EP 033 「ひとりでお出かけするよ♪」
【現人文明期8895年 7月01日 リリエンタール&ハーモニクス診療所にて】
「ふむふむ・・・うー?・・ほうほう~ですの。ふむふむ・・・うーん?・・うんうんですの~。」
空き時間を見つけてはおててから青い光を出して調べもの~☆
ふーん♪ふふーん♪えんじぇるーん♪
あら?アズちゃんは今日もPH/ADFラインに繋いで調べものをしているみたいね。
最近は青いレーザーボールにして日中夜繋ぎっぱなしのこともよく見られるようになった。
私も無制限IDを取得してから次代のドクター・エンディアとして
知るべきと思われることを中心に色々調べてみたけれど・・。
あの日ドクター・エンディアの独白から受けた衝撃以上の情報はまだ見つかっていないのよね。
時折庁舎に出入りしつつ、ドクターエンディア政務室の端末から色々目を通しているけれど
めぼしい情報といえば、ルーテシアが200年毎にボディを換えて永続できるタイプの
特殊な機械知性だという事くらしかしら?
アズちゃんがあの時口に出した”第七世代型”とはそういう意味だったらしいの。
とはいえ、本人に訪ねてみたら”記憶の引継ぎ”に関して次のように述べていた・・。
「ドクターと違って、わたくしは基本的な情報記憶・・例えにしますとプラネットハーツの惑星環境コントロールやシステムオペレーションのための必須知識以外を大して引き継げない仕様なのです。その代わりにほとんど無制限にデータの検索・単独オペレーション実行が可能なんです。シンシア様のご期待に沿えず申し訳ありません・・」とのこと・・・。
あーあ、期待外れだわ。
ルーテシアの方からも何か秘匿されている情報が出るかと少し期待したのですけれど・・なんてね♪
まぁでも、それで特段問題はないのよね・・、ドクターエンディアとセットで政治業務を執れるように設計されている機械知性ですもの。さてさて、それより問題は・・例の”天使の粉”のことなのよ。
大地天使様は絶対に使わないで、といったけれど・・そもそも私達政府側が知る限り”使う在庫”が現在していない。見つかっていないだけ?それとも秘匿されている??・・それはまださっぱり分からないところなのよ。もう少し情報面で探りを入れてみて、ヒットしなければ行動あるのみね!
・・・・・
・・・
・・
本日のアズリエルはアクティブですの~♪
色々聞きたいこともあるですしぃ、ブランシェットのおじいちゃんのところへ向かいますの~☆
トコトコトコ・・・きょうはお散歩もかねて歩いているので、いつもとは違う通りをぐるーっと回っていますの♪
「ふわぁ~良いお天気だよ~☆」
良い気分でお散歩を満喫していると大きなテラスの下で揺り椅子に座っているおばーちゃんを発見ですの♪
「良いお天気ですのね~♪こんにちえる~ですの☆日陰のお椅子は気持ちよさそうだよ~。」
「あらまぁ・・、これは可愛いらしいお客さんね、こんにちは~。」
「ニャー♪・・フフフッ・・チラリッ」
おばーちゃんからご挨拶を返してもらい、近付いていくとお膝におーきな白ネコさんが乗っていることに気付いたですの☆アズは小さいから近くまでこないと、ネコさんいるのわからなかったよー☆
ねこさん・・・猫さん・・あれ?・・・??
「うーん?・・ネコさん・・?じぃぃぃぃぃぃいいいいぃぃいぃぃいいぃぃぃぃいいぃぃぃですの☆」
「ミギャッ!?・・しゃー?・・クックック」
アズはちょっとだけネコさんに違和感を覚えたので、じーっとネコさんを見つめてみる。
「おやおや・・どうしたんだい?うちのポンちゃんが気になるのかい~?」
「ポンちゃんっていうですのね♪・・ポンちゃんさんは機械知性さんですのよね~?」
「にゃー?・・アセアセ・・シラン」
「おやまぁ、そうだったのかい・・?ポンちゃんは私の旦那が亡くなってショックだった時にウチにきて以来ずーっと一緒にいるんだよ~。」
「じぃぃぃぃぃぃいいいいぃぃいぃぃいいぃぃぃぃいいぃぃぃ・・・・」
アズはお手手から青いレーザーを出してお空にむかって手を伸ばすと、蒼穹に向かって青い光が伸びていく。
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【リリエンタール&ハーモニクス診療所】
「お?なんだなんだ??このところ置きっぱなしの青レーザーボールがアクティブになってんなー・・まぁいつものことか。」とエレクぱぱは大して気にしなくなるくらい、コレに慣れてしまっているのだった。
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現場ではものすごい波動のような検索圧力を感じたポンちゃんはというと・・・・
