採掘場だったのだろうが、今は——


おぞましい光景が広がっていた。


檻に閉じ込められた様々な魔物たち。ダークウルフ、スライム、ゴブリン…


そして、手術台のようなものの上には、体を切り刻まれた魔物の死骸。


「うわ…これは…」


マリアが青ざめている。


「合成獣の製造現場か…」


マーカスが怒りを込めて呟いた。


「マッドサイエンティストの実験室みたいだな。あ、この世界だとマッドウィザード?趣味悪いね」


俺は檻の中の魔物たちを見つめた。


奥には魔法陣が描かれており、その中心に巨大な装置が設置されている。


「あれが烙印を刻む装置ですね」


ダグラス隊長が指摘した。


「なるほど。魔物にタトゥー入れる機械か。ファッションセンスないなぁ」


その時——


「よく来たな、人族と裏切り者ども」


低い声が響いた。


「!」


俺たちは振り返った。


暗闇から、一人の魔族が姿を現した。


大きな角を持ち、黒いローブを纏った男。その目には狂気が宿っている。


「お前が…過激派のリーダーか!」


マーカスが剣を構えた。


「我が名はゲルド。マリア様に仕えていた者だ」


「ゲルド…」


マリアが驚愕の表情を浮かべた。


「お前…保守派の幹部だったはず…」


「そうだ」


ゲルドは冷たく笑った。


「だが、マリア様は我々を裏切った。人族に媚びを売り、保守派を解散させた」


「やれやれ」


俺は腕を組んだ。


「また『裏切り』とか言ってる。そういう二元論、流行ってるの?」


「何?」


ゲルドが俺を睨む。


「だってさ、考え方が変わったら『裏切り』って、ちょっと乱暴じゃない?人は考え方を変えられるからいいんじゃない?それにマリアさんは考え方が変わったわけじゃなくて戻っただけ——」


「ふざけるな!」


「ふざけてないよ。真面目に聞いてる。あんた、マリアさんの笑顔を見て、何も思わないの?」


俺はゲルドを見つめた。


「それとも、自分の信念のためなら、マリアさんが不幸でもいいわけ?」


「黙れ!マリア様の幸せは、魔族の誇りを守ることだ!」


「それ、マリアさん本人に聞いた?」


「…」


ゲルドが言葉に詰まった。


俺はわざと話しを伸ばしながら。炭鉱をゆっくり歩いた。


「あのさ、ゲルドさん。あんたは多分、本当はマリアさんのことが好きなんじゃない?」


「何を言う!」


「だって、そうじゃなきゃこんな必死にならないでしょ。『マリア様』って呼び方も丁寧だし」


俺はさりげなく仲間たちに目配せした。


マーカスが理解して、ゆっくりと位置を変え始める。


リリアとマリアも、自然な動きで左右に散開していく。


兵士たちも、俺たちの会話に気を取られているふりをしながら、包囲陣形を作り始めた。


「でもね、好きな人を幸せにする方法って、自分の理想を押し付けることじゃないんだよ」


「お前に何が分かる!」


「まあ、俺も恋愛経験豊富ってわけじゃないけどさ」


(というか童貞だけど)


