訓練のあとは
始まりとともにロイの元に一直線に突き抜けていくクレア。そのまま鋭い剣撃を放つ。ロイはかわせるものはかわし、かわせそうにない攻撃を防いでいた。
「っく…とてもはやいな…防ぐので精一杯だ」
「そういう割にはまだしゃべれる余裕があるの…ねっ!」
カンッ!
しゃべり終えるのと同時にクレアがロイの木剣が飛ばされる。
「さあ、降参しなさい」
クレアが剣先をロイに突きつける。
「お見事、だけど…」
ロイはしゃがみクレアに足払いをかけた。
「キャア!」
うしろに倒れそうになったクレアをいつのまにかいたロイが支えそのまま抱き上げる。いわゆるお姫様抱っこの形だ
「剣技だけじゃまだまだよ?もう少し戦い方を知らないとね」
「むううっ」
クレアは顔を赤くしながら顔をそむける。
「でも、ほんとに強くなったね、正直木剣じゃなくて君が普段使う銀のレイピアだったらやられてたかもしれない」
「…嘘ばっかり。だってロイさっきの試合で攻撃できるチャンス何回もあったのにしてこなかったもん。つまりそれってあたし相手に遊んでたってことでしょ?」
「あはは…ばれてたかぁ。でも遊んでたってよりかは君がどこまで強くなったのか見てみたかったんだよ」
「それを遊んでるっていうのよ!!」
とクレアが大きい声を出しもう知らないというようにロイの腕から抜けその場を去っていった。
「あれ、俺そんなに怒るツボおしたかな…?」
「まぁ俺でもあいつの心は読めん。あとで機嫌直してやれよ?」
「うっ…それは難しい課題だな」
「それより今日はありがとな。おかげでいい訓練になったよ」
「いやこちらこそ、普段あまり体を動かしてないからいい運動になった」
「ぜひまたお願いしたい」
そう言ってふたりは握手して別れた。
「ロイつぎはどこに行くんだろう?」
私は尾行を続けることにした。
そしてロイが向かった先は普段私が書類仕事をする部屋だ。
ロイはひとつひとつ書類に目を通し、片していく。
(わたしのかわりにやってくれているんだ)
そう察することができた。その瞬間なんだかコソコソ尾行なんてしている私が恥ずかしくなった。
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「さて、これで最後ですかね」
俺は山のように積み重ねてある書類に目をやる。正直騎士団との訓練よりも疲れた。
この量を毎日こなしているなんてお嬢様には全く頭が上がらない。
そんなことを考えていると正面の扉が開いた。入ってきたのはリナだった。
決してモチベーションがなくなったわけではないです。




