異邦の悪魔
また先に書き忘れちった・・・しかも遅れるとかひで。
まぁ代わりにイイ感じだから期待して欲しいです。文量も軽~く収まってます。
Diffarem回です。唐突ですみません・・・
・・・・・鉄だ。
飽きるほどの鉄だ。飽きてなお続く鉄だ。鉄と、血と、悲鳴と、嘲笑。もうたくさんだ。もおおおたくさんだ。。
呆れかえるほどの戦車と、ヘリと、轟音。噎せ返るような硝煙と死臭が鼻を砕き、イヤーセットを付けてなお、聞き飽きたCDを更にCMで聞かされているようなクソ不愉快な感覚。そしていやでも目に映る、次々運ばれていく死体に、アレキサンダーは飽き飽きとしていた。
「何が異界征伐だ。なぁにが聖戦だ。こりゃ虐殺じゃねぇか。相手は中世。時代遅れのメイスと、何の役にも立たねぇ盾。重苦しい鎧に身を包んでバリスタ構えて、アホみたいに単横陣の間抜けた戦列で戦う………??
・・・ふざけんな!野郎普通に強えじゃねぇか畜生!!奴らのメイスは当たった瞬間訳のわからん波と一緒にその部位が捥ぎ取られやがるしあの盾銃弾を逸らしやがる!野郎アホみてぇに重い鎧着てんのに車どころか馬にだって乗らずに!俺たちが銃口を向けるより速く動きやがる・・・連中の戦術は単横陣どころかあの忌々しい呪いの力の個性を活かしてこっち以上に狡猾な…「いい加減にしろ少尉!それ以上は敗北主義とみなすぞ!」
「勝てるんですか!?あの悪魔どもに!?どうやって???方法があるなら教えてくださいよ大尉!!
でなきゃこんな穴倉でネズミみてぇに隠れてねぇですよ!それにあんた今頃は、ハリウッド女優みてえなここの美女を隊総出で犯s」・・・彼が言葉を終える前に、イェルゲニコフは彼の頭、そのすぐ脇にナイフを放った。それは彼のヘッドセットに突き刺さり、同時にそれが耳から勢いよく外れる。
「・・・今のは最終警告だ、少尉。お前のことは気に入ってるし、それは他の皆も同じだ。はっきり言ってこの銃をお前に向けたくはないんだ・・・アレックス、そして皆もきっと似たような気持ちだろう。ここには督戦(*)のクソ共はいない。だから・・・もう全て明かしてやる。」
そう。彼らは負けていたのだ。味方に騙されて。轟音、硝煙、血、死体。全てこちらのものだった。
元居た場所で狙撃を任され、チームのムードを保ちつつも、安置からひたすらテロリストと腹の立つ同僚を撃ち抜き、潤沢な装備で負けを知らぬまま成り上がる日々。果てに戦争をシューティングゲームの延長としてしか見れていなかったアレキサンダーは、否ここにいる全員が、ここまでの劣勢を体験して完全に恐慌していたのだ。
*敗色濃厚な戦争において、士気維持のため敗北主義的発言、いわゆる弱音吐きをこっそり撃ち殺す係。
他にも士気向上を旨とする敵隊長を暗殺し、その演説を中断したりもする。
「・・・お前らには奴らとの交戦経験があるって話したな…ありゃ嘘なんだ。ホントは俺も上から聞かされただけだ。これを話しゃもれなく殺すっつう脅し付きでな。手術で声帯に検閲機と爆弾を付けたとかも抜かしててたが、俺が生きてんのを見るにそりゃブラフだったらしいな。」
「そう、俺も今頃は、本当に褐色エルフを全員で取り囲んで肉宴と洒落込めると思ってたんだ。
そうさ!!俺だって浮かれてたさ!!!出征中は口座に給料が自動入金されっから毎週通帳を見るのが楽しみで仕方なかった!ここにはあの鬼嫁はいねぇ!俺がどんだけ慰安婦誑し込もうが誰も気にしねぇ!そういう場所って聞いたろお前らも!!クソが・・・クソがクソがクソがこのクソッタレが!!!」
全部・・・何もかも娘の為だった!!全部、全部だ!!学費、食費、自立費!すべて賄うにゃまるで足りねぇ!だからこんな"おいしい仕事"に食いついてやったんだ!口座だって俺が彼女だけにこっそり教えた!!あのアマすぐくだらねぇバッグなんぞに使いやがるからなぁ!!!
・・・こうなったら生きるしかねえだろクソッタレ!何が何でもこの地獄から抜け出して、何が何でもマリアのもとに帰ってやる!!お前らも同じだろ!?みんな理由があったはずだ!別に子供の為なんて高尚な目的じゃねぇことだって知ってる!!だがそれが何だってんだ!?みんな帰る目的がある、帰る理由がある!俺たちゃ今までその目的の為にここまで来たんだろ?だったらやろうじゃねぇか!!だったら死んでどうする!?