俺は肩をすくめた。


「少なくとも、相手の笑顔を見たいなら、相手が選んだ道を応援するもんじゃない?」


「綺麗事を!」


「綺麗事?そうかもね。でも、あんたのやってることは?」


俺は周囲の檻を指差した。


「無関係な魔物を捕まえて、改造して、人族と魔族を争わせる。これって何の解決にもなってないよね」


「これは必要な犠牲だ!」


「必要な犠牲ねぇ…」


俺は首を傾げた。


「必要な犠牲って言葉は嫌いだなぁなんか言い訳っぽい」


「貴様!」


ゲルドが激昂した。


いいぞ、もう少しだ。


「あ、ごめんごめん。図星だった?」


俺はわざと挑発的に笑った。


「でもさ、本当に信念があるなら、堂々と向き合うべきじゃないの?こんな地下室で魔物いじめてないで」


「黙れぇぇぇ!」


ゲルドが手を振り上げた。


「もういい!お前たちは我が合成獣の餌だ!」


その瞬間——


周囲から多数の合成獣が現れた。


「あー、やっぱりね。対話じゃ無理か」


「全員、作戦通りに!」


マーカスが叫んだ。


俺たちは事前に立てた作戦通りに動く。


マーカスが前衛で盾役。


リリアが中衛で拘束と補助魔法。


マリアが後衛で攻撃魔法。


兵士たちは両翼から挟撃。


そして俺は——


「さて、と」


腰の蒸留酒を取り出した。


合成獣たちが一斉に襲いかかってくる。


「リリア!」


「はい!」


リリアが魔法陣を展開する。光の鎖が合成獣の足を縛った。


「マリア!」


「分かってる!」


マリアの炎魔法が拘束された合成獣を襲う。


「いいぞ!その調子!」


マーカスが巨剣を振るい、合成獣を次々と斬り倒していく。


でも、数が多すぎる。


周囲を見渡すと、少なくとも二十体以上の合成獣がいた。


「うわ、盛大に囲まれてるな。これはちょっと…」


俺は酒瓶を見つめた。


今まで酒を飲むと自分が強化されてきた。


でも、なんか新しい感覚がある。


もしかして、能力が進化してる?


「よし、ちょっと実験してみるか」


俺は蒸留酒を一気に飲み干した。


「っと、けっこう強いな、これ」


体が光り始める。


しかし、今回は違う感覚だった。


(あれ?強化じゃない…?)


力が満ちるどころか、体がどんどん重くなってくる。


酒の副作用——弱体化だけが来てる!?


(くそ、タイミング悪い…!)


でも、待てよ。


何か新しい感覚がある。この弱体化を…


(共有できる?)


俺は直感に従って、合成獣たちに意識を向けた。


「よし、お前らにもこの『副作用』をおすそ分けだ!」


体から光が溢れ出し——今度は敵に向かって広がっていく。


「な、何!?」


ゲルドが驚愕した。


合成獣たちの体が、俺と同じように光り始めた。


そして——


「ギャ…ギャ?」


合成獣たちの動きが鈍くなる。


いや、鈍いというより——


「あははは!何だこれ!」


合成獣たちが、まるで酔っ払ったようにふらふらし始めた。


「ギャオ〜ン…」


一体が俺に襲いかかろうとして、途中で足を踏み外してコケる。


「ぐぎゃ〜…」


別の合成獣は、壁に激突してそのまま座り込んだ。


「おお、効いてる効いてる」


俺自身も体がふにゃふにゃになってきた。


「うわ、俺も来てるな…」


「アルさん!」


リリアが駆け寄ってくる。


「だ、大丈夫です…多分…」


俺はふらふらしながらも、さらに能力を合成獣たちに注ぎ込んだ。


「ほれほれ、もっと飲め飲め〜」


「ギャオオ…オ…」


合成獣たちが次々と倒れていく。


いや、倒れたというより、酔い潰れた感じだ。


(よく効いてるな…もっと強い相手だと、ここまで効かないかもしれないけど)


「何をした!?」


ゲルドが叫んだ。


「簡単だよ。俺の『副作用』をシェアしただけ」


俺はふにゃふにゃしながら笑った。


「今回は強化じゃなくて、弱体化だけが来ちゃってさ。でも、新しく能力が進化したみたいでね」


俺自身も体がどんどん重くなってくる。


「俺が今受けてるこの状態を、そのままお前らにもプレゼント。うわ、俺もキツいな…でも、お前らもキツいだろ?」


「馬鹿な!」


ゲルドが魔法陣の方へ走る。


「させるか!」


マーカスが追いかけた。


しかし、ゲルドは魔法陣に魔力を注ぎ込む。


「出でよ!我が最高傑作!」


魔法陣が激しく光り、その中から巨大な影が現れた。


「お、おお…デカいの出てきた…」


ダークウルフの体、人間の顔、そして背中には巨大な翼。


全ての合成獣の特徴を併せ持った、究極の合成獣だった。


「ギャオオオオオ!」


その咆哮が廃坑全体を震わせた。


「デカいし、趣味悪いな。」


俺はふらふらしながら、巨大合成獣を見上げた。


「でも…もう酔っ払ってるから…」


(こいつ、さっきの合成獣より強そうだな…効くかな?)


でも、やるしかない。


俺は巨大合成獣に向かって、再び能力を発動した。


「お前にも…おすそ分け〜」


光が巨大合成獣を包み込む。


「ギャオオ…オ?」


(効いてる…!所詮は魔物か、強いけど効果あるみたいだ)


巨大合成獣の動きが止まった。


そして——


「ギャ…ギャオ〜ン…」


巨大な体が、ゆっくりと傾き始めた。


「うわ、マジで効いてる」


ドスン!


