2話
『母よ・・・・・・一人にしてはイヤです・・・・・・』
どれほどの時が経ったのか・・・・・・
ひんやりとした部屋に座りこんだまま、微かに聞こえる雨音に耳をかたむける。きっと外は寒いのだろう。あの人は大丈夫なのだろうか。我のような暖かい格好ではなく、いつもの薄着のまま出て行ってしまったのではないだろうか。
この格子に囲まれた部屋から出ることができたなら、階下に行き部屋を暖めておくことも・・・・・・
寝てはならないと気を張っていたつもりが、いつの間にか落ちていた。外に人の気配を感じ覚醒すると、あの人の気配。ああ、帰ってきてくれたのだ。我を置いていったのではなかった。
そろそろ空腹で泣きたくなっていた。鳴けば困らせることは分かっているが、声が出てしまうのでどうしようもないが。
「いい子にしてた?」
もちろん。はじめは呆然としたがパニックになることもなく、いい子にしていた。ほめてほしい。撫でてほしい。そして食事を・・・・・・
「あらあら。じゃあご飯にしますか。」
あっさりと部屋の鍵が外され格子の扉が開かれる。自由だ!扉を半分押し開けるように飛び出る。振り返り早く早くと急かすように階段に足を掛ける。危ないと言われ足を踏み外すもいつものこと。いい眺めと言われ尻に視線を感じるもいつものこと。今、我の歩みを止めることかできるものは存在しない!
『母よ・・・・・・ドアを開けてください・・・・・・』
リビングの扉は我にはまだ早いのです。