EP 012 「スタジオ”マシンハート” その2」
オリヴィアさんが差し出した”マイク”さんを手に取ってじっくり眺めてみますの・・・。
累積された強い想い、現状を強く変えたいという訴えかけるかのような願いが伝わってくる・・。
「おぉ~♪この結晶さん、とっても強い想いが宿っていますの~☆」
アーシェちゃんはしばらく私のマイクを観察したあと、とても不思議な
感想を述べられました・・。マイクに想いが宿る?
「一般的に流通していますマイクだと思うのですけれど・・・どこか変わったところがあるのでしょうか~?むしろ古ぼけているのでは~・・」
私は歌配信者ですので、”歌”に対しての評価があるのは分かりますけれど・・
所持しているマイクに宿るもの・・?を評価されたのは195年という私の稼働時間の中でも一際珍しい経験です。
「”結晶”には想いや願いが宿るですの、そしてそれを持つ人によって違うよ~。
でもでも、とっても長い時間がかかるですの。この子はたぶん1000年以上はオリヴィア
さんが使っているハズですの~♪」
「!?・・オリヴィアーミレニアムおばあちゃんー♪」
「おやおや、オリヴィアあんた随分と長い寿命みたいじゃないか(笑)」
「あの・・、私は首元のプレートの通り今年で195年の稼働年数なのですが・・・」
アズリエルが放ったやや常識外のセリフを冗談だと捉えたのか
面白がる二人と困惑するオリヴィアがそこにいた。
「んー?おかしくないよ~??これ1000年以上は絶対にオリヴィアが使ってる。アズには分かる。そうでなければこんな強く累積しないですの~。うー?」
「ふーん、いいさね1000年の歴史があるマイクってのもロマンティックじゃないの・・ねぇ、オリヴィア?」
「そう・・ですね♪」
とりあえずこの話は一旦横に置いておいた方が良いのだろうというマルーさんの目配せを受けて、私は話題を変えることに致します~。
「そうそう、せっかくアーシェちゃんがいらっしゃったのですからモニター越しではない生のお歌を聞いていっていただきたいです~。」
少しぎこちない話題転換ではありましたけれど、アーシェちゃんは食いついていらっしゃいました。
「歌!・・お歌!ぜひぜひ聞きたいですの~♪」
☆☆☆
(歌2)プラネットハーツ ~慈しみの結晶~(完成後 公開予定)
☆☆☆
本日は他にお客さんがいないとのことで、みんなで練習室に移動してオリヴィアさんのお歌を堪能致しましたの~☆素敵なお歌~♪魂の調べ~♪
「オリヴィアー上手☆ポイント+5点」
「心落ち着くいつもの声さね」
「・・・アズも歌ってみたいですのー!」
「リエルー?歌うたったことある?」
「ないで~すの、でもやってみたいっ♪お歌知らないですけれど・・・」
「いいんじゃないのかい?、歌手が増えるのはウチは大歓迎さね・・オリヴィア教えてやりなよ。ふぅーーー。」
どこから取り出したのか長い煙管から煙エフェクト(*1)を出してマルーさんはどこか面白がっているようだった。
「マルーのきせる、それも古代のいさん?」
「ははは、違うさね。こういうモノはね、大人な場所に隠してあるものだよ・・ふふふふっ」
(*1:この時代喫煙は全面的に禁止されており、エフェクトが出るだけの文化尊重品として一部流通している。)
・・・楽しそうな会話が飛び交うなか、オリヴィアはふと違和感を覚えていた。
機械知性体であるのに歌ったことがない?・・これは特におかしいことではないけれど、プリレゾンデートルが歌や音楽に触れるもので無ければ能動的に取り組む機械知性はそう多くはない。
しかし、これだけ興味があるように見えて、歌を歌ったことがない?
曲を知らない?・・・アーシェちゃんはとっても変わっていますね~。
「アーシェちゃんは、その・・稼働開始何年目の機械知性なのですか~?」
この質問は本来口に出さないのですけれど、この子には機械知性についているはずのプレートがない・・。相手に聞いてみないとわからない。
一度訪ねないとどういう教え方をすれば良いのか見当がつかないという理由もあります。
しかし、この問いかけには思いもかけない答えが返ってくる・・。
「アズは目を覚ましてから26日目だよ~♪製造された時期は約7900年ほど前になりますの♪・・残存稼働年数はおよそ100万年になるです~。」
「・・フゥハッ・・冗談をお言いでないよ!この子は・・」
「・・・・26日?、7900年で100万年??・・・」
「リエルの歴史、エンドレスー♪ロングランポイント+20点☆」
そんなハズは・・・虚言?・・冗談?でも、違う!恐らく本当の事・・
なんの根拠もないけれど、頭に入ってきた言葉が真実である気がした。
「はーいっ!それじゃぁ簡単なお歌にチャレンジしてみましょうか?」
「あーい♪リエルの聞くー☆」
「どんな歌になるか楽しみだねぇ」
・・・・・・ 30分後 ・・・・・・
初めてアズが教えてもらいながら、見様見真似で歌った歌は
“壊滅的ボーカロイド”と満場一致の評価だった。
「う~!アズっ頑張るもんっ!ぷんぷんですの~;;」
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