巨大合成獣が地面に倒れ込んだ。完全に酔い潰れている。


「信じられない…」


ダグラス隊長が呆然としている。


「やった…のか?」


マーカスも驚いている。


しかし、俺の方も限界だった。


「あー…やっぱり来た…」


視界がぼやけてくる。


「アルさん!」


リリアが俺を支える。


「ごめん…ちょっと寝る…」


「今は寝ちゃダメです!」


でも、意識が遠のいていく。


その時——


「くそ!くそおおお!」


ゲルドの叫び声が聞こえた。


「なぜだ!なぜこうなる!」


「ゲルド!」


マリアが叫ぶ。


「もう終わりよ!大人しく…」


しかし、ゲルドは懐から何かを取り出した。


「まだだ!まだ終わらん!」


煙幕のような魔法が廃坑内に充満する。


「しまった!」


マーカスが追いかけようとするが、煙で視界が遮られた。


「逃がすか!」


兵士たちも追跡するが——


煙が晴れた時には、ゲルドの姿は消えていた。


「くそ…逃げられたか…」


マーカスが悔しそうに呟いた。


---


俺が意識を取り戻したのは、それから30分後だった。


「う〜ん…」


「あ、アルさん!」


リリアの顔が真上にあった。


膝枕されている。


「やあ、おはよう」


「もう!心配したんですよ!」


リリアの目に涙が浮かんでいる。


「ごめんごめん。でも、作戦は成功したでしょ?」


「成功…と言えるのかしら」


マリアが苦い表情で近づいてきた。


「ゲルドに逃げられたわ」


「あちゃー、マジで?」


俺は体を起こした。


まだ少しふらつく。


「でも、合成獣は全部無力化できたし、製造設備も破壊できたんでしょ?」


「それはそうですが…」


「なら、まあ及第点じゃない?」


俺は立ち上がった。


「ゲルドはどこかに逃げた。でも、もう合成獣は作れない。被害は最小限に抑えられた」


「しかし、あいつが野放しなのは危険です」


ダグラス隊長が言った。


「次はもっと大規模な攻撃を仕掛けてくるかもしれません」


「それは…そうだね」


俺は廃坑の出口を見つめた。


「でも、今追いかけても見つからないでしょ。まずは街に戻って、情報を整理しよう」


「アル殿の言う通りだ」


マーカスが頷いた。


「ここで無理をしても意味がない」


---


街に戻ると、住民たちが心配そうに待っていた。


「どうでしたか!?」


「合成獣の製造は止めた。でも、リーダーには逃げられた」


マーカスが報告する。


「そうですか…」


住民たちは複雑な表情を浮かべた。


「でも、これでもう合成獣は増えない!」


ダグラス隊長が力強く言った。


「街は安全になったんだ!」


その言葉に、住民たちの表情が明るくなった。


「本当ですか!」


「ありがとうございます!」


人族と魔族がぎこちないながらも一緒に喜び合っている。


「良い光景だね」


俺は呟いた。


「ええ」


リリアが微笑んだ。


「でも、ゲルドは…」


「まだどこかにいる」


マリアが厳しい表情で続けた。


「恐らく、次の機会を狙っている」


「次の機会…」


俺は考え込んだ。


ゲルドが次に狙うとしたら——


「王都だ」


マーカスが言った。


「人族の王都。あそこなら、政治的混乱を利用して何かを企てられる」


「そっか…」


俺は空を見上げた。


「じゃあ、俺たちも急がないとね」


その夜、ダークエッジの街は祝賀ムードに包まれた。


人族と魔族が協力して脅威を退けた——これは大きな一歩だった。


街の広場では、人族の兵士と魔族の住民が一緒に酒を酌み交わしている。


「アル殿!」


ダグラス隊長が近づいてきた。


「本当にありがとうございました。あなたの不思議な能力のおかげで、被害を最小限に抑えられました」


「いやいや、俺は酔っ払ってふにゃふにゃになってただけですよ」


「それが功を奏したんですから、素晴らしい」


ダグラスは笑った。


「しかし、敵に酔っ払いを伝染させるとは…前代未聞です」


「我ながら、頭おかしい能力だと思うよ」


俺も苦笑いした。


「でも、役に立って良かった」


「これからですよ。本当に大切なのは」


俺は街の人々を見渡した。


「この関係を続けていくこと。まあ、俺が言うのもなんだけど」


