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こわいもの しらず

作者: 高野 真

 ぼくには、こわいものがない。


 小さいころのぼくは、泣き虫だった。こわいものが、たくさんあったから。

 お化けやゆうれいは、こわい。テレビ番組のお化けやゆうれいは血まみれのかおでいきなり出てくるからだ。

 おこったお母さんも、こわい。いつもはにこにこわらっているのに、おこるとまっ赤なかおをして大声を出すからだ。

 となりの家にいるタロウ(犬だ)も、こわい。ぼくをみるとかならずほえるし、手をだすとがぶりとかむからだ。


 おめ、まだ泣いちゃんず。男の子がそった泣ぎ虫だばまねじゃ(だめだ)。

 なつ休みに青森のおじいちゃんの家に行ったとき、そう言っておまじないをおしえてくれた。


 まゆ毛につばッコつけての、手で三角さつぐっでその間から見るんず。せばおっがねえ(おっかない)モノの正体さ見える。

 正体さわがっでまれば(わかってしまえば)、何もおっがねぐねびょん(こわくないだろう)。


 ぼくはためしてみた。


 テレビに出てくるお化けは、つくりものだった。血まみれのおけしょうのその下は、きれいなおねえさんだった。

 かくしごとをするとおこるお母さんは、たくさんへそくりをしていた。ひきだしの右から3ばん目、というと、ぼくにおこづかいをくれた。

 タロウがいつもほえるのは、おなかがすいているからだった。パンをはんぶんあげたら、ぼくの子分になった。

 ぼくをいじめる友だちは、犬がとってもこわかった。タロウに「行け!」といったら、ないてころんでおしっこをもらした。

 きょうからおまえはシッコマンだ!

 ぼくがシッコマンにトイレそうじをやらせていることをちゅういした先生は、おくさんにばかり家のしごとをやらせる人だった。

 先生もそうじすればいいじゃないですか、そしたらおくさんもおうちを出ていかなかったはずです。

 そうしてきすると、つぎの日から学校にこなくなった。


 もうぼくにはこわいものがない。


 まじないばししてらぁど(ばかりしていると)、おじいちゃんは何になるといったのだろう。

 おじいちゃんはむかし、ナイショでわるいことをたくさんしたね、というとだまってしまったので、この先はわからない。


 かがみのまえに立ってみた。ぼくはまえからこんなかおだったろうか。いつものおまじないをかがみにむかってやってみた。

 そこにうつっていたのは、


「まじないばししてらぁど、

 もっこになってまるど!(おばけになってしまうぞ)」



応募資格

・年齢、プロ・アマ不問。

・実話・創作を問わず広義の怪談(怖い話、不思議な話、奇妙な話など)に属するオリジナルの物語を募集します。

・未発表のものに限ります。

・他の公募との二重応募は選考対象外となります。


内容について

・文字数は800~1000文字程度

・お1人様何作品でも応募可

・読者対象は小学校低学年(1~2年)から

・テーマ、舞台、時代など設定は自由


(平成30年6月22日脱稿)

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