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VSエビルスライム&ウーズ


「フィリイィャオオオウゥ!」


「あははははははは!」


「ヴォオオオオオ!」


※どんな作戦か


 エビルスライムとの戦闘は一方的な虐殺に近かった。

 エビルスライムよりずっと大きいウーズは動きがかなり遅い。標的に向かってくるうちにエビルスライム達に追い越されてしまう。三人はある程度スライムとウーズの差ができた所で数の多いスライムを殲滅する作戦だった。

 それ以外は好きなように暴れる。

 実にシンプルかつ有効な作戦だったが、これは作戦と呼べるのかと靉靆は少し疑問に思ったのだった。


 両手に持った鎌のようなメイスを悟が気持ち悪く狂ったように眼下の弱者へと叩きつける度、スライム達はHPを削られていき、悟本人にダメージを与えたとしても、


「〈リバースキュアー〉!アァ……! 血潮が私に流れてクル……!」


 レア魔法〈リバースキュアー〉により相手のHPを吸収し自分のHPとしてしまう。

 その独特の動きのため攻撃の隙が大きいが、そこに後ろでバンダナをたなびかせ、笑みを浮かべる靉靆の矢がモンスターを射抜いていく。


「素材素材……! エビルスライムはそれ以外使い道なんてありませんがそれでもドロップしてくれることに感謝を!」


 言葉は話していても意識は常に相手に向かう。彼女にとって現実でもゲームでも変わらない理念、それは命への敬意。なるべく苦しまぬよう他の二人の攻撃で弱ったモンスターに後方から的確にトドメをさしていく。また、彼女が装備する弓『オデュッセウス』はとあるスミスの特注品で、モンスターに対するクリティカル率が上昇するもので、それも相まって優秀な援護を可能としていた。


 そして二人から離れた所にモンスターに囲まれながら暴れるバーサーカー、ダオがいた。


 言葉は完全に今は話せないが周囲に無差別で襲いかかるそれに二人は近づけないので遠目から確認する。視線はダオの頭上、HPゲージに。


「ダオさんそこまでダメージ受けてませんからまだ〈凶化〉解除されないんじゃないですか?」


「でスネ。バーサーカーの代名詞ですから必要ないかも知れませンガ、囲まれた時のために援護くらいは行きまスカ?」


 〈凶化〉は一定量のダメージで解除される。解除されたときに敵のど真ん中にいることもあるので、非常に厄介なのだ。バーサーカーを選択する人が少ない理由でもある。


※助けに行くか


「まあ、ダオさんなら別に行かなくていいんじゃないですか? 後ろのおっきいの(ウーズ)が射程圏内に入ったら別ですが」


「それもそうでスネ」


「ヴァオオオオオァ!」


 言葉を交わしていてもスライムの殲滅速度は衰えない。

 やがてダオの〈凶化〉が治まったあたりで本命のモンスターがあらわれた。


「近くで見るとおっきいですね……。私周りにまだ残ってるエビルスライム全部倒してきますから、お二人でアレ、お願いしますね?」


 そう言って後方へ飛び退いた靉靆は懐から一本の包丁を取り出し、ウーズとの戦闘圏内から外れてしまう。ウーズのタゲは今二人が取っていて、眼前に迫った状況でも焦りは全く見えない。


「サテ……HPは大体三割削られましタカ?」


「ワシのHPの心配は無用だ。また〈凶化〉するにはディレイがある。それまでは――」


「でしたらこレヲ。一時的ですが〈凶化〉できまスヨ」


 そう言って懐から取り出したのは一つの石。悟はアルケミストも取得しているので独自に謎のアイテムを造っていた。レシピにもまだ無いため本当に何者なのか疑問だが、ダオはその疑問を破棄する。

