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Ingen historia av namne<<名前のない物語>>vol.2  作者: リナ
幕間 出発前
16/27

Festival och publiken<<祝祭と謁見>>

Festival(フェスティバル) och(ォフ) publiken(プリッケン)


 もともとエルフは酒好きではないが、昨晩は違った。


 圧政の王を、退位させる事に成功した彼等は朝まで飲み明かした。


 そして次の日も。



 一日動けなくなっていたキライだが元気に復活していた。

「さて、僕たちは行きますか。」

 隣で頷くヴィットとシュガー。シュガーの頭の上にはアナ。

「アナさんはそこが気に入ったみたいですね。」

「ん?そうさね!コイツの毛並みは見た目よりもかなりいいからね!フカフカのベッドに横なってる気でいられるさね!キライ、あんたの頭の上といい勝負だよ!ん?なんだいなんだい?その複雑な表情、別に嬉しくなんかないって?ふーん?そんな事考えていいんだ?いや、別にいいよ?それならそれで!アタシはアンタのヒミツを暴露するだけさね!あははは!!」


 別にそんな事じゃなく、自分の頭の上の居心地を獣人であるシュガーと比較されて微妙な表情をしてしまった……と言うだけだった。

「とりあえず、暴露するのはやめて下さいね。……お願いします。」


 アナは小さな手を出してサムズアップして今度はシュガーに絡む。


 背後に気配を感じるキライ。それと同時にしまったという表情を浮かべる。

「…ね……秘密って…?…」

「ヴィットさん……そ、それは話して仕舞えば秘密にならないかと……。」

「…ふーん…教えてくれないんだ…」


 ヴィットはあまり隠し事される事が嫌いだった。少し不機嫌になりながらも出発の為に黒いローブを被る。……自分も隠し事はしているので人のことを言えた義理ではないのだが……。頭でそう思っていてもそう割り切れるものではない。

(ヴィット!さっきのは仕方ないよ。アナは楽しんでるみたいだったから悪い事じゃないと思うし……。ね?)

 不憫に思ったのかリームシュークがキライのフォローをする。

「…別に…どうも思ってない…」

(でも、不機嫌そうだよ?)


 別にそんな事ない……。そう言ってヴィットは更に深くフードを被る。



「あー……。もう、アナさん。どうするんですか……。」

「なんだいなんだい?アタシは本当の事を言っただけだよ!人の所為にするなんてヒドイじゃないか?いいよいいよ?別にアタシの所為にして!絶対に謝んないよ!悪いのはハッキリしないアンタが悪い!どうしてもって頼むなら……一発で機嫌直させる方法教えてあげてもいいけど?さて、どうする?どうする?アンタはどうする?」

 嫌な予感はしないでもないが、キライはアナに頼み込んで教えてもらう。



「何かプレゼントでもあげときゃすぐに機嫌は治るさ!あの子は単純そうだからね!で?何をあげる?アンタ、お金は持ってるんだろ?今まで使う間も相手もなかったろうしね!あははははは!アンタが何をプレゼントするか楽しみだよ!」

「プレゼント……ですか?」

 そう言われてヴィットを見ながらキライは考える。


 今まで、プレゼントを、あげた相手なんてデプロしかいない。あの人は単純でお酒や武器防具で喜んでくれた。

 ……そもそも、男でなおかつ年配のおじさんだ。


 同年代のしかも女の子にキライはプレゼントなんてものをあげた事は……ない。


 さて、どうしたものか……。

「……イさん。キライさん。お、お願いがあります。」

 そう言ってきたのはシュガー。

「あ、すいません。考え事をしてました。なんですか?」

「す、少し僕、こ、ここに残っていいですか?も、森で実戦経験を積みたい……です。」

「僕達は先に行きますが……大丈夫?」

「だ、大丈夫です。な、仲良くなったエルフと森の警護につきます。す、少し経験値を積んでから戻ります。ま、まだあの森に戻るには力が足りない。こ、ここなら少しいても外の時間は進まないって事らしいですし。」


「そうですね。わかりました。ラマテガさんには僕から伝えておきます。しっかり経験積んで下さいね。」


「ヴィットさん。少し待ってて頂いていいですか?シュガさんをコードさんたちにお願いしてきます。」

「…いいよ…」

「ありがとうございます。すぐ戻りますので。」

 明らかに不機嫌な返答にキライは困惑しながら王宮へシュガーを連れて行く。


「……どうしましょう。」

「な、なんかあったんですか?」

「アナさんが余計な事を言ったからヴィットさんが少し不機嫌になったんです。」


「はい?アタシの所為かい!?いい度胸だね!そこになおりな!一から教育してあげるよ!ほら!アタシが全部悪いんだろ?そう言うんだろ?」

「いえ、別に全部までは言いませんよ。ですが、九割型アナさんのせいだと思ってます。」

 ニヤニヤしながら、シュガーの頭から飛び降りたアナはキライを向いてケタケタと笑い始める。


「いや、ホント……アンタ面白いよ!最高だね!んで?アタシも連れてきたのはどう言った用向きだい?あははははは。まあわかってはいるけどね!」

「褒められている気がしないんですが……。まあアナさんの思っている通りですよ。」



「とりあえずは新王コード様と謁見しましょう。」



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