香月よう子さま『はじまる季節 ──十七歳、僕は初めて人を愛した』
「ああ、今日はレビュー日和だな」
あまいやりとりがはじまる恋空にうなずいて、レビュー喫茶店の看板を出しました。
わたしはレビュー喫茶店の喫茶マスターのくまごろうです。どうぞお見知りおきくださいね。
このレビュー喫茶店は、おすすめの一冊を語り合う喫茶店でございます。
今日はどんな一冊に出会えるでしょうか――?
本日はヤギのシーロさまがおすすめの一冊をお持ちくださると聞いて心待ちにしていますと、カランと鈴の音が鳴って扉がひらきました。
「くまごろうさん、アライさん、こんにちは。喫茶店の前ですてきな恋がはじまったみたいだね」
シーロさまが目を細めて言うと、アライさんがにこにこ答えました。
「文鳥さんたちは、運命の恋で初恋なんだって!」
「ああ、それは素晴らしいね」
にっこり微笑んだシーロさまがゆったりおすすめの一冊を差し出しました。
本日のおすすめの一冊、どんな本か見てみましょう。
「これは香月よう子さまの『はじまる季節 ──十七歳、僕は初めて人を愛した』ですね」
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《本日のおすすめの一冊》
◇作品者/作品名
香月よう子さま
『はじまる季節 ──十七歳、僕は初めて人を愛した』
(https://ncode.syosetu.com/n6570gj/)
◇ジャンル/文字数
現実世界〔恋愛〕/ 36,457文字
◇あらすじ
それは、彼の人生に初めて訪れた恋だった──
いつも教室の片隅で一人ひっそりと本を読んでいる女の子・橘碧衣。
彼女のことがいつの間にか気になりだしていた佐伯清志郎、十七歳。
清志郎の視線に気づき、恥ずかしそうに俯く碧衣だったが、やがて清志郎に華のような微笑みを返すようになる。
そしてふたりは十七歳の青春のひとときを、同じ教室という限られた空間で共有し始めた……。
しかし、清志郎は碧衣を大切に思うあまりに、悩み、ある決断をする。
迎えた卒業式、彼は彼女にあることを切り出した。
そしてその後、ふたりを待つ運命とは──……。
(『はじまる季節 ──十七歳、僕は初めて人を愛した』の小説情報より引用しています)
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シーロさまがやさしく本の表紙をなでました。
「主人公が遅い初恋に目覚めて、きらきらした青春を過ごす様子が微笑ましいし、二人の成長に合わせて恋の変わりを丁寧に紡いでいるところが趣深くてレビューの手紙を書いたんだよ」
シーロさまがぱさりとレビューのお手紙を見せてくれました。
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◇レビュータイトル
万華鏡のように美しくて儚く、惹き込まれる恋があります
◇レビュー本文
一度として同じ模様を見ることができない万華鏡のように、この物語は読み手によって様々な感情を引き出させ、美しさを魅せてくれます。
この物語は、十七歳の高校生の佐伯清志郎が、同じ教室の片隅で一人ひっそりと本を読んでいる橘碧衣に、人生で遅れてやってきた『初恋』をするところから始まります。
本を読む碧衣と偶然視線が絡むだけで胸が高鳴る清志郎が、ある日の放課後、困っている碧衣を助けたことから物語は動き出して……。
高校生のふたりが卒業して、就職と人生のステージを少しずつ変えていきます。そんな、ふたりを待つ運命とは——
万華鏡をくるりくるりと回すように、移り変わる物語の世界の想像していた以上の美しさに息をのみ、時に感情を揺さぶられ、そして物語の世界に引き込まれてしまいます。
物語に彩りを加えるイラストも繊細で上品な美しさです。
さあ、どうぞ貴方もお手に取って、この物語の世界を覗いてみませんか——
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レビューの手紙を味わうように見つめるシーロさまにそっとお茶を差し出します。
お茶をゆるりと味わってから口をひらきます。
「万華鏡のように変化する恋は、読み手によって見える風景や引き出される感情が違ってくると思いますね――何度も読み直しても味わいが異なる素晴らしい恋物語です」
ふう、と感嘆の息をはくシーロさま。
初恋の味わいと熟成していく恋の味わいは違いますが、どの恋もその時にしか味わえないすてきなものですねと深くうなずきました。
わたしは新鮮な秋草をいくつかきざむとミキサーにいれました。春の草もさわやかで苦味があって素敵ですが、秋草も深い香りとどっしりした味わいがあって素晴らしいのです。
「うぐいす餅と秋草のジュースはいかがでしょうか?」
「くまごろうさん、ありがとう」
「シーロさま、素晴らしいおすすめの一冊をありがとうございます」
本日のおすすめの一冊である香月よう子さまの『はじまる季節 ──十七歳、僕は初めて人を愛した』は、くまごろうの本棚に入れておきますので皆さまも手に取ってみてくださいね。
ここはなろう森にあるレビュー喫茶店。
今度はどんなおすすめの一冊に出会えるか楽しみですね。
またのお越しをお待ちしております。