「うにゃー!?降参するにゃーん♪へっへっオイラはポンちゃん・・、リリーの元旦那みたいなんだよ・・。」
「はえっ!?ポンちゃんが喋った・・!アンタいつの間にそんな姿になったんだい!?・・・って葬儀しているのにそんなはずないじゃないか・・・」
そういいながらも、りりーさんは涙を流してポンちゃんをギューッしている。
ぐへーっ・・・やめろぉリリーと言いつつもがくポンちゃん。
「うーん?どーして機械知性さんのネコさんがリリーさんの旦那さんですのー?」
質問してみると、大きな白ネコさんから今度は流暢な言葉で答えが帰ってくる。
「いやぁ、正直良く分かっていない・・オイラはポンちゃんとして確かに機械知性として生まれたハズだ・・しかしだな、どーしてもリリーの旦那だったっていう実感?だけがあって・・なぜか家の中のことも覚えているんだ・・。食器の位置だとか通信端末の場所・・それに・・」
それに、ネコ型の機械知性なんて他にみたことないし、喋れるしなー・・とポツリ。
「おぉー!?これはこれは~♪ポンちゃんさんもよろしくですの♪わたくしは機械知性のアズリエルだよ~☆」
「よろしく頼むよ~”あずてんきのおやびーん”~♪(*1)本能がキミに従えって訴えてきている。ネコになってからはこの本能に従って”びんびん”に生きているのさ~。リリーのところを離れないのもそうした理由だよ。」
隠し事が無くなってすっきりした顔の大きな白ネコさんはそういってご挨拶してくれたのだった♪
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(*1)あずてんきのおやびーん=アズ、”てん”し、”き”かいの親分=あずてんきのおやびーん らしいですの☆
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とってもいいものが見れましたの~♪
ラブラブのお二人からお暇して、政府庁舎さんへやってきましたの~。
【政府庁舎 セキュリティフロア行 重力EV前にて】
セキュリティーエレベーター前に警備隊長さんが立っていたのでご挨拶。PH/ADFから教えてもらって政府職員さんの名簿にあった全員のお名前とお顔は把握しているですの♪
「ゴディアス・ロンド隊長さん、こんにちえる~ですの♪えれべーたー使わせてくださいな~☆」
かなり下の方から聞こえてきた声に・・ん?と一瞬こちらに目を向けた隊長さんは・・
「こらこら、こんなところで遊んじゃダメだよお嬢ちゃん・・・」
すんすん・・そっけない感じですの~;;
あ、そうでした!・・セキュリティIDさんを提示しないといけないんでしたの~。
アズ一人で来るの初めてだからうっかりしてたよ~☆
「はーいっ、セキュリティIDさんですの☆ちゃんと持ってきたよ~♪」
カバンからIDさんをだして隊長さんに見えるように背伸びして掲げる。
「んなっ!?第一級無制限!・・・すまんな、お嬢ちゃんちょっとだけ・・いや、少々お待ちください、上位パスの初見提示の際は一度上に確認を取る決まりがあるんです。そこに控室がありますのでご利用になってお待ちください!」
お顔がおじさんモードからシャキーンモードとなった隊長さんは、EV脇にある小さな控室の椅子を勧めてくれたので大人しく座るですの。おぉ?床が磨かれていてアズのお顔とうさみみさんが見えるよ~☆
【ルーテシア・エビデンス 惑星運営システムオペレーションルーム】
PiPiPIPI・・インカムから呼び出し音がなり響く。
「はい~、ルーテシアです。・・・え?金髪碧眼の小さな女の子が一人でセキュリティーフロアに・・?無制限IDが出されて・・ということは、あらぁ・・アズちゃんが来てくれたんですね~♪
今ドクター・エンディアはちょっと手が離せないから、私のフロアに通してくださいな。それと・・・」
下から転送されてきたIDパスの情報を端末で照合して、確かにアズちゃんに発行したものだと確認を取り素早くロンド警備隊長に通すよう指示する。
「大変失礼いたしましたッ!ID照合と有効化の確認がとれましたっ!どうぞEVをご利用ください!」
「えへへ♪ありがとだよ~☆」
呼び出しボタンを押してもらい、ルーテシアさんの滞在階に行けるよう丁寧に設定してくれた隊長さんにお礼を言ってから、一人大きな重力昇降装置に乗り込む。
地上から徐々に大気成層圏に上がっていくにつれ、青から群青・・そして黒に近い色合いへと空の色が変化していく・・・。前回きたときは人類さんの心が少ないのが見渡せて、とっても寂しかった記憶がよみがえってくる。・・・やがて電子音が響き扉が開くと・・・・。
「あ~ん!アズちゃんいらっしゃーい!ルーテシアお姉ちゃんですよ~?」
そこには・・、まだ職務中のハズだったルーテシアお姉ちゃんのOFFタイムモードが炸裂していたっ☆