とある高校生の場合
「ふぅ……」
クロスギアを取って一つ大きく息を吐き出す。
「なかなかうまくいかないものだな~」
隣でクロスギアを付けている友達の方も同じようであまりゲームはうまく進んでいないようだった。
「あ~!またかよ!くっそ~」
そう言ってクロスギアを取り俺に話しかけてくる。
「お前も駄目だったのか?」
その言葉に俺は返事を返す。
「ああ、なかなかうまくいかないな~。査定官は良いんだけどなかなか兵隊が集まらないんだよな」
俺の言葉にそいつも頷く。
「ああ、そうなんだよな。まだうちの部隊は定数の半分もそろってないよ。いつになったら本格的にゲームを進められるんだろう」
その友達の言葉に俺も同意するように頷く。
「ほんとにな、このゲーム難易度高すぎないか?戦略シュミレーションゲームなのになかなか本題に入れないってのはどうかと思うよな」
俺の言葉に頷く友達。
「ああ、でもまあそれがこのゲームの売りでもあるんだけどな。それに……」
「それに?」
「最強の部隊が出来上がればそれはそれで嬉しいだろう?それが俺たちみたいなゲームマニアにはまさしく『幸せの時間』じゃないか。やりこむだけの価値はあると思うぜ?」
俺はまたそいつの意見に同意する。
「ああ、全くだな。とにかく俺もまだ部隊の定数の半分を少し超えた所だ。武器の開発やら本拠地の増強やらまだまだやらないといけないことはいっぱいあるからな。もう少し頑張ってみるか」
「ああ、そうだな」
そこで一旦言葉を切ってまた話し出す。
「所で、お前の所のメインの査定官。『冴子』だっけ?あれは良い査定官だよな。俺の所にもあれくらいできる査定官が欲しいよ」
そう言えばこいつの所の査定官はさっき『冴子』と話してた役立たずの男のほうだったっけか?
俺はそう考えをめぐらせる。
「ああ、お前の所はなんだか苦労が多そうな査定官だったな。新しいアイテムでも追加してもっと優秀な奴にしたらどうだ?とは言え、うちの『冴子』も厳しすぎる所があるけどな」
「ああ、ほんとはそうしたい所なんだけどな……なんせ今月は金欠でなかなか新しいアイテムも買えないんだよな」
そいつはそうぼやいてまたクロスギアを付ける。
「さて、もう少しやろうかな」
「ああ、そうだな。俺ももう少し部隊の装備と人員を確保しないとな」
俺もまたクロスギアをつけてゲームの中に戻って行く。
「クロスネット用戦略シュミレーションゲーム『幸せの時間』
世界に一つだけのあなただけの部隊、街、武器を製造してあなただけのオリジナルの世界を作り出しましょう!あなたの対戦相手は世界中のプレイヤーです。さあ、この難易度の高いゲームをあなたは何処まで楽しめますか?最強の国を作り上げた時あなたに『幸せの時間』をお約束します。
さあ、『幸せの時間』を存分にお楽しみください。
このゲームは過激な表現が含まれます。一八歳以上の方しかゲームをプレイする事はできません。CERO Z」