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Ingen historia av namne<<名前のない物語>>vol.2  作者: リナ
太古の森編
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avbrottstid<<休憩時間>>

avbrottstid(オーヴロステド)


 アナが倒れているキライに駆け寄り耳元で珍しく静かに話しかける。

「キライ、さっさと起きなさい。」

「……あ、はは。アナさん助かりました。まだ僕だけだとダメですね。」


 ため息をつきながらも少し誇らしげに彼女は。

「そうさね!正体を見破ったまでを及第点ではあったよ!カラクリには気がついたんだろ?でもアンタ、あそこの場面で魔力をつぎ込みすぎだよ!全部はやりすぎ。止めさせなかった時の事を考えなきゃダメさね!後先考えなさいよ?人間なんだろ?人間なんだから逃げ道くらい確保なさい。……ま、追い込むのはよかったがね。こんどからは頭を使うんだよ?わかった?わかったら返事!聞やしないね!」

 ポカンとした表情をキライが浮かべるが……にこりと微笑む。

「考えていましたよ。後ろにはアナさんがいた。それだけです。ほら、僕はちゃんと人間ですよ。」

「ぷっ……あははははは!嬉しい事言ってくれるじゃないか!アンタ本当最高だよ。アタシはあんたが気に入ったよ。」



「あんたは一旦リタイヤ!いいね!」

「……嫌です。」

 いつも饒舌な彼女が短く言い放つがそれに対してキライはそっぽを向き即答する。


「……ん?なんて言った?アンタ、冗談言える元気はあるんだね!なら安心だ。それともホンキかい?ホンキと言ったらどうなるかわかるよね?ね?ね!?」

 誤魔化すために何とかしようとアナを褒めてみるキライ。


「……そうすごまないでください。可愛い顔が台無しです。」

「茶化さない!アンタ、ホンキでいってるね?でもダメさね!アンタはまだ死んじゃいけない。殺させるわけにはいけない!アタシがダナエに怒られちゃうじゃない!あの子が怒ったら世界の半分は魔界と化すよ?いやいや脅しじゃなくさ!」


 少し想像するが……彼女であればできる実力を持つだろうとぞっとしながらもキライは言葉を続ける。

「それは全力で回避しなければいけません。でも申し訳ないですが……、前線に立つわけじゃありませんから、許してください。シュガーさんが心配なだけです。」

「シュガー?んー……。シュガー……。シュガー……。あ、ライカンスロープの事かい?来る途中に見かけたけど、弓矢と魔法と踊る狼男を来るまでに見たよ!あの子はあの子で面白いさね!あの子、これから化けるよ。」

「ええ。そうです。……踊る?」


 一瞬だが、ここまで来るまでライカンスロープの戦闘は見てきた。それの内容をキライに伝える。

「踊ってたよ!回避能力は素晴らしいねあの子!魔法の軌道や範囲を直感で認識しているのかダークエルフの魔法なんて全部よけてるんだから!……あの子がやってるのは時間稼ぎなのかい?攻撃すれば終わるのにあの子から攻撃をする子ではなかったよ!」



「今はやめておきなさい。今言ってもアンタが邪魔になるだけだよ!それほどアンタは消費しているんだよ!いう事を聞きなさい!黙って見てるならアタシがこれから行って危なくなったら手を出してやってもいい。悪くないと思うけど?どうする?さ、早く答えなさい。さぁ、さぁ!」


 アナの忠告をゴメンと謝って聞き流すキライ。

 どうやら魔力が底をついているためか、立ち上がるのが精一杯のようで、自らの武器で体を支えている。


 そんなキライをみてアナは溜息をつき彼の支えている武器を払う。


 ……バランスを崩し彼は転倒してしまう。

「隅っこで大人しくしてな!武器を杖代わりにしなきゃ立てないアンタが言っても無駄だって言ってんのよ!そんなのあの子に見られたら、失望されちゃうよ?いいのかい?そんなの駄目だよね?わかるよね?」


 彼女の文句は止まらず隅っこへ引っ張っていく。

「ここから動くんじゃないよ!って言っても動くだろうからね!結界に閉じ込めておくからね!」

 ブツブツと文句を言ってアナはキライを結界に閉じ込める。


「待ってください!僕は!」

「待たないして聞いてあげない。自力で結界から出れるように回復してから来なさい。アタシがあの狼男のとこに入ってあげる。視界はアタシのを見れるようしておくからね!それで納得しな!嫌ならさっさと回復させな!アンタならできるさね!」


 アナがそう一方的に捲したて、ライカンスロープの元へ向かう。


「……僕はまだ何もできないのか。」

 嗚咽とともに地面を殴るキライ。結界を破ればと言われ出てみようとするが、見えない壁に阻まれ出ることはかなわなかった。


 アナさんの言うとおりですか。……仕方ありません。一休みするしかないみたいですね。


 ふてくされながらも結界の中で横になる。回復すれば出れるんですよね。


 まったく……。


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