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夜が昇り行く太陽によって姿を変え、周囲がよく見えるようになった頃。つい先程王の配下になった八つ目の国の入口に辿り着いた。
燻る煙があちこちから昇り、そこには確かに人々の生活があった証が残されていた。
何処か場所はあるか……。
周囲を見回すも、目に映るのは、崩れた瓦礫と沢山の道具。割れ散る硝子を避けながら、唯一屋根を残した建物の前で、馬を止めた。
「大丈夫、ですね」
しっかりと服を握り、小さな寝息を立てる少女に安堵しつつ、足元に注意しながら、建物の中へ足を踏み入れた。
外の景色とは真逆に、中はとても綺麗に整頓されつい今まで人がいたかの様に、布団が捲られていた。
周囲を警戒しながらも、そっと少女を布団へ寝かせ、青年も傍に腰掛用とした時、確かに視界で何かが光を反射した。
「誰だっ!!」
「それはこちらのセリフだ」
奥の部屋へ繋がる扉があっただろう場所、その先からエプロンを着けた女性が、足元に男の子を隠し、その姿には不自然過ぎる刀を青年へ向ける。
「ここは私地の家だ、何をしている」
「それはーー」
「あ!? 女の子がいる!!」
まるで緊張感の無い男の子は、小さな指を少女へ向け、女性の服を引く。青年から視線を外した女性は、小さく息を吐いて見せた。