激突!
魔炎将軍イグニスは黒の甲冑に身を包み、重量のある見た目とは裏腹に、素早いスピードでイフリートに襲い掛かってきた。
「受けてみよ!黒炎爪!!!」
黒い炎を纏った鋭い爪が襲い掛かった。
「焔よ、あたいの身に集いて力と化せ!精霊魔術『炎帝鎧』(えんていがい)!」
イフリートも炎の鎧を着こんで対抗した。鋭い爪と炎の拳が交わった!ガギンッと鈍い音がしたが、構わず連続で攻撃を仕掛ける。
「フハハハハ!その程度か!?」
「へっ、バカ言うなよ!これからだっ……ろ!」
イフリートはイグニスを蹴り飛ばすと、一気に近付き拳のラッシュを浴びせようとした。
しかし、イグニスは黒い炎を壁の様に前に出してイフリートの突撃を止めた。
「こんなもの!」
イフリートが腕を振るって炎を消すが、イグニスは態勢を立て直していた。
またお互いに対峙することになり、隙を伺いながら攻撃を仕掛ける。
お互いの鎧に打撃音が響き渡り、お互いに傷を作っていった。
ガギーーーンッ!!!!
「…………流石は四大精霊と言った所か」
ぶつかった衝撃で距離が空いた。
「ふん、そりゃどうも!魔炎将軍イグニスお前は危険だ。ここで潰しておくぜ!」
イフリートは両手に魔力を集中させた。
『何か大技がくる!?』
「精霊魔術『インフェルノ』!」
イグニスも瞬時に危険を感じとり、対抗手段を取った。イフリートの放った魔法は広範囲に圧倒的な熱量の炎が生まれ、イグニスに全方位から襲い掛かった。
「逃げ場はないぞ!」
イフリートがシオンと出会った時に使った大技である!
「まだだ!邪神様、我に力を与えたまえ!敵をチリすら残さず焼き尽くせ!黒炎龍波ーーーー!!!!!!」
イグニスの黒い炎が龍の形となってイフリートの前方の炎を喰い破る様に呑み込みイフリートに迫った。
『バカな!あれは邪神そのものの力じゃないか!?』
「ウオォォォォオオオオオ!!!!!」
「はぁぁぁぁぁぁああああああ!!!」
ドッカーーーーーーーン!!!!!!!!
大爆発が起こった。
強い爆風が周囲に衝撃波として遠くまで発生した。イルミナは魔術師に命じて結界を張る事により大きな損害を免れた。
「イフリートお母様…………」
心配そうに見守るなか、爆風の煙が晴れてきた。
「あれは!?」
イフリートの姿が見えてくるとイルミナは言葉を失った。イフリートは全身が真っ黒になっており、片足が無かった。
「やって………くれた……な…………」
力無く空から落下した所をイルミナが受け止めた。
「イフリート様!しっかり!」
すぐに魔術師達を動員して回復魔法を掛ける。
「ば、バカや……ろう。イグニスは?」
!?
そうだ!
イフリートに気を取られて魔炎将軍イグニスを失念していた。すぐに周囲を探らせると、イグニスも地面で膝を着いていた。酷い火傷で負傷しているのがわかった。
「はぁはぁ、四大精霊イフリートよ!楽しかったぞ!今回は挨拶に来ただけだ。引くことにしよう!」
気付けばイグニスの周りにも、敵の魔術師が集まり治療し始めた。イルミナはマズイと思い、剣を構えた。
「イフリートを放っておいていいのか?」
くっ、見透かされている。
「お前達、もういいぞ。今回は私の力が四大精霊に通用する事がわかった。ならば、他の仲間達も十分に戦えているだろう」
!?
「貴様!今回は様子見だったというのか!」
「そうだ。今までの雑魚のように、自身の力を過信して殺られる訳にはいかないのでな?」
イグニスは不敵に笑うと黒い炎に包まれて消えた。魔王軍もいつの間にか撤退しており辺りには激しい戦闘の跡だけ残った。




