初日の顔合わせ
暫くして、クラスメイトが教室に集まってきた。
「はぁ、急に逃げるから驚いたよ?」
少し遅れてクリスがやってきた。
「ご、ごめん!ちょっと恥ずかしくて………」
「いや、自分も配慮が足りなかったよ。ごめんな」
きゃー!クリスってば、本当にカッコよくなっちゃって♪
シオンは内心で喜んでいた。
しかし、周囲を見渡しながら1つの疑問が浮かんでいた。
『こほんっ!さて、これで乙女ゲームが始まるのだけれど、ストーリーとだいぶん変わっているのよね?』
本来ならリュミナス王国の王都にある魔法学園に入学するはずだったんだけど、私が別の学園を作っちゃったからな~
フレイは悪役令嬢として『ヒロイン』を虐めるのだけれど、ヒロインもこの学園に入学しているのか、わからないのよね~?
ヒロインは下級貴族の男爵家の令嬢で、光の魔力を持っていたので注目されるのよねー!
ゲームでは、シミュレーションパートで勉強や魔力のパラメーターを上げていくとイベントが起こって、フラグが立っていくのよね。
本当ならクリスの婚約者であったフレイが、自分より成績の良いヒロインを妬んで、色々と嫌がらせをしていくのよ。お母さんが死んでから父親の公爵が仕事一筋で、家族を省みないせいでフレイの性格が歪んだのよ。
でも、今のクリスの婚約者は私だし、フレイのお母さんも死んでいない。だからフレイの性格も良好で嫌がらせなんてしないわ!
さぁ、来るならきなさいヒロインよ!
この四大精霊の契約者である『モブキャラ』の私が破滅フラグを折りまくってやるわっ!
…………なんか、目からしょっぱい水が出てきた。
この乙女ゲームは自分で名前を付けるタイプだったからヒロインの名前がわからないのよね。
でも、唯一わかっているのはピンク色の髪の女の子ってことよ!
さて、ピンク色の脳…………じゃなくて、髪色の女の子はいないかな~?
ざっと見渡しても、そんな目立つ髪の色の女の子はいなかった。
『もしかして、王都の魔法学園の方に入学したのかしら?』
シオンがキョロキョロしているとミレイユが声を掛けてきた。
「シオン様?どなたかお探しですか?」
「えっ?いや~、噂でピンク色の髪の女の子が入学してくるって聞いたので。それと、クラスメイトなんだから『様』はいらないわよ?呼び捨てで呼んでね」
シオンの言葉にフレイが口を挟んだ。
「あら?知っていたのシオン?その子は珍しい光属性の魔法を扱えるそうなのよ」
!?
「フレイは知っているの!?」
「ええ、シオンの言う通り確かこのクラスに入ってくるはずよ?」
やっぱり、ヒロイン補正でも掛かってメインキャラの多くいるこちらの学園に来たみたいね!
でもまだ来ていないのか、ヒロインの姿は無かった。
そして時間が経ち担任の先生が教室に入ってきた。
うん?あれは─?
なんか、ものすごーく!見覚えがあるんですけどっ!!!!!?
「さて、皆集まっておるな?妾がこのクラスの担任を受け持つ、四大精霊が一柱ウンディーネじゃ。これから一緒に頑張っていこう!」
おおっ!!!!!
「あれが、四大精霊様!?」
「なんて綺麗で膨大な魔力を持っているのかしら!?」
「四大精霊のリーダーとも言われるウンディーネ様が担任なんて凄すぎる!?」
教室中に歓声が起こった!
ちょっと!私は皆は魔法の授業しか受け持ってないって聞いていたんですけど!?
どういうことよっ!
シオンはウンディーネを睨むが、ウンディーネはふっ、と笑うと手を叩き騒ぎを静めた。
パンッ!パンッ!
「静かにっ!今後は他の授業で、別の四大精霊が直接授業を指導する。皆が学べる時間は限られておるじゃろう。故に、この学園生活を無駄にしないよう、1日を大切に学び、実りある学園生活を過ごして欲しい!」
ウンディーネの言葉に生徒達は一言一句聞き逃さないよう静かに聞いていた。
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