Tips 「解析調査報告書」
【現人文明期 8895年 6月XX日】
【機密文章 第一級セキュリティ管轄化推奨進言】
【人類遺産解析担当室主任 リック・マクドゥエル】
【宛 ルーテシア・エビデンス】
【依頼品目録】
一番、光学拳銃「カテゴリー武器:思念制御式レーザーハンドガン」
二番、技術体系不明「カテゴリー防具:エネルギーバリアタイプのプロテクター」
三番、戦略級空間制御兵器「カテゴリー兵器:思念誘導式反物質転移ミサイル」
【解析結果・所見】
「一番所見」
光学拳銃については現在のプラネットハーツ技術の延長戦上にあると思える技術が散見されます。
もっとも思念で思い浮かべただけで、味方に当たらず敵のみを攻撃対象にする・・など現在の技術では不可能であるため、間違いなく発掘品と認定できる点にご留意ください。
また、装弾数が30億発以上という点も異常な点といえる。
玉切れの確認するには、人類が何世代にもわたって生涯引き金を引き続ける必要があるからです。
もっとも異質なのは威力です、・・実験施設でテスト射撃を実施しました。一撃で八層まである外殻壁まで貫通してしまい、完全修繕まで最低でも半年は要する見込みです・・。
拳銃から大砲まで一台でこなせる模様。
「二番所見」
仮にこれを”プロテクターと呼称”するとして、動力源、技術体系、実現方式に至るまで全てが不明。試しに現在プラネットハーツの警備局で使われている携行火器で射撃してみたところ、完全無効化したのを確認。間違いなくプラネットハーツ外の技術体系品と判断できます。
個人的見解ですが、このような物が出土した文明は一体どんな化け物を相手に戦っていたのか?・・
あまりしたくない想像を禁じえません。
「三番所見」
初めにお断りしておきますが危険すぎて実験が不可能なため、記述は推察となります。
唯一確認できたのは保有エネルギー量についてです。
要約すると常温核融合炉(つまり太陽です)に、・・匹敵するくらいのエネルギーを保持しています。
ほとんどが打撃力ではなく、転移のためのエネルギー源であると考えられます点に救いがありますが、裏を返せばこれを敵陣に埋めるなりして外から射撃すれば太陽が爆発するのに匹敵する破壊力が惑星内部で解放され一撃で消し飛びます・・。
スペック通りで仮想敵に渡った場合、これ一つでプラネットハーツは成す術もなく消滅します。
射程距離は惑星内のほぼ全域となり、命中を回避する手段が事実上ありません。
また、重力制御系の妨害を無効という記述があったそうで(ベクター氏より聴取)プラネットハーツの対空間重力ミサイルジャマー(GravityECM)では防御不可能かと思われます。
個人装備のような外観ですが、これは戦術級ではなく戦略級の兵器とみて問題無いでしょう。
可能であれば惑星外の外宇宙へ転移・自爆破棄した方が人類の生存上安全かと思われます。
【最後に】
ここまで攻撃的な出土品は人類史上初めてとなります。
あらゆる年代の特徴にマッチせず、これらの3品は全く別の世界で生み出されたようにすら感じられます。
詳しい発掘地層の情報を頂いておりませんが、安全のため該当地層の厳重な封印と
本情報を秘匿することを進言致します。
**追伸**
ルーテシアさん!ぜひ今度デートしていただけませんか~?
一度や二度断られたくらいでボクは諦めませんよ!!
色良い返事を頂けることを期待していますっ! あなたのリックより・・。
「・・・・・あららぁ?最後の三行がなければ完璧な仕事ですのに・・ねぇ?リックー!?」
ビリビリビリビリ!!
その日なぜか政府庁舎内だけ大規模な落雷被害があったという・・・。
被害者は幸いにも一名のみと記録された。