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前日譚・ギルドGP

みんな!

これが有名なお茶濁し回ってやつだよ!

重要なことを混ぜておくなんて卑劣だね!

良い子は真似しちゃいけないぞ!?


サイコロふることが必要ないお話でした。

第三回に出るつもりがなければとばしていただいても問題ありません( ´ ▽ ` )ノ


ちなみにギルドGPのGPはGod Paperの略です。神紙(笑)

 ギルドGP。

 ここに所属する者は、WWOの研究をしている。レアアイテムのドロップ率、モンスターのステータス、その他諸々攻略する上でとても役に立つものを検証している。

 その中には「特殊職業」も含まれており、詳細な出現条件を自分たちで調べ、ある時は新しい職業を出した者に交渉して詳しく調べ、出た条件を模索したりしている。

 ただ、彼らはかなりWWOでは狙われている立場でもある。

 彼らの情報というものは完全に裏が取れない限りギルド自身が提供をしない。だが裏が取れれば公開するにも関わらず、モンスターの情報ならいい狩場を見つけるために、ドロップ品なら他のプレイヤーに先んじるために、職業ならそれに見あった装備を先行して制作するためにと裏が取れる前からとにかく眉唾でもと彼らの情報を手に入れようとするのだ。

 もちろん全部相手などしていてはろくなことにならないので、ギルドGPはちょくちょく拠点を移していたのだが、それが情報の秘匿だと叩かれたため条件付きで裏が取れていない情報を公開することにした。

 条件とは「移動後のギルドGPの拠点を見つけ、情報に見合ったこちらの提示する対価を期間内に支払った最初の者にだけ、欲しい情報をアイテムのメモ本にまとめてお教えする。依頼という形ならばその依頼に関わったもの全てに権利があり、もし完全にこちらが公開する前に譲渡や不当に伝えられたとこちらが判断した場合、新情報の公開を停止する」というものだった。

 事実、公開した形跡を見つけたりしてギルドに伝えたものには情報とかなりの額の報奨金なども出していた事もあり、最初に別サイトで少し公開したプレイヤーがいた事が他のプレイヤーにより摘発され、幾つかの地域のモンスターのステータスが公開されなくなってしまった。


 情報によりWWOで地位を築き上げたギルド、それがギルドGP。




 今、拠点には一人の男がいる。眼鏡の冴えない男は黙々と空中に浮くアイテムであるメモ本へと新しい情報を打ち込んで行く。


「ぶへぇ……特殊職業がまさかこんなに見つかるなんてなぁ……これじゃ前回よりもまとめるの大変だけど説明書きも一苦労だ」


 WWOではシステム上の特殊職業の説明があまりない。装備できる物やステータスの変動がわかる程度で、どんな戦い方ができるのかとか、どんなスキルが手に入るのかなどは全くわからない。普通の職業ならちゃんと書いてあるため、実質新しい特殊職業はとってみてからのお楽しみ状態である。狙って取らない限りそうそう取れる物でもないからあながち間違いでもないが。


 そんな所でもギルドGPは仕事がある。特殊職業の説明書きをすることだ。

 取得条件などが分かったらそれを記載してどんな戦い方ができるのかなどを書くのだが、それまでは芝居がかったような説明が必要なのだ。神話から、伝承から、想像から引っ張り出してそれっぽい説明を書く。たまにだがGMがその説明を使わせて欲しいといってくる事もあるそれを一人で考えているのが、この男だった。


「なんか転生システムとなんつうものも実装されるとか言われてるしなぁ……複雑になられると説明書きしてるこっちもキツイんだがなあ。

 とりあえずアリアドネから行くか……」


 そしてまたカタカタとタイピングの無機質な音が響く。

 フワフワと浮く本のページに、また一字打ち込まれて行く。



アリアドネ

全てを縛り、全てを絡め、さながら蜘蛛の如く。

愛するからこそ縛り離さない。

一緒にいたいからこそ絞め殺す。

縛り絡めて絞め殺す。その身はただ、それだけのために。


ハーヴェスター

奪うことは至福。それも程よく育ったものを、時間をかけて積み上げたものほど。

得し者よ、装備だけでは足りぬ。金銀財宝でも足りぬ。空虚を埋めるため経験すらも奪え、欠片も残すこと無くな。


ドレッドノート

暴王となろうともその身の破壊衝動は王の力ではなくただ狂うだけの糧と成り果てた。

いつしか狂気は伝染し、周囲も狂い世界も狂う。

かつてのような腕力も、脚力も無い。息を吐けば狂い、歩けば狂う。周りが狂えば己は冷める。ただただ狂わせるだけしかない。

狂気と言う名の暴力を知れ。


晴明

陰陽道にて悪しきを滅する神の申し子たる者にこそこの名は相応しい。

見るに耐えぬ魑魅魍魎。

目の前の才に怯えるしかなく、消え去る瞬間を只待つのみ。

さあ、肉片の一つも残さず消し去れ、滅せよ。


神切蟲

人でなし、鬼でなし、修羅でなし! 一を極めたこの太刀筋、一を極めることを諦め百の太刀を修めただけの貴様になど……見切れはせぬ! 見切らせはせぬ! 儂の全てはこの一太刀に!


