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神の棲む島  作者: ZAKI
第十一章 再会
29/46

(一)

 屋敷の地下に、こんな無気味な通路が存在していたなんて知らなかった。

 先行した真尋を追って岩戸を潜った美守は、延々と前方に伸びる真っ暗な隘路あいろを道なりに進んだ。


《御魂鎮め》の中心部。


 いままで、山頂から立ち上るあの煙の正体を深く気にしたことはなかった。『資格』を持たずに生まれてきた自分とは、生涯無縁のことと物心ついたときより言い聞かされ、みずからもまた、そう思ってきたからだ。

 だが、《御魂》を祀るとされる本殿の中で、本当は、いったいなにが行われてきたのだろう。



 通路内に響く唸り声は、進むほどに大きくなっていく。真尋の言うとおり、この路が本殿の真下に通じているのであれば、ゴール地点はさほど遠くはない。真尋にもじきに追いつくだろう。

 長老側に情報が筒抜けになるのを懸念し、美守はトキの持つ力を封じるため、強引に老婆を背負って通路を進んだ。そのトキに照らさせている懐中電灯の灯りが、時折、足下に落ちた血痕をとらえる。美守は、そのたびに心臓に刺すような痛みをおぼえた。


 ──あたしも、本当に自由になれるかしら。そして司も……。


 囚われた日々があまりに永く、そのせいで焦がれた『自由』が本当はどんなものなのか想像もつかない。だが、仮に叶わずとも、せめて自分にできることがあるなら真尋に手を貸そう。それが、感情に委せて愚を犯してしまったことへの、せめてもの罪滅ぼし。


 感傷に浸りかけて、バカみたいと苦笑した美守は、


「美守様、美守様、前方になにやら面妖な明かりが……」


 老婆が指さす先に、不可思議な明かりの存在を認めて足を止めた。

 真っ暗な通路の先に、不自然に赤みの強い、ぼんやりとした明かりが見える。唸り声は、そこから聞こえてくるようだった。


「雛っ!」


 突如、辺りに切迫した声が反響した。


 真尋……。


 思った瞬間、美守は走り出していた。


「こ、これっ、美守様っ」


 驚いた老婆が振り落とされまいと首筋にしがみついた。

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