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お目当てのもの

 場所は変わり、てりやきと楓が古代樹の森で馬鹿でかいキノコを見つけていた時、遺跡内に入っていた銀朱、詩歌、カゲロウはというと……


※どうしているか


「いったいいつになったら出るんだよ……」


「文句を言ったらだめニャ。レア中のレアなんだからむしろこれくらいじゃないと」


「それにしたって採掘できる量もなんだか少ないですよ。先に採掘しに来ている人でもいるんですかね」


 いまだにお目当てのスサノオメタルが出てこず炭鉱夫よろしく掘り続けていた。気分はまさしくホリ・ススム君。敵が出ればうまく逃げ、戦闘に使う時間すらも惜しいとばかりにとにかく掘れるところから掘り続けていた。


※何が起こっているか


 にもかかわらず、スサノオメタルは全くと言っていいほどに出てこない。あまり奥に行き過ぎると三人だけでは荷が重いのでそれほど深いところに入ってはいないから、レアものが当たる確率は低いといえば低いが、低純度のものだったり小さい欠片くらいならあってもいいはずなのにそれすらない。

 三人とも誰が言うでもなく気付いた。「おかしい」と。


「……とにかく、三人じゃこれより奥は難しいです。一度出口近くまで引き返して、外の二人が来るのを待ってからのほうがいいでしょう」


「そうだな。支援役もいないままじゃ採掘も難しいだろうし引き返すか」


 さすがに奥に行けば逃げながらの採掘にも無理はあるだろうとの判断に詩歌も頷き、遺跡の入り口へと戻っていく。


「……あれ? 二人とも、道間違えてないかニャ?」


 ふと、戻っている最中に詩歌がそんなことを口にした。


「いえ? ルートを間違えてはいませんが……」


「マップから見ても最短距離はこの道でいいはずだ。なんかあったのか?」


「だってほら、目の前壁だニャ。行き止まりなんじゃニャいの?」


 言われ、自分たちが進んでいる道の先を見ると、確かに壁で行き止まりになっていた。だが、マップ上ではここは行き止まりにはなっていない。ギミックの類にしてもこの遺跡内でそんなものがあるという情報は聞いていない。

 しかしここは最短距離。他の道では時間もかかるのでどうにかして通りたかった銀朱がなにか仕掛けのようなもので壁が動くかもしれないということでさっさと調べに行ってしまう。

 壁には無数の手にさまざまな武器を構えた鬼の体が緻密に浮き彫りにされていた。

 圧巻。これに尽きる風貌だった。


「おかしいですね、こんな見事なもの、見逃すはずがないのですが……」


「とはいえそれ以外は普通の壁ニャ」


「ちょっくら小突いてみるか。なんかの拍子に動いて通れるかもしれねえ」


 あまり時間をかけていられない。しかしその短絡的な行動が現実にしろゲームにしろもっともやってはならない行動だとこのときばかりは急ぎでもあったせいで忘れてしまっていた。


※何が起こるか


 一瞬だった。

 気付いた時には銀朱の体が横殴りに吹き飛び壁へとたたきつけられていた。


「んがっ……! なんだあ!?」


「か、壁が……」


「動いてる……!?」


 目の前の壁が動き出す。だが横にずれたわけではなく、せりあがったわけでもない。壁の装飾だとばかり思っていた無数の手を持つ鬼、その鬼の上半身が壁から外れ武器を構え、さらには壁ごと向かってくるのだ。一本の手にはハンマーが握られており、それが振りぬかれている。銀朱はあれに殴られたのだと理解するのに時間はかからなかった。

 同時に相手の頭上に現れたゲージと名前。意味することは一つ。


「トラップ型モンスター!?」


 トラップ型モンスターは、基本的な形として宝箱や壺といったよく手にするものに擬態してプレイヤーがふれたときに突然襲い掛かる。今回も例にもれず擬態しており突然襲い掛かったが、大きさがあまりにも違う。宝箱や、壺なんてものが生易しく思えるほどの敵だった。

