僅かな異変と多大な犠牲(プライド的な)
PCが壊れて更新が未だできないのですが読んでくれている方々をあまり待たせる訳にもいかないと思い、生まれてはじめてネットカフェで書きました!
早く新しいPC欲しいな……
――かるぼ☆な~らのマイホーム。
『メッセージ送信完了』の文字を見たかるぼはコンソールを閉じ、ぐっと体を反らし伸びをした。
「玄武と葉二もそろそろフォッサ砂漠の入り口についてんだろ。いいテイマーかサモナー捕まえられるかね」
足がなければ砂漠を行くのはキツイとは思うが、自分は別に男が砂漠で行き倒れになろうと知ったことではないとばかりに「まあいいや」と切り替えてしまった。切り替えた先にある物はひとつの疑問。
「なぜサクラちゃんを……」
太公望という職はサービス開始から三ヶ月という今では数はとても少ない。ましてや実用できるレベルとなればさらに限られてくる。それならば知り合いを紹介するのは正しいことだろうが、それは普通の人が相手の時のみ。太公望でなければ釣れないものもあるため、数が少ない今酒場などでは太公望は重宝されている。普通に求人したのでは今日中には来ないだろう。だが、それならば二、三日待てばいいだけの話であって、わざわざ今日カオスロブスターなどという要求をする必要は全くない。
と、すれば必要だったのは太公望ではなくサクラ個人。あの子でなければならない理由があるはず。
そこで唐突にあることをかるぼは思い出した。これを依頼した人物は自分と同じ生産職である。ならば、アレは喉から手が出るほど欲しい情報だろう。
おもむろにアイテムボックスから一冊の薄い本を取り出したかるぼは一人呟く。
「……やはりvol,2が既に……? まああの子ならおそらくそこの繋がりはあるはずだと踏んだから野郎行かせたんだろうがね。
直前にあの野郎共が来たのは幸運……? となると偶然来たのを利用したのか。ククッ、信頼のおける奴だけにしておきゃ良かったものを」
ちら、と本のタイトルに目をやる。
『ギルドGP~新特殊職業記載~vol,1』
「なんにせよこれでほぼ確定だ。あいつら来なかったらアタシも気づかなかったぜ……ぬかったな。
ウフフフフ。同じ生産職なんだ、愛ちゃんだけに抜け駆けなんてさせないよ。
小娘ごときが俺を出し抜こうなんざ千年早いんだよ……!」
その時の彼女の表情はとても生産職が浮かべるようなものではなかった。
* * * * *
――フォッサ砂漠前の宿場街。
※どうなっているか
そこには途方に暮れた玄武と葉二がトボトボと砂漠へ向かっていた。
「何故なんだ……!?」
「スマン。俺のモンスターは乗れないしなぁ……」
後方支援に主眼をおかれている玄武のテイムモンスターは人が乗れる大きさでは無いため、別のテイマーかサモナーを探していたのだが、偶然にもオアシスに向かうプレイヤーもパーティーも居なかったことで最悪なことに徒歩で向かう羽目になったのだった。
※テイマーかサモナーに会えるか
「ポーションの量は充分か?」
「大丈夫、持てる量は持ちましたがあとは運次第ですから」
減っていくHPを上回る回復量で回復することでなんとか徒歩で向かえるように二人は準備をしていた。実際のところ不安は拭えないが行かないと話が進まないので、意を決して砂漠へと向かう。
「全く……ずいぶん遅れましたね、このノロマが。後でお仕置きが必要なようだな」
はずだったのだが、テイマーらしき男がフォッサ砂漠前にいた。
和風の装備で種族も相まって美形だが、その現状はそんなものすら些細なことに思えるほどだった。
※テイムモンスターは
「了解であります。しかし主、おしおきとは何でありますか?」
「デザート抜きだ。嫌なら私の足としてしっかり動いたらどうだ?」
「そんな殺生な! こんなにも大変なのにそれはあんまりであります!」
「お前はモンスターだろう? なら私一人くらい大丈夫だ。さあはやく行くぞペコペコ丸!」
会話だけ聞けば場所からしてテイムモンスターに乗って砂漠へ向かおうとしてる内容。
が、しかしそれは乗っているとはとても言えるものではなかった。
「おい、ちゃんと私の足を押さえろ! おお落ちるだろうが!」
「主のバランスが悪いのであります!」
「……なあ、葉二君。あれはなんだと思う」
「龍の足の女性に青年がおぶられているようにしかみえませんね」
「……だよなぁ」
人型のモンスターにおぶられている青年は十中八九テイマーだろうと思うが、どうしてもかかわり合いになるのが躊躇われたためそのテイマー、たしぎ はくに話しかけるまでしばらくかかった。
* * * * *
「ほうほう。オアシスまで行きたいけどテイマーが居なくて困っていたと」
「ええ、まあそうです」
「私でよければ一緒にいってあげるますよ? うちのペコペコ丸以外もいるし」
その提案は正直に言えば魅力的ではあるが、しかしさっきの光景がどうしても首を縦に振るのを躊躇わせる。いくらモンスターとはいえ女性におぶられるのはどうしても納得できないからだ。
「大丈夫であります。自分はこれでも龍血獣でありますから不甲斐ない主をおぶらなければ二人くらい余裕であります」
声をしたほうを見ると、ペコペコ丸と呼ばれたテイムモンスターが立っていた。
