表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夕立  作者: 蒼生光希
1/10

出会い

短編です。ぞくっ、としてもらえたら嬉しいです!

 「何してんの?」

 「雨を待ってるんです」


 俺は喫煙室から出たところだった。外は15時すぎ、(まぶ)しいくらいだ。今日は最高気温35度だったか。窓の外を見ている子のケツの形がいいなと思ったから話しかけた。

 月曜日朝礼で紹介された派遣の子だ。なかなか可愛らしい顔立ちをしている。目の下の泣きぼくろが色っぽい。俺は素早く上から下まで眺めた。セミロングの黒髪に目がくりっと大きくて胸がそれなりでウエストが細い。合格だな。制服のスカートから伸びるふくらはぎが白くてそそられた。


 その子の方も、ちらりと俺を見て目を見張ったのがわかった。俺は爽やかに笑って見せる。自分で言うのもなんだが、背は高いし顔が整っているので笑顔で話しかけて嫌がる女はいない。おかげで付き合う女は切らしたことがなかった。

 

「雨? 降らない方がいいんじゃないの」

「私の車、今空調壊れてるんです。雨が降れば少しは車内が涼しくなる」

「大変だね。買い替えたら?」

「車はよくわからなくて。修理と買い替えと迷っているうちに1週間すぎちゃった」

「ふうん」

「だから雨は私にとって救いなんです」

「降るといいね。じゃ」

 

 その時はそのまま営業部のデスクに戻った。背後に視線を感じる。物足りないくらいで会話は終わらせた方がこっちを気にするはずだ。


 案の定、退社前に休憩所を通ると女の子の方から話しかけてきた。カフェオレを飲んでいる。

「お疲れ様です」

「お疲れ、雨降らなかったね」

「ええ、でもそのおかげで話しかけてもらって嬉しかったです。経理部以外の人と話すことないので……」

「そうなの? 可愛いのに」

 彼女は一瞬固まった。

「……えっやだ、本気にしますよ」

 照れているようだ。なかなかに反応がいい。俺は心の中でにんまりと笑った。


 雨を待っていた女の子は倉橋真由香(くらはしまゆか)と名乗った。隣に座るとふんわりと香水の甘い香りがした。


「雨にまつわる怖い話があるんだけど、聞く?」

「ええー」と、そんなに嫌がっていない様子だったので俺は「ちょっとだけだから」と話し始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