「その通りですね」


マーカスが笑った。


「さあ、今夜は飲もう!」


「おお!いいね!」


俺は目を輝かせた。


「戦いとか関係なく、純粋に酒を楽しめるのって久しぶりだな」


「アル殿、本当に酒が好きですね」


「だって美味いじゃん。今日は気絶する心配もないし、思う存分飲めるぞ!」


「ほどほどにしてくださいね、言っても聞かないでしょうけど」


とリリアが心配そうな顔で諫めて


「久々でもないでしょ」


とマリアが苦笑いしていた


「でも、楽しそうなアルさんを見るのは嬉しいです」


「よし、じゃあみんなで飲もう!今日は朝まで付き合うぜ!」


「朝まで!?」


「ダークエッジでの問題は一応解決した。次は、人族の王都か」


リリアが不安そうな表情を見せた。


「大丈夫ですか?王都は…もっと複雑な問題が渦巻いているはずです」


「まあ、なんとかなるでしょ」


俺は肩をすくめた。


「最悪、みんなで酔っ払えば平和になるかもしれないし」


「それは解決じゃないでしょ!」


「でも、ゲルドも王都に向かった可能性が高い」


マリアが真剣な表情で言った。


「次こそ、捕まえないと」


「そうだね」


俺は窓の外を見つめた。


「今度こそ、ちゃんと話をしないとな」


---


翌朝、俺たちはダークエッジを出発した。


街の人々が見送ってくれる。


「アルさん!また来てくださいね!」


「おう!また飲みに来るよ!」


「マリア様!気をつけて!」


「ありがとう!みんなも元気でね!」


馬車がゆっくりと動き出した。


窓の外を見ると、人族と魔族が一緒に手を振っている。


「良い光景だね」


俺は呟いた。


「ええ」


リリアが微笑んだ。


「これが、私たちが目指す世界です」


「王都でも、同じことができるかな?」


「できますよ。アルさんがいれば」


「その信頼、プレッシャーなんだけど」


俺は苦笑いした。


「でも、まあ、やってみるよ」


「さあ、王都までまだ四日ある」


マーカスが言った。


「途中で色々な街や村を経由していく。それぞれの場所で、人族の文化を学んでほしい」


「了解。あ、美味い酒があったら教えてね」


「またですか」


「だって、酒飲まないと俺の能力発動しないじゃん。これは仕事の一環だよ」


俺は窓の外の景色を眺めた。


魔界とは違う、人族の世界。


「さて、どんなドラマが待ってるかな」


---


その頃——


人族の王都では、二つの派閥が激しく対立していた。


「ルンブラン王子が王位を継ぐべきです!」


「いや、ルーナ姫こそが相応しい!」


貴族たちが言い争っている。


その中心にいるのは、二人の若者だった。


ルンブラン王子——22歳。真面目で誠実な青年。


ルーナ姫——19歳。明るく社交的な少女。


二人は、互いに視線を交わした。


(どうして…こんなことに…)


二人の心の中には、同じ想いがあった。


(本当は、争いたくないのに…)


そこに、一人の老貴族が進み出た。


「お二方、魔界からの使者が間もなく到着します」


「魔界から?」


ルンブラン王子が驚いた。


「はい。マーカス・オダ騎士団長と、魔王の客人という方が」


「魔王の客人…」


ルーナ姫が呟いた。


「どんな人なのでしょう?」


「それは…人族でありながら、魔族と深い絆を持つ者と聞いております」


老貴族は続けた。


「名をアル、と」


そして、窓の外を見つめる男がいた。


黒いローブを纏った魔族——ゲルド。


「フフフ…ついに王都か」


ゲルドは不敵に笑った。


「今度こそ、人族と魔族の和平を破壊してみせる」


「そして、マリア様を…」


ゲルドの表情が歪んだ。


「必ず、正しい道に戻してみせる」



次回予告:「王都への道」


※毎日更新予定です。お楽しみに!

最後までお読みいただきありがとうございます!

読んでくださる皆様のアクセスが増えてきており、すごく励みになってます!

まだまだアルの酔いどれ旅は始まったばかりですが、お酒でも飲みながらゆっくり楽しんでいただけたらうれしいです。

感想やリアクションなどもお待ちしております!


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