【超短編】幼なじみの親友は恋人になれるか?制限時間は10分。
超短編投下します!
「優翔、私ね、遠くに引っ越すの」
幼なじみで親友の愛佳が、いきなりそう言った。
いつものように俺の部屋で一緒にゲームをしていた時だった。
俺のキャラはあっさり画面外に吹き飛ばされて敗北する。
しかしそんなことなどどうでもいい。
「そんな冗談言って勝とうとか、愛佳ったらひどいなあ」
「あと10分でお迎えが来るわ」
愛佳の顔は真剣だった。
「どうしてそんなギリギリに言うんだよ」
「だって…言い出しづらくて」
「あと10分とかあり得ないだろ!」
「ごめんね。でも、引っ越してからも親友でいようね」
「待てよ!」
俺は隣に座っている愛佳の両肩を掴む。
「な、何?」
「お、俺は」
このまま遠くに引っ越されたら、2度と言えなくなる!
勇気を出せ!俺!
「俺は愛佳のこと…」
「私のこと?」
「だい…」
「だい?」
「大根足な所も好きなんだ」
「馬鹿なのっ?!」
どすっ!
「ぐっ」
みぞおちに見事な愛佳の突きが決まった。
さすが空手黒帯だ。
「言い直して」
「俺は愛佳の事が、だいす」
ぱああっと顔を輝かせる愛佳。
「ダイスで言うことを決めようと思う」
「たあっ!」
どごっ!
「うごっ!」
愛佳の蹴りがまたみぞおちに命中する。
このままだとさっき飲んだコーラがデビルリバースだぜ。
「言いたいこと決めるのにダイスを使うのね?じゃあ、はい!」
どこからともかく6面ダイスを出した愛佳は出目ごとに俺が言うことを書き始めた。
1愛の告白をする
2大好きだと言う
3行かないでほしいと泣いて頼む
4抱き締めて離さない
5
「えっとそれから…」
愛佳が悩んでいる隙に、俺は先に6に記入する。
6最後にエッチな思い出を作る
「何よそれ!」
「駄目なの?」
「駄目に決まってるわよ!」
「じゃあ消される前にサイコロを振るか」
「待って!まだ5が書いてない!」
転がったサイコロの目は…
「5だな」
「5ね」
よりによって空欄の目が出た。
「じゃあ…」
かりかりかり
『5キスをする』
と愛佳は書き加えた。
「いいのか?」
「う、うん。でも、先に優翔の気持ちを聞きたいな」
「俺は愛佳の…ことが…好…」
頬を染めて目を閉じて待っている愛佳。
「俺は愛佳の妹のことが好きなんだ!」
「え゛?」
「やっぱりい?優翔にいったらロリコーンだねっ」
と、さっきから俺たちのやり取りを眺めていた愛佳の妹の真奈美が俺の目の前に来た。
「優翔にいのこと、真奈美も大好きだよっ!」
そして真奈美が俺の首に抱きついてキスをしてき
「あちょー!」
いきなり愛佳の回し蹴りが炸裂して俺と真奈美が吹き飛んだ。
「まさかあなたたちがデキているなんてね」
パキパキと指を鳴らす愛佳。
「あ、愛佳落ち着け」
「問答無用よ」
ガンっ!
ダイスが愛佳の正拳で机にめり込む。
「あら6ね。つまり…」
ビリビリビリッ
俺の服が愛佳の手刀と蹴りで引き裂かれていく。
「エッチな思い出を作るしかないわね」
「ひいいいいっ!」
ピンポーン
俺の貞操を守ったのは愛佳たちの両親が鳴らした呼び鈴だった。
「もう時間なの?くっ!」
「愛佳、真奈美、ごめんね。実は単身赴任になったの。それでね、お母さんもついていくから、愛佳と真奈美はここで世話になってね」
「「「え?」」」
そして瞬く間に去っていった愛佳たちの両親。
「愛佳」
「な、何よ」
「ゲームの続きしようか」
「そうね」
「真奈美もする!」
「今度は負けないわよ!」
「真奈美も絶対お姉ちゃんには負けないから!」
「優翔!覚悟しなさいよ!」
「ああ。覚悟しておくよ」
そして俺と愛佳はまた親友同士に戻ったのだった。
「はあはあ」
「愛佳、どうした?息が荒いぞ?」
「優翔のその格好…やっぱり思い出作っていい?」
しまった!服がビリビリで色々丸見えだ!
この後リアルファイトになった。
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