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Ingen historia av namne<<名前のない物語>>vol.2  作者: リナ
幕間 出発前
17/27

bestämning<<決意>>

best(ベスタ)ämning(ミーング)


 とはいえ、他国の王と謁見するのは初めてだ。……ウヴァという王女はいたが王宮等であったわけではない。


 正式にと言うのは初めてだ。そんな礼儀作法を知らないキライは緊張していた。


 そんな中でもキライは王宮へシュガーを連れて行き、そつなく挨拶を済まし本題へ移る。

 シュガーの事をおねがいすると、コードも快く引き受けてくれた。


 その場にはいやいやそうながらエレも居た。

「えっと、エレさんの事はウヴァさんにどう伝えればいいですか?」

「……すぐに帰ると伝えてくれ。少々こちらでやらなければいけないことができた。」

 同時に新王コードを睨みつける。


 エルフの老人からは不敬だと声が上がるがエレは一切気にしていない。

「まぁ、軍備を整えるまで……である。そこまでエレを拘束するつもりはない。……おそらくシュガーが森を出る時までには外へ解放するつもりである。」

 言葉を一つ一つ選びながらコードはしゃべる。

 ……言葉遣いを間違えそうになるたびにエレとエダに睨まれとても居心地が悪そうだ。



「わかりました。そのようにウヴァ様にお伝えします。」

 王の前と認識したのかキライは膝を付き、コードに挨拶をする。……肩にはアナを乗せたまま。


 エルフの老人はそれを訝しげに眺める。

「あれが文献にある、リビングドール。」

「呪いの人形……。」

「かつて、エルフを滅ぼしかけた……。」

 アナに関して様々な事を口にするが……。


「……エルフの老人たちよ、どなたに対してそのような口をきいている。彼らはエルフの国を救ってくれた英雄だぞ?」

 コード、エレ、エダ三者が思わず睨みつけると老人達は口を紡ぐ。


「おやまあ、アタシはなんもなんも気にしないさ。慣れてるからね!それにアタシは何もしてない。コイツラは頑張ってたがね!むしろ、そこのエルフの反応は普通さ!逸脱してるのはアンタラなんだよ?昔話は聞いたことあるだろ?太古の森を襲った災厄をさね!」


 不敬な!……憤る声が各所から漏れる。


「いやいや、不敬で結構。あの子はエルフの王であって、アタシの主人じゃない。悪いけど、アタシは敬う相手を選ぶよ!どうしてもと言うなら力でねじ伏せるかい?アタマをはねるかい?アタシの事を一切知らないわけじゃないんだろ?あははははは!やるならやりなさいよ!出来るならね!」

 声を漏らしたエルフの目の前までいき、彼らの前でクルクルと回りながらケタケタと笑う。


「アナさん!……まったく、とんだ無礼を。」

 キライはアナを再度肩に乗せ老人に不機嫌そうにも頭をさげる。キライは別に一人ダークエルフを見つけ頭を下げる。


「おや!アンタ、あん時の!老人会に加わったのかい?ふーん?あんたの考えかい?ダークエルフの事を考えてのことか。そうかそうか。正しい判断だ。老人会なんて幹部の意見は一意だけだとダメだからね。複数の方向からいろんな風に見なきゃ退廃的思想で終わっちまうしね!アンタ、いろいろ大変だろうけど頑張りなよ!ここは戦場とは別の意味でここは大変さね。」


 ローブはアナに敬意を示し席から一度立ち、膝をつく。


「では、僕達はこれで。……ローブさん。鍛えてからまた来ます。その時は再度手合わせをお願いします。」

「ああ、少年。楽しみにしている。あと、貴女がかの有名な……。手合わせありがとうございました。自分がどれだけ未熟か、思い知りました。何れ、見返してみせます。」

「あははははは!いいね!いいね!とてもとても気に入ったよ!アンタ!あんな目に合わせられてそんなことがいえるのかい!アタシのかけた呪いは、ちゃんと解けたみたいだね!ふふふ、あんたにゃ才能がある。そこら辺の老ぼれ共とは違うね。いつでもアタシのところに来なさいな!アタシも弟子を取ってやる。……ん?あ、コイツ?コイツらはアタシの弟子じゃないさ!もっと大物さ!この世の理から逸脱しちまったお姫様のさ!」

「なるほど……。老人会に少し余裕ができたらお邪魔させていただきます。是非ともそちらのお姫様にも挨拶をせねばいけません。……ということだ少年。君がここを訪れる前にどうやらこちらから出向くことになりそうだ。またの機会にな。」


 キライは気を引き締め頭をさげる。そして、森に残ると言った期待している狼男の前に立つ。

「シュガーさん!あなたは……少し無理をしてください!大丈夫です。あなたならできます。」

 キライはシュガーを鼓舞すると彼のフェンリルの紋章をぐっと握った拳で押す。


 そして静かに頭を下げて退室する。


 シュガーは決意する。彼に胸を張れる戦士になろう。人の身にしてフェンリルと言う、神獣に認められた彼に。

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