藤倉楠之さま『カナリア』
「ああ、今日はレビュー日和だな」
ぽつぽつ雨が降りはじめた空を見上げてうなずくとレビュー喫茶店の看板を雨の当たらない木の下に出しました。
わたしはレビュー喫茶店の喫茶マスターのくまごろうです。どうぞお見知りおきくださいね。
このレビュー喫茶店は、おすすめの一冊を語り合う喫茶店でございます。
今日はどんな一冊に出会えるでしょうか――?
「くまごろうさん、雨が降ってきましたね」
素敵な傘を持ったシーロさまがやってきました。
「シーロさま、濡れてしまうので中へどうぞ」
シーロさまはカウンターに座るとおすすめの一冊をゆっくりと置きました。
本日のおすすめの一冊、どんな本か見てみましょう。
「これは藤倉楠之さまの『カナリア』ですね」
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《本日のおすすめの一冊》
◇作品者/作品名
藤倉楠之さま
『カナリア』
(https://ncode.syosetu.com/n9626gf/)
◇ジャンル/文字数
現実世界〔恋愛〕/ 146,790文字
◇あらすじ
雨の夕方、偶然出会った、カナリアのような女性に一目惚れした「僕」、吉見彰実。勢いで飼うと言ってしまった子猫との共同生活も始まった。
雨の夕方、途方に暮れていたときに、声をかけてくれた通りすがりの男の人が忘れられなくなった「私」、永井里佳。
二人の人生がもう一度クロスしたときに、物語が動き始めた。
全30パート、序章+第1章~第28章+終章で完結します。
シリーズの後日譚として、「柿色とラズベリーレッド」「日曜日の目薬」も発表しています。
(『カナリア』の小説情報より引用しています)
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ぺらりぺらりと頁をめくる音が雨音と一緒に聞こえてきます。
「こちらの作品はとてもしっとり丁寧につむがれる上質なお話でしたのでレビューのお手紙を書いたのですよ」
シーロさまは穏やかにそう言うとレビューのお手紙を見せてくれました。
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◇レビュータイトル
じれったくて、もどかしくて、最後に優しい甘さをゆっくりと味わいたい
◇レビュー本文
この物語の主人公は、大学の助教の吉見彰実と調剤薬局に勤める薬剤師の永井里佳。彰実はある雨の日、怪我をした子猫を見つけて困っている里佳に手を差し伸べます。子猫を無事に助けた二人は、お互いのことが気になりつつも、また別々の日常に戻っていく。
ところが流行りのインフルエンザにかかった彰実が、里佳の調剤薬局に薬を置き忘れてしまって……。
言葉や行動があたたかくて誠実な彰実と一生懸命なのにどこか不器用で甘えるのが下手で強がりな里佳。
二人の焦れったくて、もどかしい恋がはじまります。助けた子猫もやんちゃに元気になって登場するのも愛らしいですよ。
ゆっくりと紡がれる優しくてあたたかな世界観は、じっくり味わいたくなる恋の物語です。
どうぞあなたも味わってみてくださいーー。
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「カナリアの主人公とヒロインが出逢うのも雨の日なのですよ」
窓の外は先ほどより雨が強くなっています。
「若い二人ではない分、複雑な想いや葛藤もあるのですが……じっくりゆっくり、そしてじれったくもどかしい優しい恋物語なのです」
シーロさまの言葉にうなずきます。
丁寧にドリップした珈琲をコトリと置きました。
「くまごろうさん、ありがとうございます」
目をとじて珈琲を味わうシーロさま。
「二人が出逢った時に助けた猫さんもとても愛らしくて癒されますし、なんと言っても主人公の吉見さんの誠実な人柄とお言葉が心に沁みますよ――とても素晴らしい行動と対応に、誠実とはどういうものなのかを見た気が致しましたね」
「おや、雨が上がったようですね。この物語の結末も虹がかかったようなハッピーエンドですよ」
きらめく虹をしばらくシーロさまと見つめました。
「くまごろうさん、今日はありがとう」
「シーロさま、素晴らしいおすすめの一冊をありがとうございます」
本日のおすすめの一冊である藤倉楠之さまの『カナリア』は、くまごろうの本棚に入れておきますので皆さまも手に取ってみてくださいね。
ここはなろう森にあるレビュー喫茶店。
今度はどんなおすすめの一冊に出会えるか楽しみですね。
またのお越しをお待ちしております。
本日のおすすめの一冊がある『くまごろうの本棚』は、お星さまの橋を渡るとたどり着きますよ。
まっすぐ下へお進みくださいね。