私と執事
まずは閲覧ありがとうございます。
おもしろいと思ってくれるだけでも満足です。
10年前、2つの国の戦争が終戦した。
1つはファーレン王国、「自由」を国風にする国である。
もう1つはアズガルド帝国、「強さ」を国風にする国である。
戦局は序盤から中盤にかけ、アズガルド帝国が優勢であった。
誰でも結末は予想できたはずだった。
しかし大詰めというところで帝国軍に最大の悲劇が起きた。
世界で最強、いや最恐といわれるものの一角、「ドラゴン」が帝都を襲撃した。
帝国軍はいそいで帝都に戻り、ドラゴンと応戦した。
結末はドラゴンをなんとか撃退できたものの、帝国軍は約半分の犠牲者、さらに皇帝が戦死した。
そして疲弊、何より戦意が喪失しきっていたところを王国軍に攻められ、投了した。
王国は条件として帝国側に賠償金、領地の没収、そして帝国第一王子を捕虜として要求した。
帝国は条件をのみ、これにて戦争は締結した。
そして物語は10年の時を経る。
朝の心地よい光が窓を通し私に注ぎ込む。
それがなぜかくすぐったく感じて身をよじる。
するとドアの外から足音が聞こえる。
止まったと思いきや、同時にドアを叩く気持ちのいいノック音が聞こえてくる。そして
「お嬢様、起きてください。もうすぐ朝食の時間ですよ。」
彼の声を聞いてから私の1日は始まる。
「どうぞ入って構わないわ。なんなら着替えを手伝ってくれてもいいのよ?」
「冗談はおやめください、私は部屋の外で待っておりますから、いそいで準備してください。もし時間がかかりそうなら私がメイドを連れてまいります。」
「いらないわよ、つまんないの。」
ドア越しの会話を終えたあと、ベッドから出て着替え、身だしなみを整える。
「すぅーーはぁーーっ」
ドアの前に立ち1つ深呼吸をする。
もう彼とは長い付き合いになるがいまだに顔を合わせると少し緊張してしまう。
表情筋をほぐし、笑顔でドアを開け挨拶をする。
「おはよっ!ロイ!」
「おはようございます、リエスティーナ様」
「もうっ!リナって呼んでっていつも言ってるじゃん!」
「いつも言っております。立場を考えてください、あなたはこの国、ファーレン王国の第一王女で私はただの執事です。」
「む~~」
私がむくれた顔をすると彼はいつものように困った顔をしながら言う。
「どうか許してくださいリナ様」
「まぁ…許したげる」
そしていつものように彼は私の少し後ろを歩きつつ私と会話を続ける。
今日も楽しい1日が始まる。
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