ここで腹括らずに何が夢だ!何が目的だ!!俺は行くぞ・・・ついてこれるか!!」
その言葉とともに、洞窟で隊員の雄叫びが鳴り響く。ある者は光を、ある者は腕を、ある者は心を失った。しかし魂は、まだ燃え尽きていなかったのだ。そうして短蝋の灯に再び火をつけた彼らはそれぞれの夢を胸に、暗き道へゆっくりと、しかし確実な決意を秘めて進みだした。
しかし・・・・・・
・・・それは、どう聞き得ても人の、いやこの世の生物のものではなかった。
??「GAFAUGYIALUGAAYOUAAAAHAHAURE!!!!!!」
甲高く、いや低く?重く、激しく、苦しく、しかし確実に大きく、この世のものでないと断言できる"何か"の絶叫が、そして間を置かず彼らの目の前に!!!その声の主が姿を現していた!!
「隊長・・・ウソですよね・・・こんなのウソだ!ウソだ!ウソだ嘘だウソダ!!!
隊長ォォォオ!!!!頼むから覚ましてくれ!!俺を夢から!!!こんなもの現実なわけがねぇ!!!!!!
「そうだ・・・こりゃ夢だ!昨日前祝で飲みすぎたからきっとまだ夢の中だ!!!そうだ、そうだ、ソウサ!!なら全部ウソなんだな!アハハハハハハハハハ!!」
「サマシテサマシテサマシテサマシテサマシテサマシテサマシテサマシテサマシテサマシテサマシテサマシテサマシテサマシテサマシテサマテサメテサメテサメテサメテサメテサメロサメロサメロアアアアアアア!!!!!!」
それは、この世の法則を明らかに冒涜していた。
夜も、影も、沼も闇も色も、全てを取り込んだか如き禍々しい黒泥色の溶解した塊、その各所に小さな“手足”が無造作に羅列し、生え伸びる。そして目玉が、汚泥に流れ出る糞と蠅の卵の様に無数に固まり、涙の様に、否涙というにはあまりに汚れ切ったその肉塊は、溢れ出て床にまで転がり落ちている。
そして足元には白濁した液体が垂れ落ち、床を汚している。それは烏賊のごとく生臭く匂い、命の残り香など一切感じられない“死”そのものを視覚と直感で理解させるほどに禍々しい・・・その液体には、ごく商の、しかし目に見えるオタマジャクシが無数に蠢き、そしてそれらすべてが顔を以て苦悩を示していたのだ。下に?上に?横に?やはり下に?乱雑に配置された口はそれぞれ黄色く濁った涎をたらし、噛むことを真っ向から否定した歯並びはその不気味さを一層引き立たせる。そしてその口の中には・・・どう見ても人の体が、極小サイズに縮尺されたしかし無数の死体が…?否生きている!!彼らは生きたまま噛み砕かれ、全てバラバラになって溢れ出ているのだ。そしてそれは尚も噛み砕かれる。擂り潰され、挽肉と化した桃紅色の泥も見受けられ、涎と共にあふれる。そして同時に、先の悲鳴はこの口に溜まる人々のものであるのがわかった。そうこれは一切喋ってないのだ。挽肉もなお叫び、体が滅びてなお魂を縛られる生き地獄の苦しみをただ叫ぶことしかできない。そして彼ら隊員は、すぐにその仲間となることを直感した否そう告げたのだ。
彼らの脳に彼らの体に彼らの心に彼らの全てに…それは囁いたそして見えた。
「・・・マリア?」
「ナゼダ!!!何故マリアがここにイルンダ!!!こんなのウソダ絶対ウソダウソダウソダウソダウソダウソヲツクナ!!!
マリア・・・家に居ろと言ったよね…?お父さん心配だから君を連れてこなかったのにコレジャイミナイヨネ?イヤだ・・・ウソd「オトォォォオオオオオオササァァァァァァアアアアンンンン!!!!!」
イヤダ・・・イヤダイヤダイヤダダメダダメダアアアアアア!!!マリアマリアマリアマリアマリアアアアアアアアアア!!!」
それはまさに阿鼻叫喚。誰もが狂い、誰もが壊れ誰もが喚き誰もが嘆き誰もが祈りさえ捨てた。ただ待つ死を迎えるために…待つ他なかった。そう彼らの口元にはまだ新しく、彼らの抱くそれぞれの想い人がいたのだ。ある者は初恋の人ある者は愛妻ある者は娘そしてある者は・・・自分自身だ。
地獄の狂餐に載せられた羊は、まだ皿の上にある・・・・・・
「違う!!!!!希望を捨てるな虫ケラ共!!!!」
余裕で書き切り!!楽しすぎワロタww3380字、ご精読ありがとう!
やっぱ怪文楽しいわぁwww今度クトOルフのリプレイでも文字に起こそっかなぁ・・・そんくらい楽しくて仕方なかったです。ただこの後展開上こんな楽しい文章当分書けないんですよねぇ・・・残念。
Q救いは!?救いはナインデスカ!?
Aあります。最後の娘はその伏線です。
次の投稿は・・・すみませんちょっと未定かな。ハロウィンには間に合うと思うですハイ。
・・・全然間に合ってないじゃないですかやだー