EP 003 「ベクター・グリンドルフ」
数日さかのぼって
【8895年2月14日】
へっへー!俺の名前は“ベクター・グリンドルフ”新進気鋭の遺跡発掘業者さ。
キビシイ見習い期間を終えて、早くも政府クライアントからの仕事を任されるスゴ腕認定されたって
ついさっきまで診療所の“シンシア姐さん”に自慢してきたところだぜ。
さぁてどんなお宝が出てくるかなーといいたいトコロだが、いかに旧時代の廃棄管理区画とはいえ
地下200m足らずの比較的浅いエリアが今回俺の担当するエリアだ。
きっちり装備は確認したし、救援用のシグナルも持った。
よし、行くぜ!
「んー、さすがに見つかるのは簡易封印処理されたオプティトロンデバイスや、ケーブルの類がメインになるな・・。」
・・・・ゴゴゴゴゴゴゴッゴゴゴ・・・
「ん?揺れは殆どねぇけど地震か? おかしいな、今日このエリアは地震発生確率0%の予報なんだが・・・」
・・・ドゴッ!ガガガガガガガガ・・・ザザザザザザ
「うぉ、あぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ・・・!!あぁぁ!・・・・・うっ..」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
【大深度軌道管理システム】
「Gi・・自然災害ヲ検知。
重力緩和フィールド展開。対人保護フィールド出力22%・・エネルギー不足・・・
不完全起動・・・システ・・ムダ・・・ウ・・・・・Pid」
大音量と衝撃で俺は感覚をもってかれちまったのか・・何もわからねぇ・・うぐっ・・
【G-VARNA】
「Pi・・時空凍結管理区域997ニ対シ侵入者ヲ検知。
ガーディアンシステムヴァルナ!対人戦闘データリンク!!」
「状況確認・・完了、最終起動より69.186.480時間ノ経過ヲ認識。」
「侵入者ハ事故ニヨリ侵入ト想定、意識ト武装ヲ確認デキズ。抹消指定ヲ一時留保セヨ。」
「了解、該当人物ヘノ敵対排除行動ヲロックスル。時空凍結ノ臨時解除ヲ実行..Pid」
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「うっ・・ぐほぁ・・ハァハァ・・、うぅう?ここは何だ。・・どこだ?」
真っ暗で何もみえねぇ・・・身体が・・、俺の身体が動かねぇ・・
ダメだ・・闇に飲まれ・・・・・
一度は目覚めたが、俺はまたしても意識を手放しちまった。
「・・・ん、うん?・・・・ゲホッ・・生き・・てるな。よし!生きてるな!!ハハハやったぜ!!」
身体は・・破滅的に痛てぇけど何とか動く・・か?
頼むぜ俺の身体・・何とか持ってくれよ。
俺は幸い失っていなかった携帯用のライトデバイスを起動した瞬間、何も喋れなくなった。
な、なんだこりゃぁ!?、こんな機械システム見たことねぇぞ??
い、生きてるだと!?
いつもの癖でオプティトロンシーカーの深度を確認して、一瞬生存を諦めそうになる・・・。
深度7000mオーバーだと!ぶっ壊れちまった・・わけじゃないよな?・・、正確に動いているように見えるし、何より見たところデバイスにダメージはなさそうだ。
「くそっ、誰かいて助けてくれるってーなら、どんな不細工にでもキスしてやりてぇ気分だぜ!」
軽く毒づき気合を入れて立ち上がる・・ヨロヨロしてしまうが、少しの距離なら移動できそうだ。
それにしてもなんでぇ、ここは。
古代の遺跡にしちゃ綺麗に管理されすぎているし、壁も床もまるでロールアウトしたばかりの新造品にみえるんだが・・、にしちゃあ警備システムの一つも来るわけでなし・・か。
「おっ、あっちに光が見えるな・・出口に繋がるもんだとありがてぇけどな・・」
足を引きずりながら通路を進んでいくベクター。しかし進めば進むほど、彼の遺跡発掘業者としての感覚は違和感ばかりが大きく募っていく。