天刀蟲

人であり、鬼であり、修羅である。人であるがゆえ、鬼であるがゆえ、修羅であるがゆえ、お主と斬り合うには多くを修めねばならぬ。神の一太刀を極めたお主と達人の百の太刀を修めた儂と、どちらが上かは斬り合わねばわかるまい。


アリス

キャハハハハハ!

みーんな気づかないのね。ここは全部ぜーんぶ夢なのよ、夢の世界だから何でもできるってこと、忘れてる人たちなんかに力が手に入るとおもう? 言い訳なんて認めないわ、できないことなんて夢には無いって、あたしが教えてあげる! あたしの名前を貸してあげるんだから……わかってるわよね?


戦場に一人護られているのも耐えられぬ。女であると言うだけで可愛がられるだけの惨めな一生なども耐えられぬ! 愛した方の隣でただ最後の時まで戦えるならば、全てを引き換えにしても釣りが来るわ!


アスラ

その者の周りは何時も戦いがあった。挑めば戦い、逃げれば戦い、何をしていようとも戦いがあった。まるで呼び寄せられているように。

その戦いに慣れ、歓喜を覚えた時、体は戦の神となった。


オートクレール

斧とは美しい。斬り、潰し、叩き、両断する、そのすべてを成し得る武器。だが極めた者は振るう度に屍の道を築き、彼の者は屍を踏み行く。一時は仲間の死を嘆いても、すぐに誰が為に奮うのかすら忘れてしまう。斧が余りにも殺し過ぎた故、覚えていることすらできない。悲しき戦士は今日も行く。


バーバ・ヤーガ

魔法というのはナマモノなの。放っておいたら使い物にならなくなるのよ。男だろうと女だろうと魔法は平等。

だからこそ気を付けなさい、私みたいに魔法に防腐剤ぶち込んで腐らせない者もいるのよ。しかも悪影響は少なくね。未熟なアナタにはわからないでしょうけど。


ノワール

食べるってのは楽しいのさ。目の前のご馳走のどれから食べるかでワクワクするのが好きなんだよ。

で、お前は足と腕、どっちからがいい?

あ、お前はもう答えられないか。頭は私の胃の中だもんな。


ゼロシフター

飛ぶのではない。消えるのでもない。時を越えるのだ。莫大な魔力を引き換えに、見えるのならば瞬時にそこへ表れる。さて、これがどこまで使えるか試すのも魔術師としての仕事か。手始めに女風呂へ試してみよう。これは実験だからな。


ノスフェラトゥ

棺を持ち、ゆっくりと歩む。戦場死した兵の魂を納めて行き、戦争の度に彼には力が蓄えられる。

気づいたときにはもう遅い、棺の中の魂は、混ざり交わり真の恐怖へと変貌しているのだから。


ギルガメッシュ

私は間違っていたのか?

私が体を引き換えにしても欲しかったのはこんなにも惨めな気持ちだったのか!?

私が歩んだ道は間違っていたのか!? 誰でもいい、応えてくれ!

だがその問いに答える者は居らず、独りとなった王は答えを求め荒野を歩む。


喧嘩師

言葉は要らぬ。前置きも要らぬ。語る為には多くは要らぬ。

ただ己が拳を握りしめ、五体を武器とし語ればいい。

それ以外の武器など贅肉に過ぎん。拳こそが至上なのだからな。


ハーフエレメント

なんて馬鹿な人……たった一目で惚れるなんて……

なんて馬鹿な人……ほんの一夜のことが忘れられず恋し続けるなんて……

なんて馬鹿な人……私のような精霊を好きになるなんて……

本当に……馬鹿な人……! 新たな命も見ずに一生を終えるなんて……!

本当に馬鹿な……精霊……生まれる新たな子に新たな力などという枷を背負わせてしまうなんて……


アイオン

ここではない別の時空の己が味わった事象。

己ではなくとも己が抱いた絶望。

世界の果て、生きることも死ぬことも許されぬ封印の前に少女は話をするためだけにいた。

世界が少女に牙を向き、物言わぬ亡骸となった瞬間、己は永劫の封印で動けず護れなかったことを嘆く。

永劫に続くと思われた封印は、その怒りに耐えきれず砕け散った。

一人の少女の復讐のため、永劫の力を神々に叩きつけるため、鎖を引きずり世界の果てより彼の者は消えた。




「……さて、あとは検証が済むまで待てばヨシ。みんなどれくらいかかってんのかね……ん? お客さんかい?」


 男がふと入り口を見ると深くフードを被った少女がいた。


「おめでとう。お嬢ちゃんがこの拠点になってからの最初のお客さんだ。で、欲しい情報はなんだい?」


「……特殊職業と、転生システムの可能性の有無について」


「ああ、わかった。その情報が欲しいなら、今週中に--」




 

どうでしょう?

職業の説明からどんなものか想像するのも楽しいかもですね( ´ ▽ ` )ノ


ちなみに次回はフォッサ砂漠と古代樹の森のどちらかですが、古代樹の森になりました。


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