迷子②
おいしそうにダンゴを食べている女の子『リナ』を横に私はロイに事情を説明した。
私が一通り、事情を説明すると、ロイはまるで知っていたかのような反応をした。
「実はさっき言った、人とお話ししていたから遅くなった件に関係していて…」
と、ロイは私に説明してくれた。どうやらロイに会った女性(実は『リナ』の姉)はこの子『リナ』を探しているようだ。なんて偶然なんだと思わず笑ってしまいそうになる。
「じゃあこの子を大通りで探している女性に届ければいいのね?」
「そうだな、おそらくまだ大通りにいると思う」
「ならいそいでいかなくちゃ!」
大通りについたもののやはり人が多くてとてもじゃないが、人を探すことは難しい。
「これは見つけるの大変そうね…」
「地道に見つけに行くしかないみたいだな」
するとリナが急に走り出し屋台に向かっていく。
どうやらぬいぐるみを扱っている屋台のようだ。
リナはくまのぬいぐるみをじっと見つめている。
「ほしいのか?」
ロイがリナに近づき問う。
「…うん」
リナは遠慮しつつも正直に答えた。
ロイは代金を払いぬいぐるみをリナへ渡す。
「ただ人を探すだけでは退屈だろ?リナが気になったとこを行きつつ探そう。そのほうがリナも楽しいだろ?」
「うんっ!」
パァッと笑顔を咲かせ大きくうなずいた。
「もう、『リナ』って呼ぶと私も意識しちゃうじゃない」
「そうだな、ではリナ『さん』というのはどうかな?」
「ふふん♪なんかお姉さんみたいでいいわね♪それで構わないわ」
「じゃあリナ、俺の頭の上に乗りながら探そうか」
ロ、ロイの肩車!?なんてうらやましい!!
それからいろんな屋台に行きつつリナのお姉さんを探したがなかなか見つからない。
「だめねぇ全然見当たらないわ」
少し休憩をしようと大通りから離れた。右隣に座っているリナにも少し諦めの表情がでている。
日も暮れかけ、だんだん人も少なくなっていた。もう今日は見つからないかも…と私まで弱気になりかけていた時
「はぁ全く見つからない…誘拐とか事件に巻き込まれてたらどうしましょう」
と、左隣から絶望オーラが漂ってきた。
するとロイはその人に声をかけた。
「やっと見つけましたよ、リナのお姉さん」
「その声は…あの時の…お兄さん」
どうやら左にいた人こそが今まで探していたリナのお姉さんらしい。
「そ、それより私を探してたってことは…!わっ!!」
「おねえぢゃ~~ん!!うわ~ん!あいだがっだ~」
リナが急にお姉さんに飛びついた。お姉さんも静かに涙を流している。
二人とも落ち着いたところでお姉さんがこちらにお礼を言いに来た。
「お見苦しいところを見せて申し訳ありませんでした。お礼をしたいのはやまやまなんですがあいにく手持ちがなく…」
「お礼なんていらないわよ、当たり前のことをしただけだから、もう暗いしはやくおうちに帰りなさい」
「本当に助かりました。ありがとうございます。」
「お姉ちゃん、お兄ちゃん、とっても楽しかった!バイバイ!」
リナがこちらに手を振りながら言う。
「またね!今度は迷子になるんじゃないわよ?」
こうして、なんとか一件落着するのであった。