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プロローグ 三丁目のメイドさん
プロローグ
彼女の姿は住宅街には似つかわしくない姿であった。
黒を基調としたエプロンドレスを身に着け、頭には白いプリム、手には小さなバスケット。
袖のフリルからのぞく手は白く華奢で、レースと相まってまるで人形のように綺麗だ。
黒い髪は肩より少し短く、お淑やかさと爽やかさの両方を醸し出している。
顔は、、、可愛い。クラス全員の初恋をさらっていってしまうような、そんな魅力がある。
彼女は澄ました顔で町を歩いていく。
少し欠けたセメントの塀の横を通り、町行く人に挨拶をして、商店街でコロッケを買う。
時に点滅してる信号を急いで渡ったり、道路の人だかりを覗いてみたり、近所の猫を追っかけたりする。
この三丁目にはメイドさんが住んでいる。