荒療治
「どういうことだよアイリス剣を頑張ればいいって言ったじゃないか」
「それは屁理屈だよクロウ。剣を頑張ればいいとは言ったけど魔法の修練を全くやらなくていいて意味じゃないからね」
そんなのは分かってるただの八つ当たりだ。しかし、エリーゼ先生の午後からの修練が怖すぎてつい八つ当たりしてしまった。今は午後の魔法の修練前の昼休みだ。もう逃げられない時間がない。ここでアイリスに何を言おうと現状は好転しない。仕方ないここはやる気を少しは出すしかない。重い足取りで午後の修練へ向かった
「よく来ましたねエドワード様、逃げなかったことは褒めて上げますよ」
「エリーゼ先生...なんかキャラ変わってない?」
——鞭を幻視してしまいそうだ
いつもの優しさは感じられず今はとても高圧的な先生。いつもとのギャップで怖さが倍増する。
「さて、それではエドワード様にはこのグラビス鉱石を身体強化で持ち上げれるようになるまで屋敷に入ることは出来ません勿論ご飯も抜きです」
先生はその大人の握りこぶし二個分の大きさのグラビス鉱石を軽々と片手で持っている。この間、座学で聞いたことがある重量級の剣士が剣の素材に愛用していると言われてる鉱石だ。
(先生が片手で持てるのなら両手で少しぐらい持ち上げることなら簡単に出来るだろう)
「エドワード様が考えていることはわかりますがグラビス鉱石はこの大きさで80キロ程度ありますよ」
「はちじゅ...、それはいくらなんでもやりすぎではないですか。それに持ち上げれるようになるまで屋敷に帰れないなんてこんなの父様が許すはずがない」
意味ありげな顔でエリーゼ先生は微笑む
「問題ありませんすでに了承は得ています、エドワード様が強くなるためなら是非にと」
「.....」
(きっとエリーゼ先生は仲のいいお母様に言葉巧みに懐柔したに違いない、母様が説得されれば父様も...)
「それではここに置いておきます飢え死にするまでに戻ってくることを祈ってますよ」
屋敷へと足を向けるエリーゼ先生僕は小さくなっていくエリーゼ先生の背中を眺め呆然と立ち尽くすしかなかった
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「大丈夫かなぁ...クロウ。まさかこんなことになるなんて考えてなかったよ」
掃除も終わったのでしばしの休憩時間に屋敷を抜け出してタイムマシンのメンテナンス室で体の点検を行っているアイリス。アンドロイドはメンテナンスが欠かせない。なんていったってアンドロイドの動力は核なのだ。誤作動しようものなら大変なことになる。
「私は私のやれることやらなきゃね」
アイリスはタイムマシンに内蔵された膨大な魔力を使い作業していく。
「ごめんねクロウ嘘ついて」
そう言いアイリスは1人タイムマシンの中で涙を流すのだった。