ハートのネックレス
「ところでこれからどこに向かわれ‥向かうんだ?」
ロイはどうやら普通に話すことに慣れてないみたいだ。
「とりあえず、大通りに出て色んなお店を見て回りたいわ」
大通りに着くとたくさん人がいて道が人でうまっている。
「は、はぐれたりしたら大変だから手を繋いで欲しいわ」
「そうです‥そうだな、ハイ」
こちらに手を差し伸べるロイ。
「へ、平気な顔して‥なんか悔しい」
ロイの手はとても大きくてガッチリしてる。そしてなによりとても温かい。
「あ!あのお店見て!アクセサリーを売ってるわ!ちょっと寄っていきましょ!」
そこのお店には可愛いアクセサリーがたくさん並んでいた。
王宮内でもアクセサリーなどつけているがやはり王宮内でのアクセサリーはやれ宝石だの黄金だの少し私の好みに合わないものが多かった。
と、色々品物を見ていると一つのアクセサリーと目があった。
「わ〜かわいい〜!これ欲しいなぁ〜」
それはピンク色の石で作られたハートのような形をしたネックレスだ。
「気に入ったのなら買ったらどうだ?」
「欲しいところだけど我慢するわ」
「どうして?」
「だって王宮内でつけられないじゃない」
王宮内でこのようなものをつければ他の貴族たちになんで言われるか分かったものじゃない。
「お父様に反感を持っている貴族派に馬鹿にされるわ。『平民のアクセサリーなぞつけて貧乏くさい!』ってね」
私がバカにされるのは構わないがそのせいでお父様やお兄様にまで迷惑をかけるのは嫌
「‥なるほど、すまない主人、このネックレスを頂こう」
「ちょ、ちょっと!話聞いてたの?つけられないのに買ったって‥」
「聞いてたよ?そのうえで買ったんだ」
「ならどうして」
「主人そのネックレスは包んだりしなくていい、そのままで構わない」
すると店の主人は何か察したのかニヤリと笑い、ロイに手渡した。
ロイはそのまま受け取ったネックレスを私に着けてくれた。
「ほら、とても似合う」
ロイは爽やかな笑顔をこちらに向けながら言った。
「つける、つけないじゃないですよ。こういうのは似合う、似合わないで決めるものだと思います。それに王宮内でも着けたらいいじゃないですか。お嬢様にとてもお似合いですから馬鹿にする者なんておりませんよ」
ホントにロイはずるい。私は顔が真っ赤になっていくのを自覚する。
「それに、もし王宮内でつけるのが嫌でしたらせめて今日のお出掛けくらいだけでもつけてください。私からの『プレゼント』ということで」
「あ、あうぅ、ありがと‥。あと、敬語になってる‥」
「どうやら、敬語で話すということが癖になっているようですね」
最後に私はロイに確認した
「どう?‥かわいい?」
ロイは一度深呼吸をして言った。
「ああ、素敵だよ『リナ』」
「〜〜〜〜っ!」
幸せメーターが振り切れた。
まだまだ私とロイのデートは続く