 ゲームの世界でその考えは無駄でしかないと考えているからだ。


 受けとるとすぐに体が勝手に動こうとする。〈凶化〉の前兆だ。すぐに会話不可能になる。


「……使う必要は無かった気がするが」


「いいんですよそレデ。こういう自殺志願者は全力で叩き伏せねバネ」


「フン……まあ、い……ゥヴァオオオオオ!!」


「始まりましタネ……私も行きまスカ。フゥリャオオゥ!」


 真っ先に向かったダオは斧による攻撃をくらわした。


※誰に


 悟に。

 かなりの威力で振り払われた斧に吹き飛ばされ壁に激突する悟。だが僅かに見える表情は恍惚としていた。


「アァ~! す、素晴らしい一撃! アハァ……ですが私ばかり堪能するのはよくありませんネェ」


 悟はそう言うとウーズの方へダオを蹴り飛ばした。 とたんにダオはウーズへの攻撃を始めた。〈凶化〉した状態では常に近くのものを優先的に狙う。


「サテ、私も行きま……ン?」


※何が起こったか


 ウーズのHPゲージの減りが遅い。さっき自分が受けた感じではアレくらい削りきれないのはおかしいと思った悟は短い時間で考察をする。

 HPが高いのか、DEFが高いのか、はたまた〈物理ダメージ軽減〉でもついているのか。


※何がついているか


「赤字ですしラストでスガ……情報屋に売って少しは足しにしまショウ」


 取り出したのは一つの巻物。スペルスクロールと呼ばれる使い捨てだが一度だけ魔法が使える高価なアイテムである。

 悟自身の魔法は回復系で、唯一使える〈リバースキュアー〉は射程がかなり短い。近づけば今暴れているダオに攻撃される可能性もある。

 巻物を広げ、魔法の名前を口にする。


「〈ファイアⅡ〉!」


 炎弾がウーズへと襲いかかり、弾ける。

 本来の魔法職より威力は低いが確認には充分だった。

 HPゲージの減りはダオの攻撃よりに多い上、魔法が当たったウーズはとても苦しんでいた。

 そして確実にするためにダオが僅かに引いた所で接近。〈リバースキュアー〉を使用する。

 苦しんだ様子もなく、減りも大した量ではないが、通常攻撃よりは高く自身のHPはかなり回復した。


「かなりのHP量に……〈物理ダメージ軽減〉でスカ。回復考えると魔法で戦ってはMP持ちませンネ」


 〈凶化〉が終わったあと、そこからは悟が引き継がねばならない。また石を使おうにもさすがに乱発できるようなアイテムではない。希少なのだ。ディレイを傍観する暇もないから、それこそギリギリまで自分がやらねば。

 だが表情は更に気味の悪い笑顔に歪む。


「つまり好きなだけ殴っても良いのでスネ!? ヌハハハハハハハ!」


 そうしてダオがディレイに入った瞬間に入れ替わりにウーズの前に立つ。


「ワシはさっきの魔法合わせ大体四割、あと三割くらいは頼む」


「任されまシタ。残り二割で押し込みまスヨ」


 お互いノーガードのインファイトが始まった。


 〈物理ダメージ軽減〉と言えど全く減らないわけではなく、要所要所で燃費がいい〈ヒール〉を使いながらなのでウーズのHPは少しずつだが着々と減っていく。

 それ以上のダメージを受けながらも避けずにただひたすらに殴り続ける悟はまさしくおぞましく、ダオも自身の回復に強化をしながらその様子を見ていた。


「アァ……痛いイィ……さあもっと深く強く殺り合いまショウ!」


 HPゲージが残り二割になったときに打ち合わせ通りウーズへとダオは向かう。が、ウーズの口からゴボゴボと液体が出始めて、足を止める。


※何が起こるか


 口が大きく開いた瞬間、魔方陣が形成されはじめた! 同時にウーズのHPゲージが大きく減る。と言うよりなくなった。

 ――まさかボム種と同じような自爆系か!

 ボム種は体力が残り少なくなると自爆して相手を巻き込む。威力はかなりのものだ。

 悟はMPも残り少ない上、ほとんど周りが見えていない。ほとんど反射的に飛び出した。


「おそらく〈ウォータⅢ〉以上の魔法です! 伏せて!」


 金切り声は靉靆だ。エビルスライムを狩り終わり、向かって来たのだろう。だが目の前のそれは〈ウォータⅢ〉どころではない。後にこれがウーズの自爆魔法〈ハイドラウォータ〉だと知るのはすぐだった。

 巨大な水の塊が射出されるのと、悟にダオが到達するのは同時だった。


※どうなったか



 * * * * *


 ミルダの街、東門ホームポイント。


「しまったなあ……ワシら死に戻りか……」


「すみまセン……周りが見えなくなってしまいまシテ」


「ま、EXP入っているから奴さんは倒せたみたいだし、構わんさ。デスペナで動けんから素材回収は靉靆に任せておこう」



 * * * * *



 ウーズがエフェクトとなり消えたその場に靉靆は一人残されていた。

 魔法の余波で完全に濡れ鼠となっている。


「あー、ダメだったか……離れてた私でもかなり削られたし至近距離じゃ……あ、メールだ。


『死に戻りしてすまない。悪いが素材集めてくれると助かる』


 ……『そのぶんオマケしてください』っと。それじゃ集めて行きますか! 向こうもそろそろ終わるかな……?」


 靉靆は黙々と素材を集めながらもうひとつの戦いを気にしていた。


前回の対ウーズ戦で活躍するのは見事三河さんとダオさんに決定しました!

靉靆さん見事サイコロに嫌われました。

でも戦闘中はダオさん凶化してて喋れないから自然と三河さんに照準が……



※どんな作戦か

1……スライムとウーズを離してスライムをさきに殲滅する。

2……ウーズを先に潰す。

3……作戦T、突撃!

4……誰かを囮にしてその隙に攻撃。

5……凶化したダオさんに丸投げ。

6……逃げてタナトスマフモの所に合流。

出たのは1!

6じゃなくてよかったですね(笑)


※助けに行くか

1、3、5……行く

2、4、6……行かない

出たのは1!


※誰に

1、4……ウーズに

2、5……三河さんに

3、6……近くのスライムに

出たのは5。

御愁傷様。


※何が起こったか

1、2……ダオが急に倒れる。

3、4……HPがなかなか減らない。

5、6……靉靆が居なくなる。

出たのは4!

5とかだったら靉靆の神隠しからのサスペンス路線に……


※何がついてるか

1……高HP

2……高DEF

3……物理ダメージ軽減

4……1と2

5……1と3

6……全部

出たのは5!


※何が起こるか

1、4……分裂

2、5……エビルスライム生成

3、6……自爆用意

出たのは6!

あーあ。


※どうなったか

1……ダオさんか三河さんが死に戻り。

2……三河さんが正気に戻りラストの防御魔法。

3……前衛の二人が死に戻り。

4……ダオさんが耐えきる。

5……狙いが外れて靉靆さんに直撃。靉靆さんが死に戻り。

6……靉靆さんの叫びで伏せて水塊がはずれる。

7……スライムをぶつけて回避成功。

8……全員死に戻り。

出たのは3!

運がいい靉靆さん。



さて、次回はタナトスマフモ決着です!

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