Djävulens förmåga<<悪魔の実力>>
―Djävulens förmåga―
「……。」
(どうする?)
「……。」
(ね?)
「…無理矢理…突破する…」
(それは反対するよ。なんの毒かわかんないし。)
「……。」
「さて、話し合いしてるところすまないが、外界の人間風情が何用かな?俺としては知っておきたいところだが?魔法も使えず、閉じ込められたお前らには先はないぞ?」
ヴィットはぶすっとしながら王座に腰掛けるそれに話しかける。
「…カラム…だっけ…?…」
「おいおい、"様"くらいつけろ?お前の前にいるのはダークエルフの王、カラムだ。」
「…で…カラム…あんたの目的は…?…」
「おいおい、下等生物が……。こっちの質問には答えないくせにこちらには問うのか?誰かが助けてくれると思っているのか?ここまでは誰もたどり着けないさ。……だが度胸は気に入った。命乞いをするなら奴隷としておいてやってもいい。」
下衆な笑みを浮かべるカラム。それに対してヴィットは首を傾げカラムを無視してシューと作戦を考える。
「…ね…魔力の解放は…?…」
(ダメだね。でしたとしてこの檻に触れたら命を落としかねないよ?)
「…困ったね…」
「そだね!こまったね!」「そだね?こまったね?」
「何者だ?貴様ら……。」
「タルウィだよ!」「ザリチェだよ?」
二人の悪魔は満面の笑みを浮かべて優雅に、丁寧に、お辞儀をして自己紹介する。
「どうやってここまで来た……。」
カラムは警戒のレベルをあげる。手には杖を持ち、その周囲には多数の魔法陣が展開される。
「では、何の用か聞こうか?」
「だしてあげよっか!」「だしてあげよっか?」
二人を交互にみてこの二人なら何でもできるのかもしれないと思い。
「…できるの…?…お願い…」
「わかったよ!」「わかったよ?」
二人の悪魔はカラムを無視してヴィットと話を続ける。
「餓鬼どもが……。」
杖で地面を叩くとタルウィとザリチェの周りにヴィット同様に蔦の檻が現れる。
「何しに来たか教えるつもりはないなら……そこで静かにしてろ。」
首を傾げるタルウィとザリチェ。ザリチェが檻をそのまま掴み力任せにこじ空ける。
「馬鹿な餓鬼が。その檻の棘は猛毒だ。助けて欲しければ命乞いでもしてみるか?……解毒方なんぞや知らんがな?」
タルウィはクスクスと笑っている。
「ふん、何が面白い。」
「ザリチェ、ダナエ様には黙っててあげる!」「タルウィ、ダナエ様には黙っててくれる?」
蔦の檻越しに、悪魔は見つめ合って笑う。
「…何するの…?…」
「みてて!」「みてて?」
ヴィットはそう言われて首を傾げながらも頷く。
「こんなのザリチェには効かないよ!」「こんなのザリチェには効かないよ?」
ザリチェはそう言うと彼女を囲っていた檻を手で掴み口に入れる。
「……な、」
「毒って言うのはこう言うのを言うんだよ。」
悪魔が笑って息を思いっきり吸い込んで吐き出す。室内は甘い香りに包まれる。
「馬鹿な。……味方も巻き込まれてるではないか!」
カラムが片膝をついて苦痛に顔を歪める。
「何言ってるの?……神獣だけに効く毒だよ?」
「…神獣…」
ヴィットはカラムを見据える。
「違うよ!ヴィットの探してるのじゃない!」
「ザリチェがやっちゃうと怒られちゃうからさ?」
深い深呼吸を悪魔はすると室内を満たしていた甘い香りはなくなる。
「ヴィット、待たせてごめんね?」
そう言うとザリチェがヴィットとタルウィを囲っていた檻を抉じ開けて外に出して檻を食べ始める。
「…ありがと…」
「一旦引こうか!」「一旦引こうか?」
苦痛に顔を歪めながらカラムは立ち上がる。視界も歪んでいるのだろう。目頭を押さえながら喚き散らす。
「逃すと思うか?……お前ら人間ではないな。」
「悪魔だよ!」「悪魔だよ?」
「悪魔……か。まぁ、いい。逃げられると思うな。」
「残念だね!」「残念だね?」
カラムの視界の歪みがなくなると室内には彼しか残っていなかった。
「……ふざけやがって!!」
怒号が室内に響き渡る。
彼女等は走りながら
「ヴィット、お願いがあるの!」「ヴィット、お願いがあるの?」
「…なに…?…私にできること…?…」
「ダナエ様にさっきのは見なかったことにして欲しいの!」
「ダナエ様にさっきのは見なかったことにして欲しいの?」
不思議に思いながらも頷く彼女。代わりにと言ってカラムのことを二人の悪魔に聴きだす。
「あれはね!」「あれはね?」