 そしてさらに言えば、そういったトラップ型のモンスターは総じて能力が高い。


「銀朱さん!!」


 回復アイテムを使うため近寄ったカゲロウは、銀朱のHPゲージを見て顔を青ざめさせる。彼は虫の息の状態でほとんど残っているかどうか怪しい程度のHPしか残っていなかった。一撃でお終いになりかねないほどの攻撃力を目の当たりにし、倒すのは難しいと判断したカゲロウは牽制しながらの隙を見て撤退かダメージを蓄積させながらの撃退かを考えるが、横から上がった声で甘かったことを悟る。


「ス、スサノオウォール……? まさか、こいつ全身スサノオメタルでできてるとか言わないよニャ」


 最悪だと悪態をつき、相手の名前を見るが、やはり間違いはない。壁はほとんどが苔におおわれているが、ところどころから金属のような光沢が見えている。立ち上がった銀朱と三人で顔を見合わせ、叫んだ。


「逃げろおおおお!!」


「畜生、畜生! こいつがスサノオメタルを取り込んでやがったんだ!」


「いいからとにかく逃げるニャ! STRがそこまで高くないあたしたちじゃまともなダメージなんて入るわけないニャ!」


 三人が選んだのは、なりふり構わずの撤退だった。

※逃げ切れるか……チャンス1


 スサノオウォールはどうやっているのかそこそこの速度で三人を追ってくる。この迷宮の通路は完全にスサノオウォールがぴったり収まる大きさなので、壁をすり抜けての逃走もかなわない。そのうえ道が入り組んでいたりもするため全速力で走って道を間違えて行き止まりに行ってしまったりしたら目も当てられない。結果、三人は完全に振り切ることができずぎりぎりの鬼ごっこに興じるしかなかった。


「詩歌さん! なんか、なんか持ってませんか! 走りながらアイテム出すの大変なんですよ、その虎に乗ってるなら両手も少し位フリーにできるでしょ!?」


「ごめん、今だから言うけどあたしテイマーじゃなくてコッペリオなのニャ! 自分で操ってるかからせいぜい片手だけだし、今はそこまで余裕ないニャ!」


「ああああそういうことは先に言っといてくださいよ!」


 コッペリオは人形を操って戦う職業で、実は操るのは自動ではなく、ある程度手で操らねばならない。精密な動きをさせようと思えば両手を使わなければならない。片手で速度を出しながら事故をおこさず走っている詩歌もかなりおかしい部類だが、それでも今別のことをすれば手元が狂いかねないと危惧しているのだ。


※チャンス2


「次の曲がり角だ! そこで爆弾で壁壊して時間稼ぎするぞ!」


「それならあたしがやるニャ。フェル〈ボンバーボール〉射出!」


 掛け声とともに詩歌が両手を大きく動かすと、フェルの腕がカパリと開き、そこからビー玉のようなものがぼろぼろとばら撒かれていく。


「ぶっ飛ぶニャーー!」


 そして、ぽひゅんと気の抜けた音がしたと同時に、耳をつんざくような爆音が迷宮に響き渡った。


 出口まで持つかどうかは、神のみぞ知る……

※どうしているか

1、3、いまだ収穫なし

2、4、迷ってる

5、6、結構収穫できてる

出たのは2。いつまで安全にいられるかな?


※何が起こっているか

1、モンスターの群れが。

2、超強モンスターが。

3、先に来ていた奴らがとっていた。

4、ダンジョンそのものに異変が。

5、気のせい。

6、運がない。

出たのは2。あー、こいつはやばいぞー!

私がこの作品を書く前から想像していたモンスターの登場です!ミミックなんて目じゃないくらいの凶悪なのだぞ!


※何が起こるか

1、2、一撃で虫の息に。絶望からの逃走戦。

3、4、回避するも攻撃が壁に直撃。周りが崩れる中での撤退戦。

5、6、少しでも素材をとるための囮電撃戦。

出たのは1!

5,6が出てたら何人かリスボン確定でした。


※逃げ切れるか

今回は、ステータスから換算して、6回サイコロを投げて、24以上になれば逃走成功です。チャンスのたびに投げますので、もしかしたら6回投げる前に終わるかも……?

※チャンス1

出た目は1。運がない!

※チャンス2

出た目は4。このまま逃げ切れるか!?

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