石河翠さま『恋は歌声とともに〜不器用行き遅れ堅物女子の遅咲きの恋〜』
「ああ、今日はレビュー日和だな」
焼き菓子が恋しくなる秋空にうなずいて、レビュー喫茶店の看板を出しました。
わたしはレビュー喫茶店の喫茶マスターのくまごろうです。どうぞお見知りおきくださいね。
このレビュー喫茶店は、おすすめの一冊を語り合う喫茶店でございます。
今日はどんな一冊に出会えるでしょうか――?
アライさんがジョウロで水をあげると小さな虹がかかりました。もうすぐ芽が出てくるかもしれませんね、と思いながらアライさんに声を掛けます。
「アライさん、森のオーブンに行ってきます」
「くまごろうさん、いってらっしゃい」
なろう森には誰でも使うことのできる大きなオーブンがあるので、大きなケーキや沢山の焼き菓子を作るのにぴったりです。
森のオーブンからあまい匂いが広がっています。そろそろ焼き上がりの時間ですのでミトンをつけると鉄板をそっと取り出しました。
レビュー喫茶店に戻ると白ヤギのシーロさまがモンシロチョウ三姉妹とアライさんと楽しく話していますね。
「シーロさま、いらっしゃいませ」
「くまごろうさん、待っていましたよ」
シーロさまはにこやかに微笑むとカウンターにおすすめの一冊を差し出しました。
「これは石河翠さまの『恋は歌声とともに〜不器用行き遅れ堅物女子の遅咲きの恋〜』ですね」
・*:.。 。.:*・゜✽.。.:*・゜ ✽.。.:*・゜✽.。.:*・゜
《本日のおすすめの一冊》
◇作品者/作品名
石河翠さま
『恋は歌声とともに〜不器用行き遅れ堅物女子の遅咲きの恋〜』
(https://ncode.syosetu.com/n7769ej/)
◇ジャンル/文字数
異世界〔恋愛〕/ 73,925文字
◇あらすじ
主人公は子爵令嬢にも関わらず、軍人として働く変わり者の堅物女子。すでに二十も半ばを過ぎ、立派な行き遅れである。
このまま独身を貫くのもいかがなものか。祖父の勧めに従い見合いに望んだものの、お相手には軍人であることを理由に振られてしまった。その上、軍部でもまた自分の意思に反して配置換えを命じられてしまう。一体自分が頑張ってきたことは何だったのかと途方にくれる主人公。
そんなある日彼女は行きつけの酒場で、美しい歌うたいに出会う。初めての恋に心が浮き立つのもつかの間、男の気持ちは恋愛初心者の彼女にはまったくわからない。しかも、男が別の美しい女と楽しそうに過ごす姿を目撃してしまう。しかし、とある事件をきっかけに二人の距離は一気に縮まることになり……。
これは自分に自信のない不器用な女と、過去にトラウマを持つ訳あり男が幸せを掴むまでのお話。
(『恋は歌声とともに〜不器用行き遅れ堅物女子の遅咲きの恋〜』の小説情報より引用しています)
・*:.。 。.:*・゜✽.。.:*・゜ ✽.。.:*・゜✽.。.:*・゜
「不器用女子と歌うたいの恋の甘さとほろ苦さに酔ってしまってね……迷わずレビューのお手紙を書かせてもらいましたよ」
三日月を横にしたような瞳を細めたシーロさまがレビューのお手紙をすっと渡してくれました。
・*:.。 。.:*・゜✽.。.:*・゜ ✽.。.:*・✽.。.:*・゜
◇レビュータイトル
恋に落ちるのもいいですが、この恋に溺れてみませんか——?
◇レビュー本文
甘い砂糖菓子も素敵ですが、アフォガードのように苦みが甘みをより惹き立たせるドルチェもまた甘美な魅力を持っています——それが物語だったらどうでしょう?
この物語の不器用な主人公エレナの人生の苦みは、二通の手紙。
一通目は、頑張っていた軍人から広報科への異動辞令。
二通目は、婚約破棄された青年から別の女性との婚約披露の招待状。
感傷的な気持ちを抱えたある日、エレナは行きつけの酒場で異国風の衣装を纏った美しい歌うたいのヘルトゥに出逢う。ヘルトゥの言葉は傷ついたエレナを柔らかく包み、髪を優しく撫でるヘルトゥに甘く心を溶かされていく。ところが、なんでもこなすヘルトゥにも人生の苦みはあったようで……。
苦みと甘みが混ざり溶けあうように、ふたりの変化を楽しめ、時にはたっぷりのお酒で大人の味に変わるのも堪能できる——溺れるという意味のアフォガードのような物語、どうぞ貴方も溺れてみてはいかがでしょう?
・*:.。 。.:*・゜✽.。.:*・゜ ✽.。.:*・゜✽.。.:*・゜
「なんでもこなしてしまうスパダリのヘルトゥさんが素晴らしく格好いいよね――でもね、それ以上に不器用な弱みを見せる瞬間がたまらなく愛おしい……」
ますます瞳を細めたシーロさまの言葉にモンシロチョウ三姉妹がうなずくように舞いました。
「わかる! なんでもできる人のだめなところって胸に刺さるのよね」
「そうそう! 完璧だと思っていた人の不完全さってセクシーなのよ」
「本当よね! 抱きしめたくなっちゃう……」
恋と愛というのは、とてもよく似ていますが……。
スパダリや王子さまのような完璧に見える人のだめなところを見て醒めるのは「恋」、不完全なところを愛おしいと思うのは「愛」なのかもしれませんね、とわたしはうなずきます。
「本編ももちろんハッピーエンドなのですが、不定期に更新される外伝もあまくてとても幸せな時間を運んでくださるのです」
「わかるわ……!」
「甘いって大事よね」
「そうよそうよ!」
甘いものが大好きな皆さまに森のオーブンで焼いたホロホロ崩れる口当たりのクッキーに粉糖をまぶして仕上げます。
話の盛り上がるみなさまの前にポルボロンをことり、と置きました。
「口の中で崩れないうちに『ポルボロン』と 三回唱えることができると幸せになるポルボロンはいかがでしょうか?」
「くまごろうさん、ありがとう」
「シーロさま、素晴らしいおすすめの一冊をありがとうございます」
本日のおすすめの一冊である石河翠さまの『恋は歌声とともに〜不器用行き遅れ堅物女子の遅咲きの恋〜』は、くまごろうの本棚に入れておきますので皆さまも手に取ってみてくださいね。
ここはなろう森にあるレビュー喫茶店。
今度はどんなおすすめの一冊に出会えるか楽しみですね。
またのお越しをお待ちしております。
本日のおすすめの一冊がある『くまごろうの本棚』は、お星さまの橋を渡るとたどり着きますよ。
まっすぐ下へお進みくださいね。







































