EP 001 「いつもの素晴らしい日常より」
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思考波無限増幅シーケンスxxフィールド展開・・・……Rt1999
AvgAI 90,000,000,997 個体名アズリエル・ノイエン・アーシェライト・・
汎用基準プログラムによる第一次思考起動失敗。
思考波無限増幅シーケンスxxフィールド展開・・・........Rt2000
AvgAI 90,000,000,997 個体名アズリエル・ノイエン・アーシェライト・・
汎用基準プログラムによる第一次思考起動失敗。
試行規定数超過。起動不能。
「・・・・・・ふぅ~ん?、この子どうやら普通の機械知性じゃないみたいね・・。」
私は“シンシア・リリエンタール”
機械知性専門のドクターってところかしらね。一応人類の生物学上では女よ。
年齢は…聞きたい?
聞いた奴は速攻解体することにしてるんだけど…あら、そう?賢明なヤツは嫌いじゃないわ。
それはさておき何をしているか?ですって??
週初めに送られてきた“いつものブツ”<機械知性ボディ>に、“お決まりの心”<人格プログラム>をインストールするじっけ・・いえ仕事の真っ最中よ。
いつもならもうとっくに仕事を終えて、優雅なティータイムをしているところのハズなのに・・。
「やってくれるじゃないの!なんでも正確な キカイチセイ様<プラネットハーツ> の分際で
指定人格のインストールができないですって!?」
IDデータ接合OK、それにボディ構造体認証Tについても問題ないのは何度も確認をしている。
かなりのイライラと共に、やってやろうじゃないの・・という気持ちがフツフツと燃え上がる。
が、しかし・・・動かない。
「姐<アネ>さん、今までの機械知性文明下で一度たりとも発生したことがない事案だぜぇ、こりゃぁ・・想定外だから、起動プロセスマニュアルにもアタリが引っかからんぞ….」
私の隣で頭を抱えているのは“エレク・ハーモニクス”。
男性型機械知性のメンテナンス技師&カウンセラー、この筋150年以上のベテランな彼にも思い当たる節は無いようね。
「フゥー、しょうがないわね・・、エレク、一旦この子は後回しにして他を先に片づけるわよ。」
「ラジャー<了解>姐さん、全くしょうがねぇお寝坊さんだなぁ、嬢ちゃんは・・・・。」
「さぁて、これが最後のブツね・・・貴方はいい子かしらー?ふふふっ」
PiPi、思考波無限増幅シーケンスxxフィールド展開・・・……Rt0001
AvgAI 215.980,245,110,321 個体名・・・・
汎用基準プログラムによる第一次思考起動・・・クリア。
ID照合完了、電子頭脳への無限思考データリンク・・オープン。
システム人格初期化、起動待機へ移行完了。
「よーしよし、坊ちゃんはいい子だなー・・・っと、姐さん最後の一体予定通り完了だ。」
「今日はここまでね、ちょっと野暮用があるから先に上がらせてもらうわね。」
知り合いの遺跡発掘業者“ベクター・グリンドルフ”が寄越すハズの連絡を絶っているため
どうにも胸騒ぎがする。
いつもみたいにその辺で飲んだくれてるだけなら、一度きっちりシメておかないといけないわね。
「ん、ベクターからの連絡が来てないっつーと、アレですかい?」
「そんなところね、ふふっ!」
現人文明期 8895年2月19日、世界の歴史が今日を境に大きく動き始めることになる。