藤倉楠之さま『絹雲』
「ああ、今日はレビュー日和だな」
うろこ雲が広がる空にうなずいて、レビュー喫茶店の看板を出しました。
わたしはレビュー喫茶店の喫茶マスターのくまごろうです。どうぞお見知りおきくださいね。
このレビュー喫茶店は、おすすめの一冊を語り合う喫茶店でございます。
今日はどんな一冊に出会えるでしょうか――?
「くまごろうさん、秋の雲ってイワシやサバもあるし、おさかなの名前が多いよね」
「たしかにそうですね――アライさん、実はどちらも巻積雲という雲なのですよ」
沢山の雲の名前がありますが、雲はできる高さと形で十種類に分けられています。
特に秋に美しい姿を見せる巻積雲は、細かな雲の粒がたくさん集まってできている雲で、空に白い小石をまいたように見える雲はとても秋らしく感じますね。
「そうなんだ! あっ、くまごろうさん、ほら、あの雲見てみて! なんだか美味しそうだよ」
「ええ、本当ですね」
うろこ雲やいわし雲は形が崩れやすく、美しい姿を長い時間見ることができないですからアライさんとしばらく魅入ってしまいました。
喫茶店に戻るとアライさんがふわふわなしっぽを揺らして、おすすめの一冊を出しました。
本日のおすすめの一冊、どんな本か見てみましょう。
「これは藤倉楠之さまの『絹雲』ですね」
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《本日のおすすめの一冊》
◇作品者/作品名
藤倉楠之さま
『絹雲』
(https://ncode.syosetu.com/n1233fw/)
◇ジャンル/文字数
ヒューマンドラマ〔文芸〕 / 54,792文字
◇あらすじ
文芸部の一学年上の鈴本先輩は、いやな人だった。誰よりも賢く、鋭く、容赦なく、自分にも他人にも限りなく厳しい。そんな彼女と、ちょっとしたきっかけで関わることになった男子高校生・渡井荘介の、ある秋の物語。
(『絹雲』の小説情報より引用しています)
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「なろう森で小説を書き始めて上手くいかないときに心に響く言葉がいっぱいだったから、レビューのお手紙を書いた一冊だよ」
アライさんがひらっとレビューのお手紙を広げました。
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◇レビュータイトル
悩んでも迷っても言葉をつづりたいと願う物書きの皆さま、必読ですよ!
◇レビュー本文
連載の続きがひと文字も書けない、辛辣な感想に落ち込む、素敵な小説が書けないとため息をこぼす——楽しくて始めた小説書きの世界なのに、うまくいかないと嘆きたくなる日もありますよね?
そんなあなたにお勧めしたい小説があります!
この物語の主人公——高校生の渡井荘介が所属する文芸部には、著名な文学新人賞を受賞し、美少女すぎる俳句界の新星といわれる華々しい経歴をもつ一学年上の鈴本先輩がいた。
そんな先輩がいたら文芸部で歓迎されると思いきや……鈴本先輩、いやな人だった!
批評の言葉が厳しくてミーティング室の空気を凍りつかせ、批評する水準にないときは首を横に振って沈黙を招くのだ。
荘介の作品は、一度も彼女の批評の水準に達したことがないのに、なぜか荘介が文芸部の副部長に選ばれて……。
めんどくさくも可愛らしい鈴本先輩の言葉が物書きする身に深く染み渡り、また自分も書きたくなる小説——おすすめですよ!
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「なろう森にはすごい人達がいっぱいいて、ぼくなんか書かないほうがいいかもって思っていた時期があったんだよね……」
はあ、とため息をついたアライさんにびっくりしました。
アライさんの連載小説『手洗いチートで最強除菌 ~え、ただの泡もこハンドソープなんですけど?~』はとても面白くて更新される度に『ごろうくま』名義でこっそり感想を書いているのです。おっと、これはアライさんには内緒にしてくださいね。
「この鈴本先輩の言葉や主人公の渡井荘介くんの行動がすごく心に響いたよ――自分の小説を書くしかないって思えたんだよ」
「アライさんが筆を折らなくて本当によかったです」
心からの本音を言うとアライさんはにこにこ笑っています。渡井荘介さまと鈴本先輩には感謝しかありませんね。
「あとね、作者の藤倉楠之さまは食べ物の描写にこだわっているからとっても美味しそうなんだよね――舞台になった高校の近くにあるお店屋さんがすごく印象的だったよ」
食べ物が美味しそうだと嬉しくなる気持ちは喫茶店を営むクマですので凄く共感できます、と大きくうなずきました。
窓から見える雲は大きなおさかなのように見えましたので、アライさんが好きな鯛焼きをほかほかにあたためます。
にこにこ次の小説の構想を考えるアライさんの前に鯛焼きをコトンと置きます。
「アライさん、小倉の鯛焼きはいかがでしょうか?」
「くまごろうさん、ありがとう」
「アライさん、素晴らしいおすすめの一冊をありがとうございます」
本日のおすすめの一冊である藤倉楠之さまの『絹雲』は、くまごろうの本棚に入れておきますので皆さまも手に取ってみてくださいね。
ここはなろう森にあるレビュー喫茶店。
今度はどんなおすすめの一冊に出会えるか楽しみですね。
またのお越しをお待ちしております。
本日のおすすめの一冊がある『くまごろうの本棚』は、お星さまの橋を渡るとたどり着きますよ。
まっすぐ下へお進みくださいね。







































