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Ingen historia av namne<<名前のない物語>>vol.2  作者: リナ
太古の森編
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Instruktion av kungen<<王命>>

Instruktion(インスクーション) av(ァブ) kungen(クーギャン)



 誰かが自分を見ているそう確信したキライは身構えながらも気配のする方を見る。

「さて、そこの方は僕に用ですか?」

「おや、……気がついていましたか。改めまして、私だ……。ロープだ、少年」

 物陰からロープが姿を表す。


「魔力をほとんど使い果たしたか……無茶をするもんだな。うらやましいよ。まったく。」

 先ほど戦闘を行っていたロープとは異なり、少し老けている。

「ああ、安心してくれ、もう戦う意思はない。敬意を込めて顔だけでも見せておきたかっただけさ。」

「……。」

 キライは警戒を解くと頭を下げる。


「おや?なぜ頭をさげるんだい、少年。」

「僕一人の力では完全に負けです。反則したも同然ですから。」


「おかしなことを言うな、少年。そんなことを言えば最初から私は隠れていたのだ。そうだろ?」

「でも自身の力です。」

「少年は納得いかないのか。……では、いつでも俺にかかってこい。全力で叩き潰してやる。今回はそういうことにしておけ。だが、もう命のやり取りは無しだ。」

 困った表情のロープと膝をつき礼を尽くすキライ。


「……有難うございます。」

「さて、俺からは頼み事が一つある。……聞いてくれるか、少年?それなりに礼はしよう。」



「礼……ですか?不要ですが。」

「そういうな。今すぐ魔力を回復してやろう。それで戦いに復帰できるのだろう?」

「本当ですか?礼なんて不要でしたが、今の僕に出来ることであれば喜んで。」

「……では、」


 ローブは薬瓶をだすと一滴手に取り口に含む。

「毒ではない。……。苦いなんてものじゃないがな。」

 顔をしかめながらキライに笑って見せる。


「疑っていませんよ。こんな死にぞこない、放置していても変わらないですからね。」


 口に含むとあまりの苦みに吐き気を催すが我慢して飲み干す。

 驚きましたね。……魔力が簡単に回復するものなわけがないと思いますが。


 この薬で回復するなんて。

 とりあえず、この結界から抜け出しますか。シュガーさんは無事みたいですしね。






 エレ、エダ、コードの三人は王宮に潜入していた。

「ずいぶんと簡単に……、潜入できたな。だが様子がおかしすぎるな。」

「……。」


 無言で全身を震わせる小さく縮こまるエダ。

「エダ?」

「二人はここで待っててくれ。コード、姉さんを頼む。」

「エレ?なんのつもりだ?」

「ここから先は、普通のエルフには耐えられない……。お前も感づいているだろ?気合でなんとかしているところ、化物だなお前は。」


「お前ならいけるのか?」

「なに、俺は純粋なエルフじゃないからな。」

「そういうものなのか?」

「エレ……!」

「大丈夫だ。任せろ。協力な助っ人が少なくとも二人は来るからな。あいつらなら来れるさ。」

「二人って僕たちのこと!」「二人ってボク達のこと?」

「……わあっ!?」


「コード、驚きすぎじゃないか?……俺も驚きたけどな。」

「んー!」「んー?」

 二人揃って声を揃えて首をかしげる悪魔達。

 少し遅れて姿を表す白い少女。

「…私とキライのこと…?…」

「そうだが……なんで向こうからやってきた?」

 ヴィットはエレ達に先程までカラムに捕まっていたことを打ち明ける。

「ヴィットさんがそんなに簡単に捕まるなんて……。」

「…油断はなかった…二人が来なかったら…まだ…捕まってたし…」


「なるほどね。ヴィットさんも二人も恐怖感とかはあるかい?エルフ達には厳しいみたいで、皆さんに手を借りなきゃいけないのが現状です。」

「…クラップスのが…怖かったからね…」

「ないよ!」「ないよ?」


「クラップス!?」

 驚いて声を上げるエルフ達。その声に驚いてしまうヴィット。目を点にして彼らの反応をみる。

「あんなのと対峙してたのか!?」

(対峙どころか、返り討ちにしたのはこの子だよ)

 誇らしげにリームシュークがヴィットの肩から威張っている。


「……ありえない。伝説の吸血姫だぞ……。」

 コードとエレは目を丸くしてヴィットをみる。

「…いや…私は…何も…」


 注目を集めるのはあまり好きではない。しかも全部が全部自分の力ではないと認識している。

「ま、それはそこまでにして、ヴィットさん。……勝ち目はあるかい?」

「…あるよ…気をつけなきゃいけないのは…魔法の無効化…あとは…カラムは…カラムじゃない…かもしれない…」

「……?……どう言う?よくわからないですが、なんとなく厄介ですね。」


 檻に囚われた瞬間魔法がうまく使えなくなり、身体能力を低下させられた。ヴィットとしては自身の速度を生かして戦うため、相性は最悪だ。ただ、それは一対一を基盤として考えた時だ。多数でかかればそこまで脅威ではない。


「そうですね。じゃあ行きますか。コードとエレにはここで援軍を防いもらう。キライが来た時は説明して判断は彼に任せてくれ。それじゃ、いきますか!」

 一度その場に止まるエレ。

「そうだ、未来の王よ、我らに命を。」




「……なんだよ、やるとは……。……。」




 はぁ……。



「では、命じる。逆賊カラムを捕らえよ。生死は問わない。頼んだぞ。先王の息子、英雄エレよ。」

 慣れていないコードは少し恥ずかしげを表情に浮かべながらも命じる。

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