Incipit
彼がかつて若々しい熱意をもって歩いていた大学のホールは、今や陰鬱で逃れようのない迷宮のように感じられた。彼の足音は、崩れ去った野望の空虚さを響かせていた。かつて知識への情熱で彼を駆り立てていたものが、目に見えない試練によって徐々に消え去り、彼の自信を削り取る静かな嫌がらせによって、彼はかつての学生の影に過ぎなくなっていた。彼の学びはかつてのインスピレーションの源ではなく、意味のない日常のルーチンとなっていた。しかし、この精神的な麻痺の中で、彼は恐ろしいほどの観察力を持つ奇妙な能力を発展させていた。やがて彼は、この新たに得た力が自分の人生だけでなく、世界の行く末さえも変える可能性があることに気づいた。
かつて情熱に満ちて歩き回った大学の廊下は、今では無気力で行き止まりの迷宮の圧迫感のある壁に変わっていた。足音一つ一つが、彼の打ち砕かれた夢の虚無を反響させていた。かつて発見への情熱や知識への渇望に支えられていた内なる炎も、今や見えない試練の連続に押し潰され、徐々に消え去っていた。陰湿な嫌がらせを黙って耐えるうちに、彼の力は削がれ、自己への信頼や他者への信頼も蝕まれていった。彼に残されたものは、かつての学生としての自分の影に過ぎず、冷酷な皮肉と増大する無関心に取って代わられていた。かつてはインスピレーションと満足感の源だった学業も、今では意味のない機械的なルーチンに変わり、深い失望に蝕まれた心で、諦めながらこなすだけの作業になっていた。
そんな精神的な沈滞状態の中で、彼は自覚のないままに奇妙な能力を発展させ始めた。それは、恐ろしいほど鋭い観察力だった。最初はあまり気に留めなかったが、彼の心は人間の本質を無情に映し出す鏡となり、周囲の人々の最も内密な思考を驚くほど正確に捉えるようになった。それは本当の意味での読心術ではなく、仕草や視線、声の調子を深く理解することにより、最も秘密めいた、言うに言えない思考を驚くほどの正確さで見抜くことができた。
当初、この能力を呪いだと感じていた。彼にとってそれは、探索するつもりのなかった精神の領域に侵入することであり、侵害に過ぎなかった。周囲の笑顔や沈黙、視線の交換すべてが、しばしば暗い、時には堕落した隠された真実を暴露するものだった。しかし、時が経つにつれて、彼の中に不健全な好奇心が芽生え始めた。かつては仲間や教師として見ていた人々は、今ではただの操り人形に過ぎず、彼はその思考を解読し、好きなように操作することができた。最も些細な仕草、微妙な癖、重苦しい沈黙ですら、彼には異様なまでの明瞭さで見えるようになった。
この他者の仮面を見破り、彼らの魂を裸にする能力は、彼を二重の世界に引きずり込んだ。一つは、目に見える現実の世界、どんよりとして失望に満ちたもの。もう一つは、隠された欲望や抑えきれない恐怖、抑圧された真実で編み込まれた複雑な精神の世界だった。人間の精神の深淵に浸るにつれて、彼は自分自身に対してますます疎外感を感じるようになった。かつて夢や野心を抱いていた若者は遠ざかり、他者の闇に養われる幽霊のような存在に取って代わられていた。
かつて明確だった彼のアイデンティティは、絶え間なく解読される思考の流れの中で溶けていった。彼の学業はもはや無意味な茶番にしか見えず、虚飾に過ぎなかった。彼は今や本よりもはるかに深く恐ろしい真実にアクセスできたが、それらの真実は慰めも智慧ももたらさなかった。それらはただ、偽善や嫉妬、恐怖によって腐敗した人間性の断片に過ぎなかった。
この推論力が彼の中に根を張るにつれ、彼は沈黙を恐れるようになった。なぜなら、沈黙の中では自分自身の思考があまりにもうるさく響くからだ。人が多すぎる場所も避けるようになった。なぜなら、そこでは微妙な情報の洪水が耐えがたい雑音に変わるからだ。彼はもはや平穏を見つけることができなくなっていた。発見した真実が彼を苦しめ、毒蛇のように彼の意識に絡みつき、窒息させるまで締め付けていった。
彼は自分の思考が解読不能な壁となり、明かされた秘密が行き止まりとなる精神の迷宮に囚われていた。他者の思考と自分の思考の境界が曖昧になり、彼はただのぼやけた影のようになっていた。壊れた鏡に映る不鮮明な存在となり、半ば現実で、半ば幻のようなものとして、自分の心の影の中を彷徨い、他の誰にも見えないものを見る能力の虜になっていた。