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Ingen historia av namne<<名前のない物語>>vol.2  作者: リナ
太古の森編
7/27

rage<<激怒>>

rage(レイジ)



「ったく!なんだってんた!あのライカンスロープは、こっちの攻撃が一切当たらんぞ!」

「まあ、時間の問題だろ?反撃してこねーし。まーったく臆病な奴だ。」

「だがこっちの魔力も無限じゃないぞ?エルフの弓も当たらないしよ?」

 ダークエルフは代わる代わる魔法をシュガーに向けて放つ。彼らとしては的当てをしているようだが、その的にはことごとく回避されている。


 シュガーはというと虚取りながら、焦りながら、慌てながらダークエルフからの魔法という魔法を矢という矢をすべて回避する。ダークエルフは一人、また一人と増え、現在は六人からの魔法を回避し続ける。

「ま、まってまって!は、話し合いで解決しようよ!」


 必死にダークエルフからの魔法を回避するシュガー。すでに戦闘開始から半刻は立つだろう。その時間すべての魔法を回避しているが体力にも限界がきているのか肩で息をしている。


「いい加減に……限界だろ!!」

 一人のダークエルフが攻撃を仕掛けてこないのをいい事に杖で殴りかかる。……彼自身の魔力も尽きて物理的に攻撃を仕掛けるしかなかったのだ。

「えっ……?やめっ!!」


 シュガーの頭部に杖は振り下ろされる。シュガーはそのダークエルフを思いっきり突き飛ばす。

 そこに木で出来た槍が降る。すべての槍を回避できず降り注ぐ槍に体を貫かれる。


「お、お前ら……、ふ、ふ、巫山戯るな!!」

 わなわなとふるえながら、シュガーの怒号が響く。


「仲間なんだろ!」

「はっ!愚かな行動をとったそいつが悪い!だが、お手柄だな。流石に傷を負っては先ほどみたいに避けることはできないだろ?」

 突き飛ばされたダークエルフは頭を打ったのか気を失っている。


「……だ、大丈夫だ。もう……お前らに。え、遠慮は無い。……か、覚悟しろ」

「声が震えてるが?残念だが傷負いの犬に遅れを取る俺らじゃない。」


 激しい……怒号混じりの雄叫びが街に響き渡る。

「……なんなんだよ!あいつは!自身がやられた事に起こるんじゃないのかよ!?」

「な、仲間を大切にしない奴……。そ、それは許せない!」


 シュガーのなんらかの琴線に触れたのか、魔法を放ったダークエルフが殴打される。それを見た周囲のダークエルフは一斉に魔法を放った。炎、氷、木、光それぞれの矢がシュガーを襲うがシュガーは回避をしようとせず全てを槍で祓い退ける。


「なっ……!?さっきまでとっ!?」

「お、お前達も同じですか?……ひ、引いてください。ぼ、暴力は好きじゃない!」

 別人のような目付きでダークエルフを睨みつけるシュガー。それに恐怖を感じ飛び退くダークエルフ達。



 その一瞬の隙を狙ってエルフ達が一斉にダークエルフを取り押さえる。


「えっ……!?な、なんですか?仲間じゃ……!?」

「さっきの人間を信じてよかった。助かったよライカンスロープの戦士。別の種族に助けられるなんて思ってもいなかった。」

 一人のエルフがシュガーの前で頭を下げる。


「これからエルフは決起する。あんたはどうする?」

「お、俺は……。」

「なんだいなんだい!アンタ、臆病者だね!もっと自信を持ちな!キライが心配するわけだ!最後だけじゃないの!いつアタシが手を出さなきゃダメになるか待ち構えちゃったじゃない!アンタが死んだらキライがなんていうかわかったもんじゃないからね!」

「に、人形が……し、しゃべっ……。」

 アナが急にシュガーの頭に乗り騒がしく喋ると、彼は驚いてしまったのか気を失ってしまう。


「ほんと気の小さいライカンスロープだこと!エルフを見習って欲しいところだね!この動じない雰囲気!これくらいにならなきゃうまく世渡りできないよ!聞いてるの?ほら、聞いているのかい!?」


 無理な話だ。シュガーは気を失っているのだから。

 加えてエルフは動じていないわけではなく、困惑しているだけ。

 単に目の前にいる人形が何者なのか測りきれずにいる。

「え……っと、」

「ああ!エルフ達、この子を安全なとこにぶち込んでもらっていいかい!?この子を心配している人間がいる。そうだ。さっきまでコイツと行動してた変な武器を持ってたガキだよ!アタシ?アタシは人形だよ!それ以外何に見えるんだい?人間に見える?エルフに見える?それともダークエルフかい?」


「いや、人形なのはわかるが敵か味方か……。」

「敵ならコイツを安全なとこにとか言うと思うかい?少し考えればわかるんじゃない?今この国がどうなろうとしてるか理解しているかい?どうする?私を敵としてみるかい?いいんだよ?それでも、あははは!!」


「……。いやそうだな。怪しいのは怪しいが。このライカンスロープの仲間なんだろう。わかった。このライカンスロープは安全なところに退避させる。それで……!?」


 轟音とともに離れたところで巨大な竜巻が発生する。

「なんなんだ!?太古の森で竜巻なんて!?」

「おやおやおや!あの子はホントやんちゃだね!まったくアタシが張った結界を簡単に破るのかい?1日2日しか経ってないってのに、天才っているもんだね!困ったもんだ!このペースなら人にして悪魔やワタシ達をも超えるんじゃないかい?まあいいや!アタシは向こう行くけどじゃ、任せたからね!」



 人形は騒がしくも走り去る。

「……。なんだったんだ。あの人形。」

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