上半身は肌に鱗が所々に付いているが女性のそれで軍服を着ていた。だが下半身は分厚い筋肉に鱗で覆われた二本のドラゴンの足に、大木を思わせる尻尾。翼は無くともまさにドラゴンだった。本人の言う龍血獣とは本来豹に龍を足したような姿なのだが、上半身が人に似た姿なのはおそらく課金をして変えたのだろう。
元が人に近いのならば人の姿に一部を変えるくらいはしている人はいる。完全に人から離れていたり、巨大なモンスターは全身を変えるためには相当お金がかかるからそういったモンスターは変えない人も多いが。
養うのもかなり大変なのでだいたいテイマーは代えの利かない二・三体ほどを大切に育てていくのが主流だが、目の前のたしぎは口ぶりからして三体以上は確実にいる。ならば人型ではないモンスターもいるだろうと思い、二人はお言葉に甘えることにした。
※何に乗るか
「「甘かった!!」」
「どうした? 私がせっかくつれてきたんだし早くのりたまえよ」
「どこに乗りゃいいんだよこんなのよぉ!」
玄武の非難に激しく首を振り同意を示す葉二。
「HAHAHA! どうしたんだいBoy達、さあ私の体にしっかりとしがみつくんだ!」
「「いやだああああ!!」」
「ゴリマッチョさんお手柔らかにしてやってくださいよ」
同じように人型ではあるものの先程のペコペコ丸とは完全に雰囲気が違う。まるでボディービルダーのようにキラリと白い歯を覗かせて笑顔を作り、ポージングを、鍛え上げられた筋肉を、余すところなく見せつけるためにブーメランパンツ一枚という姿。
これだけならばただのボディービルダーなのだが、体のあちこちからまるで陽炎のようなオーラとも熱気とも言えるものが立ち上がっている。
「炎の精霊だから水の精霊ほどじゃないけど暑さ対策はしてくれるよ」
「じゃあ水の精霊連れてきてくださいよ! こんなガチムチみたいなモンスターに乗せられたら貞操の危機ですよ!」
「失敬な。ゴリマッチョさんはそんな趣味のモンスターじゃあありませんよ。それに乗るのだってオアシスまでじゃないですか」
「Oh……食わず嫌いは感心しないな、Boy達?」
「何が食わず嫌いだよ! うう……せめて別のプレイヤーに会わないようにしてくれ……」
結果、たしぎはペコペコ丸で。玄武と葉二はゴリマッチョさんに小脇に抱えられてオアシスを目指すことになった。
「……ダオさんに早いとこ合流しなきゃ……仙人掌達が全く見当たらないなんて絶対におかしい……!」
* * * * *
「……サクラ」
「なんでしょうか」
「ワシの気のせいかもしれんが仙人掌闘士や剣士が多い。三体以上同時に来たら守りきれん」
サボテンがグローブをはめて歩いている。仙人掌闘士の外見を表すとそんな感じだろう。意外に素早く、軽いフットワークでまるでボクサーのように攻撃してくることから魔法職には相性が悪い。
「でも、ダオさんしか今は頼れないんです。カオスロブスターを釣れるまで頑張って下さい!」
ふう、と息をつきながらも斧を横薙ぎに振る。斧に当たった仙人掌闘士が吹き飛ばされ、別の仙人掌闘士とぶつかっても威力はおさまらずそのまま二体とも重なり倒れたところでダオがまっすぐ全力で振り下ろした斧で潰され、消え去った。
「やはりカオスロブスターと一戦交えるのか」
「黙っててすいません。でもどうしても必要なんです」
「そう思ってさっき援軍を呼んでおいた。口も肝心なところは固いからお前がワシに何か隠していることも気にせんでいいぞ」
「! ……ありがとうございます」
カオスロブスターを釣る際、太公望だと確率が上がるが、普通に釣りをするより当たりやすいと言うだけで必ずすぐに当たるとは限らない。今当たるかも知れないし、まだまだ当たらないかもしれない。
「仙人掌が集まってきてる……時期が悪すぎ」
「援軍来るまでにこれ以上集まられたら無理だ。その時はワシの判断で撤退させるからな」
「大丈夫です。おそらくまだ集まるまで時間はありますから」
オアシスでの籠城戦が、始まろうとしていた。
※次回はフォッサ砂漠か古代樹の森か
※どうなっているか
1.途方にくれている
2.テイマー発見
3.サモナー発見
4.目的を忘れて遊んでいる
5.何者かに襲われている
6.なにもしていない
でたのは1。
5だったら話が盛り上がりそうだけど……思い通りいかないのも醍醐味ですからね!
※テイマー、サモナーに会えるか
1.2.3.会える
4.5.6.会えない
出たのは3!
これで4.5.6.が出てたらたしぎさんはソロでいってもらう予定でした。
※テイムモンスターは
1.炎の精霊ゴリマッチョさん
2.ワーウルフ少女
3.混合獣幼女
4.イケメンゴーレム
5.龍血獣の女
6.ヴァンパイア少女
出たのは5。
ペコペコ丸が出るとは……
ワンコは再登場なるか?
※何に乗るか
これはさっきのテイムモンスターから5を除外して再びサイコロを振って選びました。
出たのは1……ん? 1!?
しまったまさかコイツに当たるなんて! 玄武さん、葉二さん。サイコロはしばいておきますからゆるしてあげてください。
※次回は
1.3.5.フオッサ砂漠
2.4.6.古代樹の森
最後のこれはお楽しみ選択肢!
さあどっちになるのかは運次第。
次回のお楽しみで。
アディオス!




