Tips 「レスェルミン ”永続性 心喪失疾患” 中間報告レポート」
【通称レスェルミン = 永続性心喪失疾患 中間報告レポート】
【第二級機密指定文章 GrAー177号】
製作者:“アンチレス・メディカル”病院長・機械知性医学博士 メディエス・カプセル
提出先:プラネットハーツ政府中枢 ドクター・エンディア / ルーテシア・エビデンス
【現在までに確認されている共通症状】
1、急激に発症したケースは皆無、およそ数十年~数百年単位に渡り徐々に進行する
病理形態である。また発症からの進行は非常に個人差がある事を確認している。
2、徐々に悪化する疾患内容は「積極活動性、繁殖能力、心的反応のゆるやかな減少
=但し苦痛を除く」が主であり記憶喪失や他病気との合併症などは決して起こらない。
減少スピードは個体差があり、500年くらいかけてほぼ受身反射的反応になった
ケースもあれば、2-30%程度の喪失で済んでいるとの報告例もあり、未だ不明点が多い。
3、罹患に伴う最大の特徴は、「寿命、物理現象を超越して“死亡しない”」ことが
最大の特徴となる。詳細は下部に併記する。
4、この疾患は片側が罹患している状況で生殖活動を行った際に懐妊すると
“100%遺伝”する、また症状は親世代の状況から引継ぎが行われるため進行を止める
手段は“種として存在しない”うえに、今現在例外は確認できず。
【所見】
個人的な所見としては、これを“病気”として扱うこと自体が根本的な誤りなのではないだろうか?と考えている。
まず、ウィルスも病原菌も罹患者の身体から一切発見できていない。
次に、心的喪失症状とはいえ、外界からの刺激や言葉に反応を返して
生活を送ることは可能なのだ・・。
よって精神に一方的な影響を及ぼす“呪い”の類ではないか・・?
医師にあるまじき概念であることは百も承知だが
アプローチの方向を1000年単位で人類は間違えているのではないか?・・
私は近年そう考えることを禁じ得ない状況だ。
【“死亡しない”という現象について】
これは、“死亡しない”というより“死亡できない”と捉えた方が
一般的な感覚と齟齬が無いだろう。
まず、解りやすい一つ目の例が罹患すると“寿命が進行しない”というものだ。
つまり老衰することが無くなる。
次に2つ目はいささか理解に苦しむ現象ではあるが、大質量の物体で潰しても
銃弾を撃ち込まれても決して死ななくなる。
原因は不明で、繰り返しになるが特段ウィルスや病原菌の類は発見されていない。
また、放射線等の有害照射波や重力子障害によるものではないと言うことは、現代医学で裏付けが取れている。
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【中枢政府よりの要望について回答】
昨今ご要望がありましたレスェルミン患者の実態を広く知らしめるための広報活動として
政府側選定による機械知性側人材の見学・慰問枠増強については、門戸を大きく開く方針で近日受け入れ態勢の拡大が可能となる事を報告致します。
人材選定が完了されましたら、御一報頂けましたら幸いです。
当院としては最大限のサポートをお約束致します。
【活動体人類としての限界試算】
個々の進行がバラバラであるため、数値に落とし込むのは難しいという前提はありますが
結論から申し上げますと“人類が人類としての精神性”を保てる限界ラインは、あと300年~500年生存を切っていると想定されます。
まず、初めに生殖可能な期間と生殖能力減少。
そして遺伝による漸減率の割合は低いものの、既に発見から1000年単位で時間を消費していること、長い人類史の中で罹患後“1名も完治例が無い”ことから現状は極めて絶望的です。
生命が保たれているという観点からは被害者は0名ですが、社会的インフラの継続や
文明性を保つ必要最低数を割り続けており“重度患者保護区画”がより多くなる傾向は否めません。
試算ではありますが、これから30年~50年内で劇的な回復が見込めない場合人類は
文明維持に対し必要定数を満たせず絶滅することになります。
・・・・一つでも可能性が残っていることを信じて・・・。
病院長・機械知性医学博士 メディエス・カプセル