凍りの女王スノー!
少し時間は遡る─
『それで、生徒達は大丈夫なの?』
『うむ、これから生徒達を外に出して戦わせる。良い経験になるじゃろう』
『実戦経験の無い生徒達に魔王軍と戦わせるのはどうかと思うけど?』
『良いのじゃ。生徒の安全は妾が保証するのじゃ。それより海から来る別動隊が本隊じゃろう。本来はレヴィだけでも十分なのじゃが、あいにくと海龍のレヴィは別の用事があるのでな?少し遅れるのじゃ』
スノーは多くの事を尋ねなかった。今は攻めてくる魔王軍の対処が先だからだ。
「………まったく人使い、いえ精霊使いの荒い親友だわ。でも、たまには良いかも知れないわね。私の大事なものに手を出そうという愚かな者に永久凍土の裁きを与えましょう!」
ピキピキッ!!!
スノーの周囲が凍りついた。
「さぁ、死の凍りのダンスを楽しみましょう?」
スノーは、全てを凍らせるような黒い笑みを浮かべて呟くのだった。
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日が落ちて、暗闇の海が広がっていた。
海中からシルクード領に向かっている者達がいた。
「クククッ、バカな奴らめ。空から攻めてくる四天王は囮だよ。これで精霊学園の生徒達を殺せればよし!それが失敗しても、四大精霊の契約者の街を破壊すれば、多くの国から非難を受けるだろう。世間の風当たりが強くなれば、付け入る隙が生まれるってものよ!」
近隣の海の魔物達を引き連れて、新生四天王の1人が向かっていた。
『あら?楽しそうですわね?私もパーティーに混ぜてくれないかしら?』
突然、脳内に響いてきた声に四天王の1人は立ち止まった。周囲を見渡し、前方のスノーを見つけた。日が落ちて真っ暗な海中ではあったが、この四天王には見えていた。
『ほう?俺の他にも海中で会話できるものがいるとは思わなかったぞ?貴様は誰だ?』
『初めまして♪私は氷の上位精霊のスノーと申します。本日はどのような御用件でしょうか?』
『知れた事よ!これからシルクード領を蹂躙し、街を破壊し尽くすのよ!』
四天王はそう言うと、両手を目の前に出すと大渦がスノーを襲った。
『はははっ!俺達の事に気付いたのは誉めてやるが、たった1人で何ができる?』
スノーが大渦に呑まれたのを確認すると、魔物達を引き連れて進軍を開始しようとしたが………
『あら?どこに行かれるのですか?これからが楽しいのに』
!?
『バカな!?あの大渦に呑まれてなぜ生きている!』
『あら?そんな事ですか?こうしたのよ♪』
ピシッ!
ピキピキッ!!!
スノーの周囲が一気に凍った。
『何っ!!!?』
スノーを中心に海が凍った。
その範囲は200メートルほど凍りつき、海面にも、ちょっとした氷の島ができるほどであった。これだけで魔王軍の別動隊は壊滅した。まさに一瞬の出来事であった。
『あら?』
これにはスノーも内心驚いた。
どういうこと?流石の私もここまでの出力を出すつもりは無かったのだけれど。しかも、前ならこれ程の力を放出すれば、ほぼ力を使い切って、立つのがやっとのはずだけど?
スノーは手をにぎにぎして、感覚を確かめた。
まだ余裕がある。どうして?何が原因??
考えるまでもない。シオンだ。シオンの側に長時間いるだけで、シオンが無意識で放出している魔力を浴びてパワーアップしたのだ。
『これはシルフィの考えが当たったわね』
学園長のシルフィードも、シオンが入学してから、生徒達の成長が著しいと感じて調べていたのだ。
逆にシオンが魔王軍に捕まったら世界の終わりね。
スノーは自分の力を確信して口元を吊り上げた。
『こ、この力………四大精霊なのか!?』
周囲が凍りつき、自らも半分ほど凍って身動きが出来ない四天王は驚愕していた。
『いいえ?先ほども言いましたが、氷の上位精霊であって、四大精霊ほどではございませんよ?まさか、私ごときにも勝てない者が、四大精霊に喧嘩を売るなんて自殺志願者でしょうか?』
ガチガチガチッ…………
四天王は歯をガチガチッさせた。寒さからではない。恐怖から自分は何を思い上がっていたのかと、今さらながら後悔していた。
『私も鬼ではありません。あなた達の拠点を教えて頂ければこの場は見逃しましょう』
四天王は首を縦にコクコクッと何度も頷いた。
スノーは四天王の知りえる情報を聞き出すと、その場を後にした。
『お、おい!待て!?俺は言うとおり話した!助けてくれる約束だろう!』
四天王は必死だった。身体の半分が凍っているのだ。はやくしなければ壊死してしまうだろう。
『あら?私はこの場は見逃すといった筈ですよ?だから戻ります。あなたも早く脱出してお帰りなさい。仮にも四天王(笑)というのならね?』
そう言うとスノーは上昇して海面にでると、空を飛んで戻って言った。
『くそがーーーー!!!!!!絶対に殺してやるぞーーーーー!!!!!!』
四天王は間違った選択をしてしまった。このまま黙って必死に脱出を計れば、なんとか助かった命だったが、大声で叫んだことで、呼び寄せてしまった。
彼の者を─
ゴゴゴゴッ……………………
大きなものが近付いてくる音に、首だけ振り向くと─
海龍のレヴィ大きな口を開けて凍った魔物達を飲み込む所だった。
『あ、ああああ゛!!!!!!!!』
こうして最後はほぼ全員が海龍の餌となったのだった。
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